急性腰痛症とは、いわゆる“ぎっくり腰”のこと。
急に重いものを持ち上げた時やからだを強くひねった時に、「ギクッ」「ズキッ」と強烈な痛みが走ります。
腰に負担をかけずに安静にしていると、1週間ほどで治るケースが多い症状です。
しかし、可能であれば、なるべく早く病院で検査や診断を受け、適切な治療を受けることをお勧めします。
その理由は、なるべく早期に適切な治療を受けると治癒が早くなり、仕事や日常生活に早く戻れるからです。
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急性腰痛症の原因と発症契機
腰に急激な負荷がかかることで、腰周囲の筋肉が損傷したり関節に炎症が起こることが原因です。
急性腰痛症=ぎっくり腰の約90%が、筋肉の損傷である筋筋膜性腰痛症で、残りの10%に椎間関節性腰痛症と椎間板性腰痛症があります。
発症契機にはさまざまなケースがあります。とくに、膝を曲げずに前かがみで持ち上げる動作や拾うなどの動作を行うと発症するケースが多いと推察されます。
- 重い荷物を急に持ち上げた時。
- 膝を曲げずに前かがみでゴミなどを拾う、床にあるものを取ろうとした時。
- 洗顔時に、中腰の姿勢を長い間とった時。
- くしゃみや咳をした時。
- 体を強くひねる運動(ゴルフや野球など)で腰に無理な負荷がかかった時。
急性腰痛症になりやすい方
急性腰痛症=ぎっくり腰になる患者様はあらゆる世代に及びます。とくに、重いものを持つ重労働に携わっている若い方に多い傾向があります。
城内病院では、ぎっくり腰ではないかと来院される60才以上の高齢患者様の場合、レントゲン検査でほとんどの患者様に骨の変形が見られるため、変形性腰椎症と診断して変形性腰痛症に応じた治療を行います。
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変形性腰椎症
急性腰痛症の症状
症状の程度や痛みはさまざまです。「あまりの痛さに息ができない」、「ひどい痛みで歩けず、その場から動けない」など、発症時に「ギクッ」「ズキッ」と腰に強烈な痛みが走ることがあります。
一方、「痛みはあるが、歩いたり仕事は続けられる」、「最初はそれほど痛みがなかったが、しばらくして強い痛みが出た」など、発症時には痛みがそれほどでもないケースもあります。
急性腰痛症=ぎっくり腰の症状の特徴は、安静にじっとしていると痛みが軽減するが、からだを動かすと痛みが強くなること。しかし、下肢がしびれたり下肢に痛みが広がったりすることはありません。
発症後、2~3日安静にしていると痛みは和らぎ、約半数は1週間ほどで治り、90%は6週間以内に治ります。
痛みがそれほどでなければ、腰に負荷をかけないように注意して日常生活を過ごすことも可能です。
急性腰痛症の発症直後の対処法と病院を受診するタイミング
急性腰痛症=ぎっくり腰発症直後の症状や痛みの程度により対応は異なりますが、基本的には安静を保つことが大切です。
- 痛みがない姿勢で安静を保つことが最も大切。横向きの姿勢で寝ることが一番良い。
- 痛みで動けず、すぐに横になれない場所や状況なら四つん這いの姿勢で休み、様子を見ましょう。
- 腰を激しくひねるなどの急激な動きをしない。
- 腰に痛みを覚えるような姿勢をとらない。
- お風呂に入らない。腰を温めない。発症直後はシャワーで済ませましょう。
可能であれば、なるべく早く病院で検査や診断を受け、適切な治療を受けることをお勧めします。その理由は、なるべく早期に適切な治療を受けると治癒が早くなり、仕事や日常生活に早く戻れるからです。
また、自分ではぎっくり腰と思っていても、病院で正確な検査や診断を受けることで、違う病気と分かることもあります。
城内病院の急性腰痛の検査と治療
レントゲン(X線)検査を行います。レントゲン検査では急性腰痛症かどうかはわかりませんが、変形性腰椎症と区別することが可能です。
60才以上の方がぎっくり腰と思っていても、痛みが持続する変形性腰椎症と診断されるケースが多いです。その場合は変形性腰痛症に応じた治療を行います。
治療開始から1週間までの治療について
病院で適切な治療を受けることで早い改善が期待できます。1週間治療を続けると約半数の患者様が治癒します。
- 簡易コルセット:腰部の安静を保つ。
- 内服薬の服用:消炎鎮痛剤や筋弛緩薬で患部の痛みと炎症を軽減する。
1週間治療しても腰痛が改善しない場合
上記の治療を1週間続けても改善しない場合は、物理療法と運動療法を追加します。
- 物理療法:電気治療室で行う温熱療法。血流改善作用により疼痛が軽減します。
- 運動療法:負担の少ないストレッチを行い、回復に伴い軽度の筋力訓練を加えます。