花粉症でマスクつけている女性のイラスト スギやヒノキの花粉などで、鼻水が出る、鼻が詰まる、目が痒くなるなどの症状が出る花粉症。そのなかでも、スギを原因とするスギ花粉症は全人口の26.5%、約4人に1人が発症しているといわれています。

城内病院では、スギ花粉症の根本的な治療をご希望される患者様に、舌下免疫療法をお勧めしています。以下はスギ花粉症の舌下免疫療法の特徴です。

  • アレルギー症状を治したり、長期に渡り症状を抑える可能性のある治療法。症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量も期待できます。
  • 治療前に検査を行ない、スギ花粉が原因アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となるもの)であるという確定診断が必要です。
  • 治療は長期(3~5年)の継続が必要です。1日1回、舌の下に薬剤を滴下して吸収させます。吸収時間は2分。毎月1回、病院での受診をお願いします。
  • 舌下免疫療法を正しく継続することで、「鼻水などの症状がなくなった」、「アレルギーの薬を減らせた」、「軽快して楽に生活できる」などの効果が約70~80%の患者様に認められています。

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城内病院での花粉症の問診と検査

まず、問診においてどのような症状か、程度、症状の出る時期、アレルギー歴などを患者様にお尋ねします。
つぎに、花粉症が疑われる患者様の血液を採取し、血液抗体検査によって原因アレルゲンを確定します。さらに必要であれば、鼻汁検査も行ないます。

血液抗体検査
血液を採取してスギ花粉症のアレルギーに関わるIgEに対する抗体の量を調べる検査。さらに、アレルギー症状の原因と考えられるスギなどのアレルゲンを確定する。
鼻汁検査
鼻水を採取して、鼻水中の好酸球数を調べる。花粉症により鼻水中に好酸球と呼 ばれるアレルギー反応の免疫を担う細胞が増えているかを確認する。

城内病院でのスギ花粉症の治療

検査において、患者様のアレルギー症状の原因アレルゲンがスギ花粉と確定されると、主に以下の3つの治療法や対処療法を行ないます。舌下免疫療法は患者様のご希望が必要です。

  • 舌下免疫療法:スギ花粉を原料としたエキス(商品名:シダトレン)を少量から徐々に投与することで、体をアレルゲンに慣らしアレルギー症状を和らげる。さらに、根本的な体質改善も期待できる治療法。スギ花粉症のアレルゲン免疫療法の1つ。
  • 薬物療法:アレルギー症状を抑える治療薬を使用する対処療法。症状を起こす物質(ヒスタミンなど)の働きや鼻の中の炎症を抑えて症状を和らげる。飲み薬、目薬、点鼻液など患者様の症状や程度に適した薬を処方。
  • スギ花粉(アレルゲン)の回避・除去法:日常生活においてのスギ花粉の回避・除去法を医師が指導。

スギ花粉症の舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法の1つ)について

2014年より保険適用になったスギ花粉症の舌下免疫療法は、アレルゲン免疫療法薬のシダトレンを舌の下に滴下し、2分間保持することでスギ花粉症を治療するアレルゲン免疫療法の1つです。

それ以前に行われていたアレルゲンを皮下注射する皮下免疫療法は、注射のために病院に通う必要があることと注射で痛い思いをすることのデメリットが原因で、治療を中途で止めてしまう患者様が多くいました。

舌下免疫療法のメリットは、自宅で服用できることと注射の痛みがないことです。ですから、治療を継続することが皮下免疫療法と比べ容易になりました。

スギ花粉症の舌下免疫療法の効果

長期間、正しく治療を継続すると、アレルギー症状が治ったり、長期に渡り症状を抑える可能性があります。症状が完全に抑えられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。

舌下免疫療法を行った患者全体の70~80%の方に効果が見られます。そのうちで、10~20%の方が完治、少しの症状はあったがとても良くなった方が20~30%程いらっしゃいます。

  • くしゃみ、鼻水が出る、鼻づまりの改善。
  • 目のかゆみ、涙目の改善。
  • アレルギー治療薬を減量できる。
  • 症状による集中力の欠如などが改善され、生活の質(QOL)が向上する。

アレルゲン免疫療法薬のシダトレンとは

シダトレンは、スギ花粉を原料としたエキス。服用時期によって決められた量を舌下に滴下します。少量から徐々に増量することで、体をスギアレルゲンに慣らしアレルギー症状を和らげます。服用開始前にはスギアレルゲンの確定診断が必要です。

シダトレンの服用方法、服用において注意すること、副作用については、“スギ花粉症の舌下免疫療法薬のシダトレンとは?”にて詳しく解説しています。どうぞご覧下さい。

シダトレンによる舌下免疫療法をお勧めしたい患者様

勉強をしている女子学生のイラスト シダトレンによる舌下免疫療法は、3~5年間毎日継続して服用する必要があります。城内病院では、治療を継続することが可能な患者様のご希望のもと、スギ花粉症の舌下免疫療法を行ないます。
とくに、以下の方は、舌下免疫療法で効果が上がると生活の質の向上が見込まれる方です。ぜひ城内病院を訪れて医師にご相談下さい。

  • スギ花粉症によりテストや勉強時に集中力を欠く受験生。高校入学時から始めるとベスト。
  • 妊娠を予定していてアレルギー治療薬を服用できない方。
  • 毎年、症状がひどく仕事や日常生活に支障をきたす方。

シダトレンによる舌下免疫療法が受けられない方

  • 花粉症の原因がスギ花粉でない方。
  • 以前にシダトレンでアナフィラキシー反応の経験がある方。
  • 気管支ぜんそく発作がコントロールされていない方や以前重篤な発作をおこした方。
  • ステロイドや免疫抑制剤服用中の方。
  • 12才以下の方。

また、シダトレンでの舌下免疫療法に際して注意が必要な患者様もいらっしゃいます。シダトレンでの治療が可能かどうか、医師にご相談下さい。

舌下免疫療法を正しく継続することで、スギ花粉症の根本的な治療が期待できます

継続することでより効果が現れる舌下免疫療法は、3~5年の長期間に渡り治療を正しく継続しなければなりません。自己判断で服用を中断すると症状が再び悪化することがあります。そのため、治療の継続に努力と忍耐が要求されることを患者様に理解していただく必要があります。

シダトレンによる舌下免疫療法は、薬物療法などの対処療法とは異なり、スギ花粉症の根本的な治療が期待できます。あなたの生活に支障をきたし、毎年悩まされるスギ花粉症を和らげます。さらには、長期に渡り症状が治まったり、完治も期待できます。

長期間継続して治療することを了解していただいたうえで、スギ花粉症の根本的な治療をご希望される方は、城内病院を訪れて医師にご相談下さい。

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