アレルギー性鼻炎は鼻粘膜にアレルゲンが付着すると、くしゃみ、さらさらとした鼻水、鼻づまりなどのアレルギー反応がおこる病気です。

アレルギー性鼻炎には、通年性と季節性(おもに花粉症)があります。 今回は、漢方専門医がいる城内病院の3つの治療法を中心に、通年性アレルギー性鼻炎についてお話します。

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通年性アレルギー性鼻炎の原因アレルゲンとは?

畳を拡大してみるとダニがいるイラスト

通年性アレルギー性鼻炎は、年中季節に関係なく発症することが特徴です。 ほとんどのケースで、原因アレルゲンはハウスダストです。そのなかでも、最も多い原因アレルゲンはダニです。

ハウスダスト
ダニ(糞を含む) ホコリ 織物(絨毯など)の繊維 ペットの毛やフケ 昆虫の死骸 カビの胞子など

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通年性アレルギー性鼻炎のおもな症状

アレルギーで、くしゃみ・鼻水の症状の出た女性のイラスト
  • くしゃみ:アレルギー反応により放出される化学伝達物質のヒスタミンが、鼻粘膜の神経を刺激するため。
  • 鼻水:サラサラとした水様性のもの。くしゃみが出ると反射的に鼻汁が分泌される。
  • 鼻づまり:化学伝達物質のヒスタミンやロイコトリエンが血管を刺激して、鼻腔が狭くなり鼻が詰まる。通年性アレルギー性鼻炎の特徴的な症状。 
  • 中耳炎:中耳と鼻の奥をつないでいる耳管が腫れて閉塞され中耳炎になるケースもある。

通年性アレルギー性鼻炎 城内病院の診断と検査

まず、問診においてどのような症状か、程度、症状の出る時期、アレルギー歴などを患者様にお尋ねします。 つぎに、血液を採取し検査を行います。血液検査は、IgE抗体検査の非特異的IgE検査と特異的IgE検査の2種類を行います。

IgE抗体検査については、“Ⅰ型アレルギーの城内病院での検査と治療について” で詳しく解説しています。どうぞご覧ください。

さらに鼻汁を採取して鼻汁中の好酸球数を調べる鼻汁好酸球検査も行ないます。鼻汁中に好酸球と呼ばれるアレルギー反応の免疫を担う細胞が増えているかを確認します。

通年性アレルギー性鼻炎の治療 アレルゲンの回避

アレルゲンを回避することは、通年性アレルギー性鼻炎治療の基本です。 そのためにも、病院の検査でアレルゲンを特定し、効率よくアレルゲンを回避することが大切です。 医師は、掃除、換気、家庭内環境の改善など日常生活でアレルゲンを回避する方法を指導します。

  • ダニ:ダニの生息しやすいものは頻繁にお湯で洗濯する。ダニの生息しにくいものに素材を変更する。
  • ほこり:フィルター付きの掃除機や空気清浄機を使用する。ほこりが溜まらないように頻繁に掃除する。

通年性アレルギー性鼻炎 漢方専門医がいる城内病院の3つの治療法

漢方専門医がいる城内病院の治療の特徴は、3つの治療法を選択できることです。
患者様の症状の程度、年齢、仕事や生活環境に応じて、オーダーメイドに治療法を組み合 わせることも可能です。

  • 西洋医薬を使った治療
  • 舌下免疫療法(アレルゲンがダニの場合)
  • 漢方薬を使った治療

西洋医薬を使った治療法

患者様の症状の程度、年齢、仕事や生活環境に応じた西洋医薬を処方します。 鼻水には抗ヒスタミン剤、鼻づまりには抗ロイコトリエン剤で症状を抑えます。最近の抗アレルギー剤の中には服用後の眠気が少ないものもあります。 さらに症状が強い場合は、鼻水・鼻づまりに点鼻のステロイド剤を処方します。

舌下免疫療法

ダニが原因アレルゲンのケースでは、通年性アレルギー性鼻炎を舌下免疫療法で治療する選択肢もあります。
舌下免疫療法は、正しく治療を行えばアレルギー症状を治したり(寛解)、長期に渡り症状を抑える効果があります。
症状が完全に治らない場合でも、症状の緩和や治療薬の減量が期待できます。

類似記事として、“スギ花粉症の根本的な治療が期待できる舌下免疫療法とは?”があります。ぜひご覧ください。

漢方薬を使った治療

城内病院には漢方専門医がいるため、通年性アレルギー性鼻炎を漢方薬で治療することもできます。
漢方薬での治療のメリットは3つあります。

  • 西洋医薬と比べると副作用が少ない。
  • 即効性:小青竜湯や麻黄附子細辛湯は、薬を飲んで5~10分すると鼻水の症状が弱まる。
  • 補剤:弱った体力を増強させ間接的に疾患を改善させることができる漢方薬。

漢方薬の処方をご希望される方は、医師にお伝え下さい。漢方専門医は、患者様の体質や「証」を見極め、患者様の通年性アレルギー性鼻炎に合う漢方薬を処方します。

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漢方専門医が、あなたの「証」を特定して漢方薬を処方する理由

通年性アレルギー性鼻炎で処方されることのある漢方薬を紹介します。上段の対応する症状、下段の対応する患者様の体力や体質に応じて、処方される漢方薬は異なります。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
寒さにさらされるとサラサラとした鼻水が止まらない。くしゃみが止まらない。
体力が中等度、またはやや虚弱の方。
苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
水のような薄い痰を伴う咳が出る。寒さにさらされるとサラサラとした鼻水が止まらない。
体力のない冷え性の方。胃の力が弱く食が細い方。高齢者。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
寒さにさらされるとサラサラとした鼻水が止まらない。
体力のない方。高齢者。冷え性の方、とくに手足が冷えている方。
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
鼻づまりがひどく呼吸しにくい。鼻水はあまり出ない。
比較的体力のある方。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
慢性的なアレルギー性鼻炎。鼻水が黄色っぽくて非常に苦しい。
体力が中等度以上ある方。
補剤:補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の働きを高め、食欲を出すことで体質改善を目指す。
体力が弱く胃腸が弱い方。腎臓・副腎の機能が弱い方。

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