自覚症状がなく気づかないうちに血糖値が高くなってしまう糖尿病。この糖尿病を早期に見つけるには、状態を把握するための検査と医師による問診を定期的に受けることが大切です。
“糖尿病を早期に見つけるために ~糖尿病を見抜く医師の問診とは?~”では、「早期に糖尿病を見つけるための医師の問診」をテーマにお話ししました。
本記事では「糖尿病を早期に見つけるための検査と診断基準」をテーマにお話を進めていきます。
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糖尿病の診断基準は血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)
血糖値とは、血しょう1デシリットル(dL)中にふくまれるブドウ糖量のこと。
血糖値の代表的な検査方法には、随時血糖検査、空腹時血糖検査、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)があります。
ほかには、健康診断などで行われる血液検査項目にあるHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)の数値で糖尿病かどうか判断する方法があります。
HbA1cとは、血液中の糖化ヘモグロビン量を示す数値で、検査前1~2カ月間の平均血糖値を示しています。つまり血糖値が高いほどHbA1c値も大きくなります.
代表的な血糖値の検査方法
食事で吸収されたブドウ糖が血液中に入ると血糖値は上がり、正常な場合インスリンが分泌されると血糖値は下がります。
ですから食事に影響されて血糖値は上がったり下がったりするため、検査法が食事とのタイミングで分けられています。
代表的な血糖値の検査方法に、食事の時間を考えないで測定する「随時血糖値」、食事前の「空腹時血糖値」、一定量のブドウ糖を水に溶かしたものを飲んでいただき、飲む前の血糖値と時間ごとの血糖値がどう変化するかを調べる「75g経口ブドウ糖負荷試験」があります。
- 随時血糖検査
- 食事時間とは無関係に採血し、血糖値を測る検査。
随時血糖値が200mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断される。 - 空腹時血糖検査
- 検査当日の朝食を抜いた空腹状態(12時間以上食事をしていない状態)で採血し、血糖値を測る検査。一般的な健康診断で採用されることが多い。
空腹時血糖値が126mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断される。 - 75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
- 75gOGTTは、空腹時血糖値が高い場合に2次的に行われることの多い検査。
検査日の朝まで10時間以上食事していない空腹状態で血糖値を測る。次に、ブドウ糖75gを水に溶かしたものを飲み、30分後、1時間後、2時間後に採血し血糖値を測るという検査。
75gOGTT2時間値が200mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断される。
検査後の糖尿病の診断基準とは?
検査結果がA(3検査のうち1つでも)とBのいずれか1検査でも基準値を超えている場合は「糖尿病型」と診断されます。
初回検査でA(3検査のうち1つでも)とBの両方が基準値を超えている場合は、初回検査で「糖尿病」と診断されます。
初回検査で1検査だけ基準値を超えている場合は、別日に再検査します。再度基準値を超える検査があれば「糖尿病」と診断されます。
- A
- 随時血糖検査:200mg/dL以上
空腹時血糖検査:126mg/dL以上
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験):2時間値が200mg/dL以上 - B
- HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー):6.5%以上
検査結果とともに、問診で得た患者様情報も(生活環境、遺伝因子、自覚症状の有無、糖尿病と合併する病気の症状の有無など)も正確に診断するために重要な要素です。
「境界型」は糖尿病予備軍
糖尿病の進行は、自覚症状がないままに正常範囲の血糖値だったのが、徐々に糖尿病の範囲まで高くなるのが特徴です。
日本糖尿病学会では、糖尿病の診断基準を正常から糖尿病になるまでの段階で、血糖値の高さで「正常型」、「境界型」、「糖尿病型」と3段階に分類しています。
糖尿病と診断されるのは、初回および再検査で2検査が基準値を超える「糖尿病型」のケースです。
健康な数値である「正常型」と「糖尿病型」の間には、「境界型」というゾーンが設定されています。
「境界型」は糖尿病予備軍とされています。
徐々に血糖値が高くなる糖尿病が「境界型」から「糖尿病型」に進行しないためには、医師の指導のもとでの生活習慣の改善と定期的な検査を要します。
- 正常型
- 空腹時血糖値が110mg/dl未満およびブドウ糖負荷試験血糖値が140mg/dl未満
- 境界型
- 糖尿病型と正常型の間の血糖値、空腹時血糖値が110mg/dl以上~126mg/dl未満
ブドウ糖負荷試験血糖値が140mg/dl以上~200mg/dl未満 - 糖尿病型
- 空腹時血糖値が126mg/dl以上、随時血糖値200mg/dL以上、またはブドウ糖負荷試験血糖値が200mg/dl以上