日本の糖尿病患者の90%以上を占める2型糖尿病の治療。治療の基本である食事療法と運動療法を2~3ヵ月行っても血糖コントロールがうまくいかないケースでは、薬物療法を選択します。
薬物療法は食事療法と運動療法の補助的な役割のため、基本の食事療法と運動療法は継続します。
1型糖尿病は、インスリンを分泌するすい臓に自分への免疫反応が起こり、β細胞が壊されてそれに遺伝的因子や何らかの環境因子が加わって、インスリンが出なくなります。
インスリンを体の外から補う必要があるため、1型糖尿病の治療ではインスリン注射が必須となります。
本記事では、2型糖尿病の薬物療法に使用される経口血糖降下薬(飲み薬)ついて解説します。 糖尿病薬物療法に使用する経口血糖降下薬(飲み薬)は、その作用から大きく分けて3つに分類することができます。
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インスリンを出しやすくする薬
すい臓に働きかけインスリンを出させる。インスリン分泌低下を補う。
- スルホニル尿素薬(SU薬)
- すい臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進することで血糖値を下げる。
主な副作用は低血糖、体重増加など。 - 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
- 内服後すぐに効き始め短時間作用する。インスリン分泌を促進し血糖値を下げる。
食事の直前(5~10分程度前)に服用。主な副作用は低血糖など。 - DPP-4阻害薬
- インクレチン(インスリンの分泌を促すホルモン)を分解する酵素の働きを阻害することでインスリン分泌を促進、グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の分泌を抑制させ血糖を下げる。
主な副作用は低血糖、便秘など。
インスリンを効きやすくする薬
インスリンを効きやすくする、インスリン抵抗性を改善する薬。
- ビグアナイド薬
- 肝臓での糖の新生や消化管からの糖の吸収を抑える。インスリンに対するからだの感受性を高めることで糖の吸収を増加させて、間接的にインスリン抵抗性の改善効果を得る。
主な副作用は食欲不振、吐き気、便秘、下痢など。 - チアゾリジン薬
- インスリンに対するからだの感受性を高めることで、骨格筋および肝臓におけるインスリン抵抗性を改善する。
主な副作用はむくみ、急激な体重増加など。
糖の吸収や排泄を調節する薬
糖を緩やかに吸収して血糖の急上昇を抑える。体に取り込んだ糖を尿中に出させる。
- α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI:アルファー・ジーアイ)
- 消化酵素α-グルコシダーゼの働きを阻害して摂取した炭水化物の分解を抑える薬。小腸からの糖分の消化・吸収を遅らせることで食後の血糖上昇をゆるやかにして高血糖を抑える。
食事の直前(5~10分程度前)に服用。主な副作用はお腹の張り、おならの増加、下痢など。 - SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬
- 腎臓で排出される糖の再吸収を抑制し、糖を尿中に多く出して血糖を下げる。
主な副作用は低血糖、尿路・性器感染、脱水、頻尿、皮膚症状など。
設定された血糖コントロール値を目標に、安全かつ効果的な薬が処方されます
処方される経口血糖降下薬は、患者様の糖尿病のタイプ、症状や血糖コントロールの状態などに応じて決められます。
医師が設定した血糖コントロール値を目標に、安全かつ効果的な薬が処方されます。
1種類の経口血糖降下薬で十分に血糖コントロールができないケースでは、その血糖降下剤を増量するか作用機序の異なる2種類以上の経口血糖降下薬を併用します。
最初は少量から始め、血糖コントロールの状態を観察しながら、徐々に服用量を増していきます。
患者様は服用する薬の作用や副作用をよく理解したうえで、自己判断で服用を中止することなく、医師の指示に従って服用を継続することが大切です。