笑顔で人差し指を建てる医者のイラスト 高血圧には、本態性高血圧(原発性高血圧)と二次性高血圧があります。
本態性高血圧は、原因がはっきりと特定できない高血圧です。日本人の高血圧の約 90%を占めます。
食塩の過剰摂取、生活習慣や肥満などさまざまな要因が組み合わさっておこると考えられています。

二次性高血圧は、血圧上昇の原因となる病気が特定できる高血圧です。腎臓やホルモンをつくる内分泌腺の病気などが原因で高血圧になります。

城内病院の高血圧の患者様もほとんどが本態性高血圧の患者様です。今回はさまざまな要因が複合しておこる本態性高血圧についてお話します。

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本態性高血圧になる原因は?

日本人の高血圧の約90%は、原因をはっきりと特定できない本態性高血圧です。
本態性高血圧は、以下の要素が複合的に組み合わさっておこると考えられています。

  • 食塩の過剰摂取
  • 生活習慣:ストレス、喫煙・過剰な飲酒
  • 肥満、メタボリックシンドローム
  • 遺伝的体質

とくに、食塩の過剰摂取は塩分感受性(塩分の影響を受けやすい)が高い方の多い日本人には最大の原因とされています。

食塩の過剰摂取が血圧を上げる

日本高血圧学会が推奨している1日の食塩摂取量は6g未満です。厚生労働省の2019年の国民健康・栄養調査において、実際には1日に10g摂取していると報告されています。
この食塩の過剰摂取が、塩分感受性の高い方の多い日本人には高血圧の最大の原因とされています。

食塩の過剰摂取で血中の塩分濃度が高まると、血中の塩分を薄めようと水分が血液中に集まるため、体内を循環している血液量が増えてしまいます。
循環している血液量が増えると、血管の壁にかかる抵抗が強くなり、血圧が上昇してしまうのです。

さらに、食塩の過剰摂取により塩分(ナトリウム)の排出を調整している腎臓にナトリウム量が増えすぎると、早く排泄しようと心臓が腎臓により多くの血液を送り込むため、血圧が上昇します。

高血圧になりやすい体質や生活習慣

高血圧には家族性の要因が60%あると言われています。高血圧の家族がいる方は、遺伝的に高血圧になりやすい体質と考えられます。
また、遺伝性の問題だけでなく、家族は生活習慣も似ているため要注意です。

生活習慣にも高血圧になりやすい原因があります。
前述した食事においての食塩の過剰摂取はもちろんのこと、喫煙、過度の飲酒、ストレスにより交感神経が緊張すると血管が収縮して血圧が上昇します。
他には運動不足や睡眠不足なども原因となり得ます。

メタボリックシンドロームと高血圧

メタボリックシンドロームでお腹の出た男性のイラストメタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に高血圧・高血糖・脂質異常症のうち2つ以上の症状が重なっている状態。
日本人のメタボリックシンドロームでは、高血圧を含むケースが最も多くみられます。とくに比較的年齢の若い男性にはメタボを伴う高血圧の割合が増えています。

内臓脂肪型肥満で肥満細胞が増えると、インスリン(糖をエネルギーに変えるホルモン)の効き具合が悪くなります。それを補うためにすい臓はインスリンを大量に分泌します。
過剰なインスリンは交感神経を刺激して血圧が上昇します。

また、インスリンには腎臓からの塩分(ナトリウム)の排泄を妨げる作用があるため、血中の塩分濃度が高まります。
塩分濃度を調整しようと水分が血液中に集まるため、体内を循環している血液量が増えてしまい血圧が上昇してしまいます。

悪い循環を生み出す本態性高血圧

本態性高血圧は、因子として食塩の過剰摂取、遺伝的体質、悪い生活習慣、ストレス、肥満などが複合的に組み合わさっておこります。
同時に、多くのケースでメタボリックシンドローム、糖尿病、高脂血症、慢性腎臓病などの生活習慣病も合併しています。

高血圧、食塩の過剰摂取などの生活習慣、糖尿病などの生活習慣病は、お互い足を引っ張るように関与して悪い循環を生みだします。

サイレントキラーとも言われる高血圧。
その理由は、自覚症状がほとんどないため治療せずにいると、血管内壁に高い圧力がかかり続けて気づかないうちに動脈硬化が進行するからです。

この悪い循環による動脈硬化の進行速度を治療で緩和させなくてはなりません。
高血圧の治療は、患者様それぞれの高血圧になる原因を見つけだしたうえで、症状の程度に応じた生活習慣指導や薬物療法を行うことが大切です。