近年の研究により「からだの酸化」が老化促進の大きな要因と考えられるようになりました。

からだの酸化にはフリーラジカル・活性酸素が大きく関与しています。本記事では、フリーラジカル・活性酸素がからだを酸化させるメカニズムを詳しく解説します。

からだの酸化によって促進される老化への対策は、“アンチエイジングのための2つの抗酸化力強化法”で紹介しています。どうぞご参照ください。

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「からだの酸化」とは?

私たちは呼吸により体内に酸素を取り込んで活動のエネルギーを作り出しています。
しかし、取り込んだ酸素のすべてを消費できずに2~3%の酸素は余分なものとして体内に残り、フリーラジカル・活性酸素に変化します。
フリーラジカル・活性酸素が体内に生じた状態を「からだの酸化」と呼びます。

「からだの酸化」は老化症状を促進するだけでなく、がん、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因にもなります。

フリーラジカル・活性酸素が酸化を促進するメカニズム

フリーラジカルとはペアで2つあるべき電子が1つしかない分子や原子のこと。
体内で使い切れなかった酸素が変性したフリーラジカルは、周りの分子から電子を1つ奪ってペアになり安定しようとする性質があります。

活性酸素とは、大気中の酸素よりも活性化された酸素およびその関連分子の総称。
呼吸で取り入れたうち消費できずに体内に残った酸素も活性酸素となり、不安定でさまざまな物質と反応しやすい性質があります。

本稿では人体内にあるフリーラジカルであり、かつ活性酸素である物質(スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル)を「フリーラジカル・活性酸素」と定義しました。

「フリーラジカル・活性酸素」の関係図

フリーラジカル・活性酸素によって電子を奪われて細胞が不安定な状態になることを「からだの酸化」と呼びます。
酸化により体内のタンパク質や脂肪などの細胞が変性し破壊されることで、老化現象が促進します。また、がん、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因にもなります。

フリーラジカル・活性酸素を増やす外部要因とは?

フリーラジカル・活性酸素は体内でも生成されますが、外部環境にもフリーラジカル・活性酸素を増やす要因はあります。

おもに紫外線、食事の内容、ストレス、タバコ、排気ガス、過剰なアルコール摂取、過激な運動、低質な睡眠などもフリーラジカル・活性酸素が増える因子です。
これらの要因を排除・改善することでフリーラジカル・活性酸素の増加を抑制できます。

紫外線
紫外線にあたると皮膚にフリーラジカル・活性酸素が大量発生する。シミやシワなど皮膚や見た目の老化に影響。
食事の内容
食品添加物や脂質(揚げ物、揚げ菓子など)の摂りすぎは酸化を促進させる。
ストレス
ストレス(不安、緊張状態、イライラなど)により血管が収縮して血行障害がおきると、酸素の循環が滞りフリーラジカル・活性酸素の発生を招く。

タバコ
タバコの煙は大量のフリーラジカルを含む。抗酸化物質であるビタミンCを破壊する。
アルコール
過剰にアルコールを摂取すると肝臓自体がアルコール分解できなくなりフリーラジカル・活性酸素が発生する。
排気ガス
トラックなどのディーゼルエンジンの排気ガス自体にフリーラジカルが含まれる。

低質な睡眠
睡眠不足、不規則な睡眠リズム、昼夜逆転など低質な睡眠はフリーラジカル・活性酸素を増加させる。
過激な運動
アスリートのように限界まで激しい運動をすると酸素摂取量が多くなるため、体内にフリーラジカルを過剰に吸収してしまう。

活性酸素・フリーラジカルが抗酸化作用を上回る酸化ストレスとは?

活性酸素・フリーラジカルが過剰な生成やあってはならない場所で生成されると、抗酸化作用による無毒化が間に合わなくなります。
このように活性酸素・フリーラジカルの生成が抗酸化作用を上回った状態のことを酸化ストレスと呼びます。

酸化ストレスになると、生体の膜や組織を構成する分子がフリーラジカル・活性酸素に攻撃されてダメージ・損傷を受けるため、老化が促進されるだけでなくがんや生活習慣病をひきおこす可能性も高まります。

酸化ストレスにおける、活性酸素・フリーラジカルと抗酸化作用の関係