肩腱板断裂手術後のリハビリにおいて、自主訓練は早期回復のカギとなります。
今回は、肩腱板断裂手術後の自主訓練の代表的な運動、「ペンギン体操」と「タオル体操」を紹介します。紹介する自主訓練は、肩腱板修復部分にはほとんどストレスが掛かりません。
無理をしない範囲で、あせらず根気よく行ないましょう。
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肩腱板断裂について
肩腱板断裂手術後のリハビリ ~スケジュールと手術後に大切な4つのこと~
ペンギン体操
手術後にウルトラスリング(外転装具)を装着していても行える自主訓練です。
肩甲骨の周りにはたくさんの筋肉が付着していて、腕から肩甲骨や背骨から肩甲骨などに繋がっている筋肉が多くあります。
そのため肩甲骨の動きが悪くなると、姿勢にも影響を与えて二次障害の要因となる可能性があります。具体的には、関節を2~3日動かさないことで身体の血液循環障害や栄養障害などが発生し、二次障害の引き金となります。
二次障害を起こさないために、手術後早期に自主訓練を指導する必要があるのです。
ペンギン体操は、手術により縫合した部分にはほとんどストレスを生じないため術後早期からできる運動です。
肩の上げ下げ
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肩の力を抜き、リラックスする。
※座位でも立位でも可。 -
肩を大きくすくめて、ゆっくり下ろす。
※ 肩甲骨に意識して。
※ 呼吸は止めないように。
胸張り体操
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肩の力を抜き、リラックスする。
※ 座位でも立位でも可。 -
胸を張り、左右の肩甲骨を背骨に近づける。
※ 首周りに力を入れずに、背中から腰に力を入れるように意識してください。 -
身体を(背骨を)丸くするように意識しながら行う。
※ 左右の肩甲骨を前方に持ってくるように意識してください。
タオル体操
タオルで机を拭くように肩を動かします。
ウルトラスリング(外転装具)のクッションを除去した後に、お部屋などでもできる自主訓練です。痛みの強い場合(安静時でも痛みがある場合)は控えていただきます。
ご自身の力で動かすことにより、肩関節の可動域向上や肩甲骨と上腕骨との協調性を獲得していく訓練です。タオルを動かすことにより摩擦が生じ、軽い抵抗運動となります。
前方みがき
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手をタオルの上に置く。
※ リラックスすること。
※ 手の延長線上に肘がくること。 -
タオルをゆっくり前方に、机を拭くように動かす。
※ 腕を前方に動かす際、身体は捻じらないように注意する。
※ 腰から体を前に傾けるようにしてください。
水平みがき
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腕を伸ばし、体の前に置く。
※ 肩をすくめないように。
※ 手掌をタオルにつける。 -
タオルをゆっくり左右に、机を拭くように動かす。
※ 腕を左右に動かす際、身体は捻じらないように注意する。
ワイパー磨き
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肘を直角に曲げ、体の前に置く。
※ 腕は体につけ、台に乗せる。 -
肩を動かさず肘を左右に開き、机を拭くように動かす。
※ 肘は身体に付けたまま。
肩腱板断裂手術後早期の自主訓練は大切です
紹介させて頂いたペンギン体操とタオル体操は、自主訓練の中の基本的な運動です。
手術後の身体状態に応じて、リハビリスタッフは他にもさまざまな自主訓練を指導します。二次障害を引き起こさないために、術後早期の自主訓練は大切です。
関節鏡視下腱板修復術後からの6週間、患者様にはウルトラスリング(外転装具)という固定装具を装着して、入院生活を送っていただきます。
とくに術後早期に病室で出来る自主訓練に努めていただくことは、早期回復において重要です。
リハビリスタッフは患者様の状態に応じて、断裂部分にほとんどストレスがかからない自主訓練運動を指導します。
患者様にもご協力いただき、自主訓練で肩関節機能・肩腱板機能の回復に努めましょう。