睡眠時無呼吸症候群(SAS)(2) なりやすい方、症状、予防法の「睡眠時無呼吸症候群になりやすい方」、「睡眠時無呼吸症候群によくみられる症状」に当てはまる項目がありましたか。複数あった方、ご家族や同僚の方に無呼吸や大きないびきを指摘されたことがある方は、城内病院の睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来を訪れて下さい。

今回は、城内病院の睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来は、どのような検査と治療を行うのかを説明します。

睡眠時無呼吸症候群の問診ついて

まず、患者様の睡眠時、朝起きたとき、日中の状態や症状をお聞きします。家族に無呼吸やいびきがうるさいといわれるか、起きたときに頭が痛いか、日中に強い眠気や集中力の欠如を感じるか、などです。

つぎに、患者様の生活習慣や病歴についてお聞きします。喫煙の有無、過度な飲酒や寝酒・深酒の習慣があるか、食生活はどうか、これまでどのような病気に罹ったか、睡眠薬を飲んでいるか、などです。

同時に、患者様の体型の特徴、気道が狭くなっていないか、扁桃腺の状態やあごの大きさなどの視診と血圧の測定を行ないます。そのうえで、患者様が睡眠時睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるか総合的に判断します。

睡眠時無呼吸症候群の検査について

終夜睡眠ポリグラフィー検査
終夜睡眠ポリグラフィー検査

問診において、軽度の睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合、外来型簡易検査のパルスオキシメーター。
中度・重度の症状が疑われた場合、または外来型簡易検査のパルスオキシメーターにて治療方針が判断しにくい場合は1泊入院での終夜睡眠ポリグラフィー検査を行ないます。

パルスオキシメーターは、指先にセンサーを付けて酸素飽和度を測り、鼻の近くにつけたセンサーで呼吸が止まった状態・回数を記録します。
病院において機器の装着方法の指導を受けて、自宅で就寝前に装着して睡眠状態を測定します。翌朝、病院に機器を返却して頂き、患者様の睡眠時無呼吸症候群を解析します。

終夜睡眠ポリグラフィー検査は、寝ている間の脳波や眼球・筋肉の動きなどを測定するため、さまざまな電極やセンサーを患者様の全身に取り付けます。
8時間ほど眠っている間に、さまざまな睡眠障害を正確に診断するために必要なデータを採取します。

終夜睡眠ポリグラフィー検査は、睡眠障害に対する世界共通で確立した検査法です。睡眠時無呼吸症候群とよく似た症状の別の睡眠障害の病気と正確に区別することにも有効です。

(関連リンク)
終夜睡眠ポリグラフィー検査装置を導入しました

睡眠時無呼吸症候群の城内病院での治療

問診とパルスオキシメーターあるいは終夜睡眠ポリグラフィー検査の結果を医師が総合的に判断して、通常、軽度と判断した場合はマウスピース療法、重度と判断した場合はCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)を行ないます。

患者様の気道がもともと狭い場合や鼻閉塞が顕著の場合などには、耳鼻科受診や手術をお勧めする場合もあります。肥満が原因の場合は、減量などの生活習慣改善も指導します。

マウスピース療法

症状が軽度の場合、マウスピースをつけて、下あごを上あごよりも前に出すように固定させることで気道を確保し、無呼吸やいびきの発生を防ぐ治療法です。ただ、患者様によってはマウスピースをつけることになれない方もいらっしゃいます。その場合は医師にご相談下さい。

マウスピース療法が必要な患者様には、紹介状を書いて睡眠時無呼吸症候群のマウスピース作製を行っている歯科を紹介します。

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)

無呼吸状態とCPAP装着時のイラスト 症状が重度の場合、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)を行ないます。CPAP療法の装置から、エアチューブ・鼻マスクを介して、送風ファンで気道の閉塞程度にあわせた空気圧を鼻から気道へ送り込みます。空気を送り続けて、気道を常に開いておくことで、睡眠時の無呼吸を防ぎます。

CPAPを装着して寝る男性のイラスト CPAP療法を始めるにあたり、病院で装置の業者とともに使い方の説明を行ないます。その後、自宅にて貸し出された装置(鼻マスク)を睡眠時に付けて治療します。装着したその夜から、無呼吸やいびきが発生せず熟睡できたという報告があるほど、効果のある治療法です。CPAP療法とともに体重を80kgから70kgへ減量することで完全に治った患者様もいます。

しかし、CPAP療法は使い始めに不快感などを訴える患者様もいます。我慢することなく医師にご相談下さい。

  • 装置から送られてくる空気や鼻につけるマスクに慣れず眠れない。
  • 無意識に空気を飲み込んでお腹が張った気がする。
  • 鼻の通りが悪くなる、鼻や口、目が乾く。
  • 耳鳴りがする。

また、注意して頂きたいことは、自己判断でCPAP装置をつけずに眠ると、せっかく改善していた症状が元の状態に戻ってしまうことです。その理由は、CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群そのものが治るわけではなく、あくまでも予防療法だからです。

月に1度は来院して頂き、装置の付け具合や症状の経過を確認します。症状の経過にあわせて問題点や生活習慣を改善するための指導を、医師が行ないます。
CPAP装置の貸出には、健康保険が適用されます。費用は3割負担の方で、月に約5,000円程です。

医師のもとで、あなたにあった適切な検査や治療を受けましょう

睡眠時無呼吸症候群は、質のよい睡眠をとることができないため、日中に強い眠気に襲われたり、集中力が欠如することで仕事のミスや重大な事故を起こす確率高めます。また、生活習慣病とも密接な関係があるために、生活習慣病が原因の一つとされている重篤な心血管イベントを引き起こす確率も高めます。

このように危険な病気の睡眠時無呼吸症候群も、医師のもとで、あなたにあった適切な検査や治療を受けることで、症状が改善され治るのです。なるべく早い段階で適切な治療を始めることで、重大な事故や重篤な病気につながる確率を引き下げることができます。

自覚症状がないからといって放置せず、ご家族や同僚の方に、「寝ているときに無呼吸になっていたよ」、「いびきがうるさいよ」などと指摘を受けた方は、城内病院の睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来を訪れて下さい。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(1) 危険性とメカニズム