低血糖とは、血糖値が正常範囲より低くなり脳などの中枢神経がエネルギー(糖)不足の状態になること。冷や汗、動悸、意識障害、けいれん、手足の震えなどの症状が現れます。
とくに糖尿病患者は血糖値を正常の範囲で維持することが難しいために、高血糖になることはもちろん、逆に糖が少なくなりすぎる低血糖になるリスクも高くなっています。
また、低血糖はインスリン療法での薬や注射の副作用としても高い頻度でおこります。服用薬の飲み間違いや自己注射時の投与量が不適切だと、血糖値を下げるインスリンの作用で血糖値が下がりすぎて低血糖になってしまうこともあります。
糖尿病患者様はインスリン治療の過程で低血糖を何度も繰り返すことがあります。低血糖を繰り返さないために、その原因を確認し問題を1つずつ解決する事が大切です。
低血糖になった時の症状や状態をメモしておいて、その情報をもとに医師や医療スタッフに相談しましょう。
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低血糖時の症状について
低血糖の値に応じて、からだに様々な低血糖症状があらわれます。
個人差がありますが、一般的には血糖値が70mg/dL以下になると自立神経の反応による症状、
血糖値が50mg/dL程度からそれ以下になると、中枢神経症状が出現します。
血糖値が50mg/dLより低くなると、昏睡など意識のない状態(重症低血糖)になるリスクが高くなります。
低血糖になった時に、自分にどのような症状が現れたかをしっかりと覚えておくことは、より早い対処が可能となり重症化を防ぐことに繋がります。
また、家族や周りの人に自分の低血糖の症状や対処法などについて事前に話しておくことも大切です。

血糖値と低血糖症状の関係
血糖値 | 症状 |
---|---|
70~60㎎/dl以下 | 自立神経症状:異常な空腹感 体のだるさ 冷や汗 動悸 手や指の震え 熱感 不安感 |
50㎎/dl程度 | 中枢神経症状:頭痛 目のかすみ 集中力低下 眠気 めまい 脱力感・疲労感 言葉が出にくい 不安・抑うつ |
50㎎/dl~30㎎/dl以下 | 意識もうろう 異常行動 けいれん 深い昏睡 |
低血糖がおこりやすい時は?
低血糖がおこる主な要因として、インスリン製剤や経口血糖降下薬の用法・用量の間違い、食事量や運動量のバランスが崩れた時が挙げられます。
- インスリン注射の投与量を間違えている。
- 薬を飲み間違えた。
- 食事の量(特に炭水化物)がいつもより少ない。
- 食事の時間がいつもより遅くなった。
- 予定よりも激しい運動や長時間の運動をした。
- 入浴時、飲酒。
無自覚性低血糖について
低血糖を何度も繰り返していると「汗をかく」などの自覚症状を感知するセンサーが鈍くなり、軽い低血糖では気づかずに血糖値がかなり低くなって症状に気づくことがあります。
このような低血糖がおきているのに気づかない状態を無自覚性低血糖と呼びます。
低血糖がおこっているのに気づかずにそのまま血糖値が下がる無自覚性低血糖は、重篤な中枢神経系症状である意識障害や昏睡などに突然陥るリスクを孕んでいます。 とくに過去に意識障害や昏睡などの重度の低血糖経験者や糖尿病神経障害がある人は、無自覚性低血糖をおこしやすいので医師に相談してください。