糖尿病治療の血糖コントロールとは、血糖値を正常値により近づけて良好な状態にコントロールすること
血糖をコントロールできれば、合併症の予防、またはすでに合併症のある方では症状の悪化を防ぐことが可能になります。

この血糖コントロールするための1つの手段が食事療法です。1日の摂取カロリーを自己管理して血糖コントロールする食事療法は効果的で、糖尿病治療法の中でも大きなウェートを占めています。

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食事療法が糖尿病治療に効果的な理由とは?

日本の糖尿病患者の90%以上は、すい臓からでる血糖を下げる働きのホルモンであるインスリンの分泌低下やインスリンが十分分泌されても内臓脂肪などが原因でインスリンが効かなくなるインスリン抵抗性がおこり、その結果血糖値が高くなる2型糖尿病です。

欧米人に比べてインスリン分泌量が少ない日本人が、食事量やカロリーを多く摂り過ぎる食生活をすれば、糖分の処理が追いつかなくなります。
そして慢性的に高血糖が続けば、休みなく働かざるを得ないすい臓は機能低下し、インスリン分泌力は衰え、インスリンの効き目も弱くなります。

つまり、食べ過ぎや必要以上カロリーを摂り過ぎることは高血糖を招く大きな要因となるため、1日の摂取カロリーを自己管理して血糖コントロールする食事療法は、2型糖尿病に効果的であるという理由になります。

食事療法の基本はカロリーを必要以上に摂りすぎないこと

支持棒を持つ栄養士のイラスト 食事療法の基本は、カロリーを必要以上に摂り過ぎないこと。食べ過ぎればもちろんカロリーを必要以上に摂取することになります。
食後血糖値を上げやすい糖質を過多に摂取するメニューも、インスリンをより多く必要とするため要注意です。

1日の摂取カロリーを必要量以内で抑えて、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよくとる工夫が大切です。
適正なエネルギー摂取量は、一般的に男性は1400~1800kcal、女性は1200~1600kcalの範囲とされていますが、患者様それぞれの年齢、性別、肥満度、血糖値、症状の進行度などを考慮して、1日に必要な摂取カロリー量が計算されます。

血糖コントロールするための食事療法の5つのポイント

規則正しくバランスの良い食生活を

朝・昼・晩の食事をきちんと。炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよくとる工夫をしましょう。

間食をしない

血糖コントロールのために間食はできるだけしない。間食をすると高血糖状態が続き、インスリンを分泌するすい臓に負担がかかる。高血糖状態のままで次の食事をすると、食後高血糖の原因にもなる。

まずはサラダや海藻から食べる

野菜や海藻から食べ始めると、血糖値上昇が緩やかになる。逆に脂肪分の多い肉類、ご飯、パンなど血糖値が上がりやすいものから食べると急激に血糖値が上昇する。野菜などで少しお腹を膨らませることで全体量を減らすこともできる。

ゆっくり食べましょう

早食いは急激な血糖値上昇を招きすい臓に大きな負担がかかる、食べ過ぎの原因になることも。食事は意識的にゆっくりと。

食べ過ぎない・腹八分に

食べ過ぎや必要以上カロリーを摂り過ぎることは高血糖を招く大きな要因。とくに糖質の摂り過ぎに注意。

食事を少し残して「ごちそうさま」をする小太りの男性のイラスト