肥満には皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2つのタイプがあることを、”肥満と体脂肪の関係について”にて、解説しました。
どちらのタイプの肥満も様々な病気の要因となりますが、とくに注意を要するのが内臓脂肪型肥満です。

腹腔内の腸のまわりに脂肪が過剰に蓄積している状態で、下半身よりもウェストまわりがポコっと大きくなるため、「リンゴ型肥満」とも呼ばれる内臓脂肪型肥満は、メタボリックシンドロームや心血管疾患、糖尿病、高血圧、脳卒中などの病気のリスクを高めることが問題視されています。

内臓脂肪型肥満のイラスト

(関連リンク)
肥満、肥満症、メタボリックシンドローム
肥満とはなにか?

内臓脂肪型肥満の判定方法

内臓脂肪型肥満を正確に判定するためには、病院でのCT検査でへその高さの位置の断面像を撮影する必要があります。
断面像から内臓脂肪面積を算出して、100㎠以上の場合に脂肪型肥満と判断することができると定められています。

クリニックや健診などでCT検査での判定ができないケースでは、内臓脂肪面積100㎠に相当する簡便な目安として、おへその位置での腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で内臓脂肪型肥満と判定されています。

なぜ、内臓脂肪型肥満は危険なのか?

内臓脂肪型肥満は、内臓に脂肪が蓄積することによって生じる肥満の一種であり、リスクの高い病気の要因となるため危険な肥満と問題視されています。
なぜ、「内臓脂肪型肥満は危険なのか」の理由を紹介します。

  • メタボリックシンドロームのリスク
    高血圧、糖尿病、高脂血症、動脈硬化などと合併してメタボリックシンドロームの発症リスクを高めるとされている。
  • 糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病のリスク
    内臓脂肪が増加することで、インスリン抵抗性が生じ糖尿病の発症リスクが高まる。高血圧や高脂血症などの生活習慣病のリスクも高める。
  • 心血管疾患や脳卒中のリスク
    心血管疾患や脳卒中などのリスクを高める。内臓脂肪が脂肪酸を放出することで、血管内膜に損傷が生じることが関係していると考えられている。
  • がんのリスク
    がんの発症リスクを高める。大腸がん、胃がん、肝がん、膵がん、乳がんなどのリスクが高くなるとされている。
  • 睡眠時無呼吸症候群のリスク
    睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める。首まわりやあごの周りの脂肪が口奥の入口付近において睡眠時に閉塞状態となり、空気の流れをふさぎ呼吸の妨げとなり低酸素状態となるため。
  • 脂肪肝のリスク
    肝臓に脂肪が蓄積されることで肝臓に負担がかかり脂肪肝のリスクを高める。
  • 腰痛や膝関節痛のリスク
    体重により関節への負担が増加するため、腰痛や膝関節痛などが生じるリスクを高める。

内臓脂肪型肥満は早期に解消が必要

内臓脂肪型肥満を解消するには、適度な食事や運動を心がけること。
内臓脂肪が溜まる原因は、食事で摂取するエネルギーが消費するエネルギーよりも上回っている場合や運動不足などが考えられます。
その解消には食事による摂取エネルギーをコントロールすること、継続的な適度な運動で内臓脂肪を減らすことが大切。
内臓脂肪は溜まりやすいが燃焼しやすいため、医師の指導を受けて適切に治療すれば、危険な内臓脂肪を減らすことができます。