骨粗しょう症を自覚している、自覚していないにかかわらず、高齢者にとって、転倒して骨折することが、一番怖いことです。なぜなら、高齢者の骨折は、寝たきりになり、要介護状態になることがあるためです。つまり、転倒して寝たきりになることは、あなたの「健康寿命」を縮めることになります。

転倒・骨折は、介護にうける原因となります
要介護度別に見た介護が必要となった主な原因の構成割合グラフ

(関連リンク)
骨粗しょう症 (1) 高齢者にとって危険な病気の理由
骨粗しょう症 (2) 定期的に検査・診断・治療を受けることの重要性
高齢者の骨脆弱性骨折骨折について

一度骨折すると、次々と骨折する危険性が高くなります

骨粗しょう症は、骨がスカスカになって、もろくなる病気です。軽い衝撃でも骨折することを「脆弱性骨折」といいます。「脆弱性骨折」の怖いところは、1度骨折すると、次々と骨折しやすくなることです。次々と骨折すると、寝たきりになるリスクがより高まります。
特に、閉経後女性の大腿骨近位部(股の付根)骨折は、すでに脆弱性骨折を経験している方が50%を占めます。

骨折は連鎖します
骨折が連鎖することを示すピラミッド

転倒予防のために心がかること

高齢者は、身体機能が低下しています。年齢とともに、歩くときに足が上がらなくなり、ちょっとした段差に、つまずいて転んでしまいます。外出時には、安全性が高い服装をすることを心がけ、杖などを利用して転倒を予防しましょう。

慣れていると思っている家の中でも転倒するケースは、多くあります。じゅうたんのへりや電源コードに引っかかり転ける、濡れた浴室で滑って転んでしまうことなどがあります。家庭において整理整頓を心がけ、さらに、住環境を整備し、転倒しないように生活を工夫しましょう。

外出する時は、こんなことに注意
外出するときの注意事項イラスト
生活の工夫をしてみましょう
つまずき防止のアイデアイラスト

ロコモを見過ごさず、あなたの「健康寿命」をのばしましょう

最近、テレビなどのメディアで、ロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称ロコモ)という言葉をよく耳にします。ロコモとは、骨、関節、筋肉などの運動器の機能が低下して、要介護になるリスクが高まることです。骨粗しょう症やその合併症は、ロコモにつながる大きな要因です。

老化現象で運動器の機能が低下することは避けられません。しかし、平均寿命が伸びた現代において、高齢者が、あなたらしく、いきいきと日々を暮らすためには、ロコモを見過ごす訳にはいきません。

骨粗しょう症やその合併症によるロコモにおいて、転倒して骨折することが一番怖いことです。だから、骨粗しょう症を見逃さない。転倒して骨折しない。骨折して寝たきりにならない。あなたの「健康寿命」をのばすために、以下のことを心がけましょう。

  • 定期的に検査を受けること。(50才以上の女性は、1年に1回程度)
  • 治療中の患者様は、自己判断で、治療を中断しないこと。(半年に1回程度の検査も必要)
  • バランスの良い食事を心がけること。(カルシウムの摂取が重要)
  • 適度な運動を継続的に行うことが大切。
  • 転倒しないように心がけて日常生活を送ること。