嚥下機能が低下している患者様に、城内病院栄養部は食事面でどのような工夫と対策を行っているのかを詳しく紹介します。

嚥下とは?

嚥下とは、食べ物を口にして飲み込む動作のことです。
嚥下の流れは以下の6段階からなってます。

  1. 食物の認知
  2. 口への取り込み
  3. 咀嚼(そしゃく)と食塊形態
  4. 咽頭への送り込み
  5. 咽頭通過
  6. 食道通過

嚥下障害とはこの6段階のプロセスでの障害により、食べ物や液体をうまく胃まで運べなくなった状態です。
嚥下障害の大きな原因は脳血管疾患にありますが、年齢を重ねるにつれて、嚥下能力は衰えていきます。

「誤嚥性肺炎」という言葉を聞いたことはありませんか?
現在、日本人の死因第3位は肺炎。そのうち75歳以上の方の肺炎は80%以上が誤嚥性肺炎だと言われています。
「誤嚥性肺炎」とは、嚥下機能がうまくいかずに食べ物が気管のほうに入り、肺炎を起こしてしまうことです。

以下は、嚥下障害が疑われる徴候です。

  • 食事量の減少
  • 食事時間の延長
  • 食べこぼしの増加
  • せきや痰が見られる

誤嚥を防ぐために城内病院栄養部が行っている工夫と対策

嚥下機能が低下している患者様に、城内病院栄養部が食事面でどのような工夫と対策を行っているのか紹介します。

お粥 誤嚥を防ぐための工夫と対策

唾液には、お米に含まれるでんぷんを分解する酵素が含まれています。そのため、食べ進んでいくうちにお米と水分が分かれてしまいます。これは誤嚥の原因となります。 ゼリー食の素になる製品を使い、誤嚥対策を行っています。

種類 説明 写真
粥ムース お粥にスベラカーゼを加え、ミキサーにかけます。お米の形態も細かく、均一になりプルンプルンになります。また、甘味も増します。 大根の煮物の写真大根の煮物の写真
粥トロミお粥にスベラカーゼを加え、火にかけます。お米の形状は維持されますが、にこごりのようになり、米と水分にまとまりが出ます。 大根の煮物の写真大根の煮物の写真

おかず 誤嚥を防ぐための工夫と対策

刻み食を提供している患者様にはトロミをつけて提供しています。 とくに、肉や魚などは調理法によってはパサついているものがあります。パサつきがある食べ物は、より誤嚥のリスクが高まります。
トロミをつけることで食べ物にまとまりを与え、誤嚥を防ぎます。

ムース食を提供している患者様には、おかずにだし汁を適量加えてミキサーにかけ、食べ物の形状を残さずペースト状にしたものなどを提供しています。
水分が多い分だけ誤嚥になりやすいため、増粘剤などを利用し粘度調整しています。

大根の煮物の写真 ペースト状にした大根の煮物の写真

嚥下食で使用しているおかずとペースト状にしたおかずの例

汁物 誤嚥を防ぐための工夫と対策

普段私たちが何気なく口にするお茶などの飲み物も誤嚥しやすいです。
あえてトロミをつけることで誤嚥を防いでいます。患者様の嚥下状態に応じてトロミを強くするなど調整もしています。

また、朝のお味噌汁なども刻み食での提供の患者様には誤嚥を防ぐためにトロミを付けています。

カップにに入ったお茶に蜂蜜入れる写真 カップにに入ったトロミ付けしたお茶の写真

蜂蜜状にトロミ付けしたお茶(右)

付加食品 誤嚥を防ぐための対策

ゼリーや飲み物を加えることでカロリーやたんぱく質の補給を目的とします。
一言に付加食品と言っても、たんぱく質が多く含まれているもの、離水が少ないものなど種類によって特徴があります。患者様の嗜好や摂食状況などを考慮して、味や個数を選んでいます。