眠れいない女性のイラストからだと脳を休めるために不可欠な睡眠。良質な睡眠をしっかりとることは、健康で生き生きとした日常生活を送る基盤となります。

しかし、日本では成人の約21%が不眠に悩み、約15%が日中の眠気を自覚しているとの調査結果があります。この調査結果は、現代社会では多くの人が睡眠に問題を抱えていることを示しています。

「なかなか寝付けない」「何度も目が覚める」「日中も強い眠気がある」、このように睡眠に何らかの問題がある状態の総称を睡眠障害と呼びます。

睡眠障害の問題と治療の必要性

睡眠障害で夜ぐっすりと眠れないと、日中の眠気や集中力の低下により仕事や日常生活に支障がでます。
たとえば、睡眠障害により運転中に強烈な眠気に襲われておこる重大な居眠り事故は、近年社会問題になっています。
さらには、高血圧や糖尿病などの生活習慣病につながることもあります。

睡眠障害は、寝ている間のことなので症状を自覚しにくいことも問題です。日中に強烈な眠気に襲われるのに、ただの寝不足と自己判断される方が多く、気づいた時には症状が悪化しているケースが多く見られます。
また、自己判断で不眠症と考えていても、睡眠時無呼吸症候群などの他の睡眠障害に罹っていることもあります。

睡眠障害を見逃さないためには自己判断せずに、病院で正確な検査と診断を受けて、患者様の症状に応じた適切な治療を受ける必要があります。

睡眠障害の原因

深夜に布団の中でスマホをする女性のイラスト睡眠障害の原因は、患者様や症状によってさまざまです。たとえば、寝る前に布団の中でスマホを見ることで強い光を浴びることも、脳が覚醒して眠れなくなることの原因の1つです。

  • 環境・生活習慣的原因:夜や寝る前の強い光刺激。生活リズムの昼夜逆転。勤務シフト。時差ボケ。
  • 身体的原因:痛みを伴う疾患。かゆみを伴う疾患。肥満による気道の狭小化。老化。
  • 精神的原因:仕事や人間関係のストレス。不安やうつ。
  • 薬の服用による原因:服用している薬。アルコール、カフェイン、ニコチン。

睡眠障害 タイプと病気

一概に睡眠障害といっても、さまざまな病気・症状があります。代表的な睡眠障害を紹介します。

  • 不眠症:患者数の最も多い症状。さまざまな原因で寝付きが悪い、何度も目が覚める、熟睡できない、朝早く起きてしまう。
  • 過眠症:夜眠っているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じ、起きていることが困難になる。主な病気はナルコレプシー。
  • 概日リズム障害:希望する時間に入眠や起床できずに、仕事や日常生活に支障をきたす。主な病気はシフトワーク(交代勤務による)障害、睡眠相後退症候群。
  • 睡眠時無呼吸症候群:気道の狭小化により、睡眠時に呼吸が止まったり、呼吸をしづらくなる。何度も目が覚めることで熟睡できない。
  • 他の睡眠障害:むずむず脚症候群 周期性四肢運動障害 睡眠時随伴症

城内病院は睡眠障害の検査・診断と治療に積極的に取り組んでいます

終夜睡眠ポリグラフィー検査装置をつけた男
終夜睡眠ポリグラフィー検査装置

城内病院は、睡眠障害の検査・診断と治療に積極的に取り組んでいます。
とくに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来では、問診において軽度の睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合、外来型簡易検査のパルスオキシメーター。
中度・重度の症状が疑われた場合、または外来型簡易検査のパルスオキシメーターにて治療方針が判断しにくい場合は、1泊入院での終夜睡眠ポリグラフィー検査を行ないます。

パルスオキシメーターと終夜ポリグラフィー検査装置の2つの検査装置を完備することで、患者様によって軽度から重度まで異なる症状を、正確に検査できます。
正確な検査結果を得ることで、患者様それぞれの症状に応じた適切な治療が可能になります。

(関連リンク)
終夜睡眠ポリグラフィー検査装置を導入しました

どのような問診や検査を行いますか?

まず、問診において患者様の睡眠状況、生活習慣や病歴についてさまざまな質問をします。何が原因で眠れないかを特定して、睡眠障害のタイプを分けます。
特定した睡眠障害のタイプに応じて、検査さらには治療と進みます。

  • 朝起きた時に熟睡感があるか。睡眠時間が足りているか。
  • いつ眠れないのか。途中に何度も目が覚めないか。
  • 睡眠のリズム:昼はしっかり起きて、夜は寝るべき時に眠れているか。
  • 夜中に何度もトイレで目が覚めないか。
  • 昼間に眠気がないか。体調に不調はないか。
  • アルコールの習慣:夜酒や寝酒をしていないか。
  • 病歴:持病、糖尿病、高血圧、肥満など。
  • いびきを家族に指摘されたことはないか。

さまざまな質問をしたうえで、たとえば、睡眠時無呼吸症候群を疑えば、患者様の症状に応じて検査します。
症状が軽度な場合は、自宅でできる外来型簡易検査のパルスオキシメーター。精密な検査が必要な場合は、一泊入院して終夜ポリグラフィー検査装置で正確かつ高度な検査を行います。

城内病院の睡眠障害の治療

城内病院では、2つのモットーをもとに睡眠障害を治療します。

  • 患者様それぞれの症状に応じたオーダーメイドな治療。
  • 患者様のからだになるべく負担をかけずに、人間本来の自然な眠りを取り戻すこと。

睡眠障害と一言で言っても、患者様の病気や症状はそれぞれ異なります。
たとえば、緊急性のない不眠症であれば、不眠の原因を修正・除去するために、患者様それぞれの環境や生活スタイルの改善を目的とするオーダーメイドな生活習慣指導を行います。

2週間に1回、定期的に経過観察のために来院していただき、環境や生活スタイルの改善ができているか、睡眠障害の症状が改善されているかを確認します。
すぐに睡眠薬を処方せずに生活習慣の改善を指導することは、患者様のからだになるべく負担をかけずに、人間本来の自然な眠りを取り戻すことが目的です。

それでも治らなければ、寝入りばなを良くするタイプ、中途覚醒を良くするタイプ、不安感を改善するタイプ、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌をコントロールするタイプなど患者様の不眠のタイプに合わせた睡眠薬を処方します。

しかし、患者様が睡眠薬に依存してしまう場合や睡眠薬の服用でノンレム睡眠・レム睡眠のリズムが崩れる場合があります。 そのために薬を処方する場合も、睡眠障害から薬がスムーズに離脱できるように、なるべく依存性の少ない薬から処方します。 依存性のない漢方薬を処方することはその一例です。漢方薬だけで睡眠障害を改善し、睡眠をよくコントロールできるようになった患者様もいらっしゃいます。

(関連リンク)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(1) 危険性とメカニズム
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(2) なりやすい方、症状、予防法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(3) 城内病院での検査と治療
城内病院は睡眠時無呼吸症候群に積極的に取り組んでいます
睡眠を司る概日リズムとノンレム睡眠・レム睡眠