骨粗しょう症は骨折の原因となる病気です。高齢者の骨折は、寝たきりになり、要介護状態になることがあるために、あなたの「健康寿命」を縮めます。高齢者にとって大変危険な病気です。
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”骨の生活習慣病” 骨粗しょう症 ~定期的に検査・診断・治療を受けることの重要性~
”骨の生活習慣病” 骨粗しょう症 ~あなたの「健康寿命」のために、転倒しないことが大切~
高齢者の骨脆弱性骨折骨折について
骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は、骨強度(骨強度=骨密度70%+骨質30%)が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。
骨に鬆(す)が入ったように、骨の中がスカスカな状態では、転倒はもちろん、軽い衝撃でさえも骨折する危険性が高くなります。
硬い骨が、どうしてスカスカになるのですか?
大人になっても人間の骨は、常に生まれ変わっています。これを「骨の新陳代謝」といいます。
古くなった骨は、破骨細胞によって溶かされてカルシウムが血液中に出ます。
これを「骨吸収」といいます。新しい骨を作る骨芽細胞は、骨の溶けた部分にカルシウムをくっつけます。これを「骨形成」といいます。
「骨吸収」と「骨形成」がバランスよく働くことで、健康な骨を維持できます。逆に、バランスが崩れると、骨粗しょう症になる危険性が高まります。
なぜ、骨粗しょう症は、50才以上の女性に多い病気なのですか?
骨粗しょう症の原因の1つに加齢があります。特に50才以上の女性に多いです。なぜ、骨粗しょう症は50才以上の女性に多い病気なのでしょうか。その理由は、閉経によって女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量が、急激に減少するためです。
エストロゲンは、骨にカルシウムを蓄える「骨形成」を促すとともに、骨からカルシウムが溶け出す「骨吸収」を抑える働きがあります。エストロゲンの分泌量が急激に減少するために、「骨吸収」と「骨形成」のバランスが崩れ、骨量が減少し骨がスカスカになって、骨粗しょう症のリスクが高くなります。
その他の原因
- カルシウムやビタミンDの不足(ビタミンD欠乏症)
- 薬の副作用(ステロイドの長期使用など)
- 骨の病気(関節リウマチ、多発性骨髄腫など)
- ホルモンの病気(副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群など)
- ダイエットによる栄養不足 喫煙 過度な飲酒 偏った食生活 運動不足など
骨粗しょう症は、静かにやってきて、あなたの「健康寿命」を縮めます
骨粗しょう症は、「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」と呼ばれる自覚症状が現れにくい病気です。
骨がスカスカになっても痛みがないため、骨折して初めて自分が骨粗しょう症だったと気づく患者様も多くいらっしゃいます。自覚症状があっても、単なる老化現象と考え、放置して転倒や軽い衝撃で骨折をした後に、病院に訪れる方もいらっしゃいます。
高齢者の骨折は、寝たきりとなり要介護状態につながります。さらに、寝たきりは認知症も誘発しやすくなります。
寝たきり・要介護状態は、あなたの「健康寿命」を縮めます。「健康寿命」とは、平均寿命から寝たきり・認知症などの要介護状態の期間を差し引いたものです。
寝たきりにならないために、骨粗しょう症の症状をチェックしましょう
以下の症状に、あなたは当てはまるものがありますか。チュックして下さい。
- 軽度の自覚症状
- 身長が縮んだ気がする。実際に縮んだ。
- 背中や腰が曲がってきたように感じる。
- 立ち上がるときに、背中や腰が痛い。
- 背中や腰の痛みで、家事をするのが辛い。
- 重度の自覚症状
- 身長の縮みが、目立つようになった。
- 背中や腰の曲がりが、目立つようになった。
- 背中や腰の痛みで、寝ていることが多くなった。
- 転んだり、軽い衝撃で骨折した。
あなたの「健康寿命」を保つために、定期的に検査を受けましょう
まず、整形外科で検査を受けて下さい。骨粗しょう症と診断されたら、医師は薬物治療、食事改善指導、日常生活習慣の改善指導を行ないます。
骨粗しょう症と診断を受けなかった方も、加齢とともに骨強度は低下するので、50代以降の方は、1年に1回程度定期的に検査を受けて、自分の骨強度の状態を把握しましょう。
自分の骨強度の状態を把握することで、日常生活においてカルシウムを含めたバランスのとれた食生活や運動不足にならないように、気をつけるようになります。
骨粗しょう症は自覚症状が現れにくいために、自分の骨の状態がどのようになっているか、気づきにくい病気です。
高齢者にとっては大変危険な病気です。気づいたときには、骨が折れて、寝たきりになり、要介護状態になることが最も怖れることです。あなたの「健康寿命」を伸ばすためにも、ぜひ一度整形外科で検査を受けて下さい。