今回は、歩行障害の原因と成り得る扁平足と足底腱膜炎の説明を行い、足関節機能を維持・向上できる簡単なエクササイズとストレッチを紹介します。

足とは、一般的に足関節と足部が含まれ1つの機能ユニットと考えられています。
足は脛骨と腓骨に連なる7個の足根骨と、5個の中足骨、14個の趾骨および数個の過剰骨からなっています。
両足で56個(片足28個)の骨が存在しており、からだ全体の1/4の骨が足に存在しています。
ちなみに関節は55個あります。

足部の機能としてはおもに以下の3点が挙げられます。

  • 情報の収集(足底圧情報)。
  • 歩行時の衝撃吸収。
  • 体へ推進力を与える。

足部は人体の中で最も地面に近い位置にあり、1日数千回にも及ぶ接地の衝撃にさらされています。
そのため健康な足部の知覚機能は、下肢の保護と誘導に重要な役割を果たしていると考えられています。
つまり、足部の機能が破綻すると、歩行障害やスポーツ外傷などに繋がるリスクが高まります。

関連リンク
成人期扁平足は後脛骨筋腱の変性や断裂が原因
中高年に多い足底腱膜炎とは?

扁平足とは?

立っている時に土踏まずが地面に接している、もしくはその状態に近い足のことを一般的に扁平足といいます。

扁平足になると足の骨同士の結束が緩み軟弱な骨組みとなり、骨格の頑丈さで体重を支えることが出来なくなってしまいます。
筋肉、腱や靭帯などに大きな負担がかかり、障害、疲れや運動のパフォーマンス低下などにつながっていきます。

足底腱膜炎とは?

足底腱膜とは踵の骨から足の指へ広がる強靭な腱の膜であり、足の土踏まず(縦アーチ)を支える重要な役割があります。
歩行やランニングにおいて、地面と足部の衝撃を和らげるクッションとして働きます。

足底腱膜炎は、ランニング動作を中心に陸上競技に多い障害です。
ふくらはぎの筋肉や足底腱膜が硬い、扁平足、土踏まずが高い足の方は、ランニングや歩行などで足底腱膜に強いストレスが加わります。

このストレスが繰り返されること(オーバーユース)で、足底腱膜に炎症が起こり、痛みの発生につながることがあります。

扁平足と足底腱膜炎のためのエクササイズ

扁平足と足底腱膜炎のために足関節機能を維持・向上できる簡単なエクササイズを紹介します。

タオルギャザー

目的
足趾(足指)の筋力訓練。土踏まず(縦アーチ)の維持に繋がる。
方法
足趾でタオルを手繰り寄せる。重錘(おもり)をタオルに載せても良い。
注意点
出来るだけ踵を固定し、足趾だけでタオルを手繰り寄せる。低負荷から始めましょう。
回数
まずは2~3回から始めましょう。慣れてきたら回数を増やします。
タオルギャザーの様子1
タオルギャザーの様子2

ビー玉拾い

目的
足趾の筋力訓練。土踏まず(縦アーチ)の維持に繋がる。
方法
足趾でビー玉を拾い上げて、足趾を広げてビー玉を落とす。
注意点
足趾でしっかり把持しましょう。
回数
拾う個数あるいは訓練時間を設定する。初めは個数ならば30個、訓練時間であれば60秒から始めましょう。
ビー玉拾いの様子

つま先立ち

 
目的
ふくらはぎ(下腿三頭筋)の筋力訓練を行うことで、血流促進や土踏まず (縦アーチ)の維持に繋がる。
方法
踵を挙げる。
注意点
不安定な場合は支持物をつかむ。息を吐きながらゆっくりと。
回数
初めは20回、慣れてきたら徐々に回数を増やしましょう。
つま先立ちの様子1
つま先立ちの様子2

扁平足と足底腱膜炎のためのストレッチ

足関節機能を維持・向上できるストレッチは、筋肉・靱帯の柔軟性を高め、足関節の安定性を高めることを目的とします。

ふくらはぎのストレッチ

目的
足首の柔軟性を高める。
方法
踵が離れない様に、徐々にふくらはぎを伸ばす。
注意点
息を吐きながらゆっくり伸ばす。
回数
20秒を2セット。
ふくらはぎのストレッチの様子

ゴルフボールを使用する足裏のストレッチ

目的
リラクゼーション効果、血流促進。
方法
足の裏にゴルフボールを置きコロコロ転がす。
注意点
転倒しないように座って行いましょう。
回数
2分から始めて、慣れてきたら徐々に時間を増やしましょう。
ゴルフボールを使用する足裏のストレッチの様子1
ゴルフボールを使用する足裏のストレッチの様子2