城内病院では、変形性肩関節症の手術療法として変形した肩関節の代わりに人工関節に置き換える手術法を採用しています。
軟骨がすり減り関節の隙間が非常に狭い、骨棘が著しいなど肩関節の変形が進行して痛みが強いケースや保存的療法で治癒が期待できないケースでは、患者様に人工関節置換術をおすすめすることがあります。
変形性肩関節症の人工関節置換術には、人工肩関節全置換術(Total Shoulder Arthroplasty, TSA)、リバース型人工肩関節全置換術(Reverse Total Shoulder Arthroplasty, RTSA)、人工骨頭置換術(Hemiarthroplasty)の3種類の方法があります。
![上腕骨コンポーネントや関節窩コンポーネント等の人工関節の一例](/img/single/2024223-34.jpg)
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変形性肩関節症
人工肩関節全置換術(Total Shoulder Arthroplasty, TSA)
人工肩関節全置換術は、肩関節全体を人工関節に置き換える手術です。手術では骨の損傷面を取り除き、肩甲骨の関節窩と上腕骨の頭部の両方を人工のコンポーネントで置換します。
手術の適応は、肩関節全体の軟骨や骨が損傷し、痛みや機能障害が著しい場合、かつ肩関節の安定に重要な役割を果たす腱板筋の機能が温存されている場合に検討されます。
![人工肩関節のイラスト](/img/single/2024223-5.png)
![人工肩関節全置換術のイラスト](/img/single/2024223-6.jpg)
リバース型(反転型)人工肩関節全置換術(Reverse Total Shoulder Arthroplasty, RTSA)
リバース型人工肩関節は2014年から国内での使用が認可された比較的新しい人工肩関節で、本来の肩関節の形状を反転させた人工関節です。
肩腱板が断裂して機能が破綻している場合にも使用できること、人工肩関節全置換術と比べ予後の腕の挙上の範囲が広いことが特徴です。
リバース型人工肩関節全置換術では、人工肩関節全置換術とは反対に、変形した上腕骨にプラスチックの受け皿とステム(髄腔内に挿入される人工関節の部品)を、肩甲骨の関節窩に金属のボールとベースプレートを設置します。ベースプレートは金属のスクリューで固定します。
手術の適応は、修復することの出来ない腱板断裂による腱板断裂症性変形性肩関節症、腱板機能不全を伴う関節リウマチ肩、粉砕の強い骨折など通常の肩関節形態が回復不可能な場合に考慮されます。
![リバース型(反転型)人工肩関節全置換術のイラスト](/img/single/2024223-7.png)
リバース型人工肩関節全置換術の手術前と手術後のX線画像
![リバース型人工肩関節全置換術の手術前のレントゲン](/img/single/2024223-1.jpg)
![リバース型人工肩関節全置換術の手術後のレントゲン](/img/single/2024223-2.jpg)
人工骨頭置換術(Hemiarthroplasty)
人工骨頭置換術は、肩関節の上腕骨の頭部のみを人工のコンポーネントで置き換える手術です。肩甲骨の関節窩はそのまま残ります。
手術の適応は上腕骨の頭部が損傷している場合、肩甲骨の関節窩が比較的健康である場合、関節面側を温存したい若年者などに適応されることがあります。
人工関節置換術後のリハビリとは?
人工肩関節置換術後は数週間装具を使用します。関節の可動域や筋力の回復を目的に、手術方法、使用した人工関節の形状、患者様の状態に合わせてプログラムされたリハビリテーションを行います。
退院後もリハビリテーションの継続は可能です。