肥満とは体脂肪が必要以上に増えた状態のこと。体脂肪とは、からだに蓄積される脂肪量のこと。
おもに脂肪細胞に蓄えられています。脂肪細胞は、脂肪酸やグリセリンといった脂質を含む小さな球状の細胞で、からだの各部位に存在しています。
脂肪細胞は、体の機能を正常に保つためのホルモンなどの物質を生成しています。また、エネルギー源を貯蔵して体温を保つ役目、外部からの衝撃から内臓を守る役目を担っています。

一方、体脂肪が増えすぎて肥満状態になると様々な病気やけがの要因になります。
とくに、肥満が要因となる糖尿病や高血圧などの生活習慣病が悪化して動脈硬化をおこせば、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる危険な心血管イベントがおきるリスクは高まります。

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体脂肪が増えすぎる要因は?

以下は、体脂肪が増えすぎる代表的な要因です。これらの要因が複合的に影響して、体脂肪が増えすぎて肥満状態になると考えられています。

  • 加齢:年齢と共に基礎代謝量が減少するため。
  • 過剰なカロリー摂取:高カロリー食品やブドウ糖入り飲料の食べ過ぎ飲み過ぎ。
  • 運動不足:身体活動が少ないと消費するカロリーが減り、脂肪を蓄積しやすくなる。
  • 睡眠不足:食欲を刺激するホルモンの分泌を増加させるため、食事量が過剰になる傾向がある。
  • ストレス:ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を促進させ、脂肪の蓄積を助長する。
  • 遺伝的要因:遺伝的傾向がある場合、体脂肪を蓄積しやすくなることがある。

2種類の体脂肪 ~皮下脂肪と内臓脂肪~

体脂肪には、身体の表面に蓄積される皮下脂肪と、内臓周囲に蓄積される内臓脂肪の2種類があります。

皮下脂肪とは?

皮下脂肪とは、皮膚の下にある脂肪層のこと。皮下は、身体の脂肪貯蔵の主要な場所の一つ。
皮下脂肪の分布は人によって異なりますが、通常は腹部、臀部、大腿、上腕などに分布しています。
皮下脂肪の役割は、身体の保護、体温の維持、エネルギーの貯蔵、代謝量の調節など。

皮下脂肪は溜まりにくいが燃焼しにくく、女性や子供に付きやすい傾向があります。
過剰に皮下脂肪を溜め過ぎると、糖尿病、心臓病、高血圧などの疾患のリスクを増加させるため、適切な皮下脂肪水準を維持することが重要です。

内臓脂肪とは?

内臓脂肪とは、腹腔内に存在する脂肪のこと。内臓脂肪は、腹腔内の臓器(肝臓、腎臓、膵臓、腸など)の周りに存在し、体内の重要な代謝活動に関わっています。肥満やメタボリックシンドロームの指標としても使用されることがあります。

内臓脂肪は、溜まりやすいが燃焼しやすく、30代以上の男性や閉経後の女性につきやすい傾向があります。
過剰に蓄積すると、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中などの生活習慣病のリスクを高めることが知られています。内臓脂肪の量を減らすためには、適切な食事や運動などの生活習慣改善が必要です。

皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満

前述したように、体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があり、どちらの体脂肪がつきすぎているかで肥満のタイプは皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2つに分けられます。

皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)と、内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)のイラスト

皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)

皮下脂肪型肥満は、皮下組織に脂肪が過剰に蓄積している状態で比較的女性に多くみられます。お尻や太ももなど下半身の肉づきが良くなるため、「「洋ナシ型肥満」」とも呼ばれます。

皮下脂肪は溜まりにくいが燃焼しにくいため、いったんついてしまうとなかなか減らしにくい傾向があります。内臓脂肪型肥満と比べれば、動脈硬化のリスクは低くなりますが、皮下脂肪型肥満も睡眠時無呼吸症候群・関節痛・月経異常などを合併することもあります。

内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)

内臓脂肪型肥満は、腹腔内の腸のまわりに脂肪が過剰に蓄積している状態で、比較的男性に多くみられます。下半身よりもウェストまわりがポコっと大きくなるため、「リンゴ型肥満」とも呼ばれます。
BMI25未満で肥満を示す数値に該当しないのに、内臓脂肪が蓄積している場合があります。これを「隠れ肥満症」と呼ぶことがあります。

最近の研究で、内臓脂肪は動脈硬化を引き起こすタンパク質を生み出すことがわかってきました。
そのため内臓脂肪型肥満がメタボリックシンドロームや心血管疾患、糖尿病、高血圧、脳卒中などの病気のリスクを高めることが問題視されています。

なるべく早期に内臓脂肪型肥満の解消には、適切な食事と運動による生活環境の改善、ストレスの軽減、十分な睡眠などの対策が必要とされています。