睡眠時に呼吸が10秒以上止まった状態を無呼吸とし、無呼吸が7時間の睡眠中に30回以上、あるいは、1時間に5回以上あることを睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)と呼びます。

睡眠時無呼吸症候群は、危険な病気です。その理由は脳梗塞、心筋梗塞、突然死につながるだけでなく、日中の日常生活に様々なマイナス影響を与えます。たとえば、居眠り運転による重大事故を起こす可能性は、社会問題にさえなっています。

自覚症状がないことの危険性

大きないびきをかく男性 イラスト睡眠時に、自分が大きないびきをかいたり、呼吸が止まっていることをほとんどの方は自覚していません。自覚症状がないために、病気であることに気づかず放置しがちな睡眠時無呼吸症候群には、重大な交通事故を起こしたりや重篤な病気につながる危険性があります。

重大な交通事故を起こす危険性

居眠り運転 イラスト睡眠時無呼吸症候群が原因とされる交通事故は、日々発生しています。睡眠時無呼吸症候群の方は一般の方と比べ、交通事故を起こす可能性が約7倍にもなると報告されています。

さらに、車の運転中、居眠りで意識がなくなることは重大な事故を起こす危険性があります。居眠りの原因は、睡眠時無呼吸症候群の症状である日中に強い眠気に襲われる、ぼーとして集中力が失われることなどと推測されます。また、自覚症状がないために、病院で適切な検査や治療を受けていない人が多いことも原因と考えられています。

生活習慣病から重篤な心血管イベントを引き起こす危険性

睡眠時の無呼吸は、心臓や脳、血管に負担をかけるため生活習慣病を合併する確率が高まります。最悪の場合、重篤な心血管イベント(脳梗塞、心筋梗塞など)にも繋がります。
正常な方と比べ、高血圧は約2倍、糖尿病は約1.5倍、不整脈は約4倍、脳梗塞も約4倍、睡眠時無呼吸症候群の患者様は、生活習慣病、または、生活習慣病が原因の一つとされている重篤な心血管イベントを引き起こす確率が高まります。

一方、高血圧の患者様が、睡眠時無呼吸症候群を治すことで血圧が下がった方もいらっしゃいました。このことは、睡眠時無呼吸症候群が生活習慣病と密接に関係していることを証明しています。

睡眠時無呼吸症候群になるメカニズム

睡眠時無呼吸症候群には2つのタイプがあります。一つは、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)。心不全の患者様に多く見られる症状で、呼吸中枢の異常により、脳からの呼吸司令が止まるタイプです。このタイプは患者数全体の数%程度です。

もう1つの閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、患者数のほとんどを占めます。空気の通り道である気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまうタイプです。今回は閉塞性睡眠時無呼吸症候群について解説します。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)について

上気道断面図のイラスト閉塞性の睡眠時無呼吸症候群とは、空気の通り道である気道が、部分的あるいは完全に塞がれて無呼吸状態になることです。
肥満や首が短くて太い方は、首・のど周りに脂肪が沈着して気道が狭くなっています。また、あごや骨格が小さくもともと気道が狭い構造になっている方もいます。
気道が狭くなっている方が仰向けで寝ると、筋肉の緩みや重力の影響で、舌根(舌の付け根)がのどの奥に落ち込み気道を塞いでしまうのです。完全に気道を塞いでしまうこともあります。これが閉塞性のメカニズムです。

つまり、睡眠時にご家族や同僚の方に無呼吸になっていると指摘された方はもちろん、大きないびきや高い音のいびき、自分のいびきで目が覚めた経験のある方は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を疑って下さい。
なぜなら、いびきは狭くなった気道を空気が通る時に発する音で、気道が狭くなっていることの重要なサインです。「いびきがうるさい」、「高い音のいびきをかいている」と言われる方は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

危険な睡眠時無呼吸症候群を放置しないために

自分では十分な睡眠時間をとっているつもりでも、睡眠時の無呼吸状態は、脳が起きた状態になっています。ですから、質のよい睡眠をとることができないため、日中に強い眠気に襲われたり、ぼーっとして集中力が失われ、日常生活に様々なマイナス影響を与えます。最悪の場合、居眠り運転による重大事故さえ起こす可能性があります。

また、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病とも密接な関係があります。さらに、生活習慣病が原因の一つとされている重篤な心血管イベントを引き起こす確率も高めます。

睡眠時無呼吸症候群は危険な病気です。自覚症状がないため、病院で適切な検査・治療を受けないことは危険性を増大させます。
まず、睡眠時無呼吸症候群(SAS)(2) なりやすい方、症状、予防法を読んで、自分が睡眠時無呼吸症候群に当てはまるかセルフチェックして下さい。もし、当てはまる項目が複数あるようでしたら、一度、城内病院の睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来を訪れて、検査・治療を受けてみてはいかがでしょう。
とくに、ご家族や同僚の方に「寝ているときに無呼吸になっていたよ」、「いびきがうるさいよ」などと指摘されたことがある方は、なるべく早い段階で治療を行うことが重要です。

(関連リンク)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(3) 城内病院での検査・治療