“半月板ってなに? 半月板を損傷する原因は? 損傷すると症状は?”では、半月板自体と半月板損傷の原因と症状について説明しました。
スポーツなどでケガをして、膝が痛むのに放置しさらに悪化させると、手術しか選択肢がなくなります。なるべく早く、整形外科を訪ねて適切な検査と治療を受けることが大切です。
今回は、城内病院整形外科での半月板損傷における問診・検査と治療についてお話させていただきます。
城内病院での問診・検査について
まず、いつ頃痛み始めたか、どのような動作で痛むか、痛みの程度、これまでのケガの経験などを患者様にお聞きします。
同時に、触診を行ない、痛む部分、膝の関節の曲げ伸ばし具合、腫れや熱感、歩く様子などを確認します。
つぎに、X線(レントゲン)で関節の隙間の開き具合、MRI(磁気共鳴画像)で半月板の損傷位置と程度を確認します。
問診と検査結果をもとに、患者様の年齢や体力・行動力、生活スタイル、趣味・仕事なども考慮して治療法を決定します。
半月板損傷の治療
症状が軽度の場合、すぐに手術をすることはあまりなく、しばらく通院しながら保存的療法で様子を見ます。保存的療法で改善しない場合は、関節鏡視下手術を行います。
半月板損傷の保存的療法
保存的療法の目的は、膝の痛みを軽減して、日常生活での支障を取り除くことです。
患部に痛みや腫れがあるときは、膝に負担をかけないようにすることが大切です。半月板の血行が良い部位が患部の場合は、保存的療法で治ることもあります。
半月板損傷の保存的療法は、変形性膝関節症とほぼ同じもので、日常生活の改善指導、薬物療法、リハビリ、装具療法などです。
(関連リンク)
変形性膝関節症(2)城内病院の検査と治療 第2章 治療について~保存的療法~
半月板損傷の手術は関節鏡視下手術を行ないます
保存的療法で改善しない、半月板のひっかかりで膝が動かないなどの症状の場合には手術を行ないます。
患者様にとって侵襲(体へのダメージ)が少ないメリットがある関節鏡を使って、損傷した半月板を修復します。関節鏡視下手術は、なるべく患者様の半月板の健常な部分を温存することを可能にします。
損傷の位置や程度によって、患部を切除する切除術か縫い合わす縫合術のどちらかを選択します。
-
切除術:
血流がないところは、縫合してもつながらないため患部を切除します。切除した部位は再生しません。術後すぐに歩行可能。入院期間は約2週間。 -
縫合術:
半月板の外側3分の1には血流があるため、縫合すれば繋がります。断裂部位が癒合すれば、損傷前に近い機能を期待できます。入院期間は約1ヶ月。
(関連リンク)
関節鏡視下手術は、体に対するダメージの少ない手術です
手術をしても半月板自体が再生するわけではなく、術後数年経過すると、また、半月板が損傷し変形性膝関節症などに発展することもあります。ゆえに、経過観察のため定期的に病院で検査を受けて頂く必要があります。
予防とリハビリについて
半月板損傷は急性のケガが原因のことが多いので、完全な予防法はありません。しかし、運動前後のストレッチをしっかり行うことで、スポーツ中の膝への負担を軽減し損傷の確率を下げることができます。
(関連リンク)
動的ストレッチと静的ストレッチ
半月板損傷 半月板切除術後のリハビリ 40代女性の場合
術後のリハビリは、膝の筋肉を強化して膝への負担を軽減する筋肉強化訓練や膝関節の可動域を広げる可動域訓練を行ないます。
また、日常生活で膝に負担をかけない動作や損傷を起こした部分と上手に付き合う方法を指導します。
なるべく早く、整形外科を訪れて適切な検査と治療を受けましょう
なるべく早く、整形外科を訪れて適切な検査と治療を受ければ、手術することなく保存的療法で治すことも可能です。また、半月板損傷の繰り返しや、変形性膝関節症への発展を避けることもできます。
城内病院整形外科では、経験豊富な医師が、患者様の年齢、体力・行動力、生活スタイル、趣味・仕事などを考慮して総合的に治療方法を判断します。
手術においては、技術を備えた医師により患者様の侵襲(体へのダメージ)をより少なくすることができます。