保存的療法で治らなかった場合や症状が進行していて手術療法しか選択肢がない場合には、手術を行います。
レントゲン(X線)やMRIによる検査により、膝の状態(どこが損傷しているか)、問題点を特定し、患者様の年齢や体力・行動力、生活スタイル、趣味・仕事などを考慮して手術方法を総合的に判断します。手術方法は、大きく3つの方法があります。

ひざの手術が必要となる場合、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術

関節鏡視下手術は、診断と治療を兼ね備えた手術

関節鏡視下手術は、関節鏡を使って膝関節内の損傷した半月板の修復、増生した骨膜や骨棘(異常な骨の増殖によりできたトゲ)を切除することで膝関節の動きがよくなります。
創(キズ)も小さく、手術後数日で歩行が可能で、早期に社会復帰ができます。また、膝関節内を関節鏡で直接見ることができるため、正確な診断が可能になります。

(関連リンク)
関節鏡視下手術は、体に対するダメージの少ない手術です

高位脛骨骨切り術

高位脛骨骨切り術は、膝関節の内側が損傷して外側が正常、あるいは利用できる状態の患者様が対象です。
膝のすぐ下部の脛骨を切って、膝関節内側に掛かる負担と荷重を外側に変えることが目的です。結果として、O脚が反対に軽度のX脚に変わります。関節鏡視下手術を同時に行ない詳しく膝関節内の状態をみて、半月板を修復したうえで高位脛骨骨切り術を行います。

侵襲(体へのダメージ)が少ない手術で、術後、膝関節が温存または再生されます。手術後の日常生活に対する制限が少なく、正座やスポーツも可能になる患者様も多いです。
一方、骨が癒合するまで多少痛みが続きます。機能回復までリハビリをしっかり行う必要があります。患者様の年齢や体力の違いにより様々ですが、入院期間はおよそ2ヶ月位です。

高位脛骨骨切り術には、ドーム型骨切り術、クローズドウエッジ法、オープンウエッジ法などがあります。近年、より合併症と侵襲が少ないオープンウエッジ法が採用されることが増えています。

オープンウエッジ法(Open wedge osteotomy)

オープンウエッジ法術前写真
術前写真
オープンウエッジ法術後写真
術後写真

脛骨の内側から外に向かって骨を切り、開いてできた隙間に人工骨をはめ込み矯正する方法です。使用する人工骨は1~2年程度で自分の骨に置換されます。手術時間が短いメリットがある一方で、矯正の角度に限度があります。
近年、インプラント(固定材)の性能が良くなって、より侵襲や合併症が少なくなっています。自分の膝関節は温存され、日常生活に制限が少なくスポーツや正座も可能です。

人工膝関節置換術

人工関節置換術前写真
術前写真
人工関節置換術後前写真
術後写真

人工膝関節置換術は、変形した関節の表面を金属などでできた人工の部品で置き換える手術です。痛みの原因になる部分を手術で取り除くため、慣れるとほとんど痛みはなくなります。近年の人工膝関節は性能が向上して、耐用年数は約20年です。

膝の変形が高度の方には、人工膝関節置換術を勧めることがあります。その理由は、術後の痛みが少なく手術翌日から立って歩くことができ、リハビリ期間も入院期間も短く済むからです。患者様の年齢や体力の違いにより様々ですが、入院期間は約1ヶ月です。

欠点として、膝の曲がりが90度~120度前後まで制限され、正座ができなくなるなど生活を洋風に変える必要があります。
また、人工膝関節の寿命を延ばすために、激しいスポーツや重労働などを控える必要があります。定期的な経過観察を行ない、人工関節がすり減ったり、弛んだりした場合、入れ替えが必要となります。さらに、人工膝関節は細菌感染が問題となることがあり、定期的なフォローが必要となります。

経験豊富で技術を備えた医師により、侵襲の少ない手術を行ないます

変形性膝関節症は、城内病院整形外科において患者数の多い病気です。経験豊富な医師が、患者様の年齢、体力・行動力、生活スタイル、趣味・仕事などを考慮して総合的に手術方法を判断します。手術においては、技術を備えた医師により、患者様の侵襲(体へのダメージ)をより少なくすることができます。

変形性膝関節症は、放置すると加齢とともに痛みや日常生活での支障が増してきます。
症状の進行を防ぐために、立つときや歩き出したときに膝が痛い方、正座がつらい方や膝に水がたまる方は、なるべく早い段階で適切な検査と治療を行うことが大切です。

(関連リンク)
変形性膝関節症(1) なりやすい方、メカニズム、症状について
変形性膝関節症(2) 城内病院の検査と治療