階段を登り際、息切れする高齢者のイラスト 最近、高齢者の健康をテーマにした新聞記事やテレビ番組でよく目にする「サルコペニア」。
サルコペニアとは、「加齢に伴う筋肉量減少によって、筋力や身体機能が低下している状態」を示す言葉です。

1989年に米国の研究者Irwin Rosenbergが、加齢に伴い骨格筋量の減少が起こることの重要性を主張するために提唱。
「サルコペニア(sarcopenia)」とは、ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarx)」と喪失・減少を意味する「ペニア(penia)」を組み合わせた造語です。

(関連リンク)
ロコモ対策で健康寿命を延ばしましょう

サルコペニアの定義とは?

2010年にEWGSOP(The European Working Group on Sarcopenia in Older People)はサルコペニアの診断基準を、「筋肉量の低下」を必須条件として、「筋力の低下」、または「身体能力の低下」を満たす場合としています。

つまり、サルコペニアとは高齢に伴う「筋肉量の低下」に加え、握力や体幹筋など全身の「筋力の低下」、または歩行速度の低下などの「身体機能の低下」がおこることを指します。

なぜサルコペニアが注目されているのか?

転倒した高齢者女性のイラスト 進行する高齢化が大きな社会問題となっている近年、サルコペニアは注目ワードとなっています。では、なぜ注目されるのか?
それは高齢者にとってサルコペニアは、要介護状態につながるリスクを孕んでいる危険な状態だからです。

人の筋肉量は40歳を超えると徐々に減少します。一般的に50歳以降は1年に1~2% 程度筋肉量が減少すると言われています。
年々筋肉量は減少するため、高齢になるほどサルコペニアの条件を満たしやすくなります。

サルコペニアの高齢者は筋力低下や身体能力低下により、ふらついて転倒しやすくなります。高齢者には骨粗しょう症の方も多いため、転倒すると大腿骨近位部などを骨折するケースが多くなります。

高齢者にとって転倒して骨折することはとても怖いことです。なぜなら、高齢者の骨折は体を動かすことの困難により、寝たきり・要介護状態になるリスクが高くなるためです。

サルコペニアの原因とは?

サルコペニアは、加齢以外の原因がない「1次性サルコペニア」、加齢に疾患、栄養状態や活動性の原因が加わる「2次性サルコペニア」に分類されます。

1次性サルコペニア

加齢以外に明らかな原因がないものを1次性サルコペニアと呼びます。
筋肉量は筋タンパクの合成と分解の繰返しによって維持されています。高齢になると複数の要因が関与して、筋タンパクの合成と分解のバランスが崩れて筋肉量が減少しやすくなります。

  • 筋タンパクの分解量が合成量を上回った状態。
  • 筋肉量の増加に関与する性ホルモンの減少。
  • アポトーシス:筋肉を働かすために必要な細胞の死。
  • 細胞からエネルギーを取り出すミトコンドリアの機能障害。

2次性サルコペニア

加齢に加齢以外の疾患、栄養状態や活動性の原因が加わったものを2次性サルコペニアと呼びます。

  • 重症の臓器不全、炎症性疾患、悪性腫瘍、内分泌疾患によるもの。
  • 栄養の吸収不良、消化管疾患や薬の副作用による食欲不振などの低栄養状態。
  • 寝たきりや不活発な生活スタイルなどの活動能力低下によっておこる廃用。