最近、メディアで話題になっているカロリーリストリクションという言葉をご存知ですか?
カロリーリストリクションを訳するとカロリー制限となります。
必要な標準エネルギー摂取量に対して、摂取量を7~8割に制限する食生活を継続すると、アンチエイジング効果が現れて長寿に繋がることが解明されつつあります。
日本では「腹八分目ぐらいが長生きの秘訣」などと昔から言いますが、実は科学的に根拠のあることのようです。
では、カロリーリストリクションになぜアンチエイジング効果があるのかをお話しましょう。
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カロリーリストリクションとは?
マサチューセッツ工科大学レオナルド・ガランテ教授により、長寿遺伝子サーチュインが発見されました。
長寿遺伝子サーチュインとは、細胞の寿命を延ばそうとする酵素。
このサーチュインは、カロリーを十分に摂取している状態よりも、リストリクションつまりカロリー制限時に活性化することが解ってきました。
アメリカの大学はマウスやサルの動物実験で通常食の総摂取カロリーを65%~70%に制限すると、寿命が伸び若々しい印象になったとアンチエイジング効果を報告しています。
サーチュインがアンチエイジング効果を高めるメカニズム
サーチュインの活性化は、細胞内でエネルギー源を作り出すミトコンドリアを増やし、オートファジー(自食作用:細胞の中で行われるリサイクル・システム)により細胞内の異常なたんぱく質や古くなったミトコンドリアの代謝サイクルを早めます。
細胞の代謝サイクルが早くなり活性化することで、壊れた細胞の修復や細胞内の活性酸素の除去も早まり、シミやシワなどの肌の衰え、動脈硬化、糖尿病などさまざまな老化症状に対してアンチエイジング効果をもたらします。
サーチュインを活性化させるためにお腹をすかせましょう。
アンチエイジング効果をもたらす長寿遺伝子サーチュインを活性化するにはどうすればよいか具体的なお話をしましょう。
答えは、必要な標準エネルギー摂取量に対して摂取量を7~8割に制限するカロリーリストリクションで、お腹を一杯にせずになるべく空腹の時間を作ればよいのです。
その理由は、サーチュインの活性化にはNAD+という補酵素の活性化が必要で、このNAD+を活性化する条件が空腹状態だからです。
簡単に言えば、お腹が空いている時にアンチエイジング効果をもたらすサーチュインが活性化するということです。
サーチュインが活性化するような食生活習慣を身につければ、アンチエイジング効果を期待できます。
- 朝昼晩3回の食事を規則正しく。間食を控えましょう。
- 満腹感を得る手前でごちそうさま。
- カロリー計算が困難であれば、今食べている食事量の7~8分目のイメージで。
- 食事前の空腹時にお腹が鳴っても少し我慢する。
- カロリーを減らしてもミネラルなどの栄養はしっかりと。
- 食後にウォーキングなどの有酸素運動をすることでより効果的に。
標準エネルギー摂取量からカロリーリストリクションの計算法
1日の活動量が標準的な男性(身長172cm)を例に、1日に必要な標準エネルギー摂取量からカロリーリストリクションの7割を計算してみましょう。
1日に必要な標準エネルギー摂取量はまず標準体重を計算します。
「身長✕身長✕22」=標準体重
1.72✕1.72✕22=65.0848 となり、標準体重は65kgとなります。
摂取カロリーは標準体重に30~35(女性の場合は25~30)をかけた数字です。
65✕30=1950kcal
65✕35=2275kcal
1950cal~2275kcalが1日に必要な標準エネルギー摂取量となります。
この男性のケースで1日に必要な標準エネルギー摂取量の7割のカロリーは1365kcal~1592kcalとなります。7割だと少なく感じますね。
高齢者のカロリーリストリクションは緩やかに
高齢者の急激で極端なカロリーリストリクションは、下肢筋力の低下や糖分不足により脳活動が低下する可能性があります。
急激で極端なカロリーリストリクションは危険です。
最初は栄養のバランスを失わないように、段階的に8割位のカロリーリストリクションで緩やかに慣れるようにしましょう。
また、“アンチエイジングのための2つの抗酸化力強化法”の抗酸化対策と“糖化を予防してアンチエイジング”の糖化予防対策とカロリーリストリクションを組み合わせることで、より高いアンチエイジング効果が期待できます。