脂質異常症とは、血中のLDL(悪玉)コレステロールやトリグリセリドの異常高値、HDL(善玉)コレステロール異常低値の総称。 その原因は主に運動不足や偏った食生活と言われています。自覚症状があまりないために放置してしまうと、動脈硬化が進み心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。 脂質異常症の治療法の基本は、生活習慣改善です。今回は、生活習慣改善において最も重要な食事療法について紹介します。
- 脂質異常症の診断基準
- 高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール 140mg/dl以上
境界域高LDLコレステロール血症: LDLコレステロール 120~139㎎/dl
低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール 40㎎/dl未満
高トリグリセリド血症:トリグリセリド 150㎎/dl以上
脂質異常症の食事療法 ~6つの大切なポイント~
脂質異常症の食事療法を6つのポイントとして紹介します。食生活を見直すことは、脂質異常症改善の大切な第一歩です。
ポイント1:1日に必要なエネルギーの総摂取量を適正化しましょう
まず第1に、1日に必要なエネルギーの総摂取量を適正化する必要があります。 1日に必要なエネルギーの摂取量の計算式は、 「エネルギー摂取量(kcal/日)=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)」
標準体重の計算式は、 身長の2乗に、健康に生活しやすい理想的なBMI値(カラダの大きさを表す指数)=22を掛けたものです。
「標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22」
BMIが22になるような体重を標準体重とします。BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で計算します。18.5以下だとやせ、25以上だと肥満とされています。
同じ身長や年齢であっても、身体活動量に応じて1日に必要なエネルギー量が異なります。そのため身体活動量は大きく3つに分けられています。低い方のエネルギー量で計算して、実際の体重の変化を見ながら調整しましょう。
- 身体活動量の目安:標準体重1kgあたりの係数として考える。
- 軽い動作:25~30kcal(事務仕事、座位中心の生活)
普通の動作:30~35kcal (主婦、立ち仕事の多い職業など)
重い動作:35kcal (スポーツマン、運送業者など力仕事の多い職業)
ポイント2:脂肪の質と量に注意しましょう
- 1日に摂る脂質量を全体のエネルギー量の20~25%以内にしましょう。
- 飽和脂肪酸の多い食品を摂りすぎないようにしましょう。バター、チョコレート、アイスクリームなど。
- n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やす。サバやサンマなど青魚に多く含まれている。サバ缶にも多い。
- 工業由来のトランス脂肪酸の摂取を控える。トランス脂肪酸が多い食品はショートケーキやドーナツなど。
ポイント3:炭水化物を摂り過ぎない
- 1日に摂る炭水化物を全体のエネルギー量の50~60%以内にしましょう。
- 食物繊維の摂取を増やして、栄養素配分のバランスを。食物繊維はきのこや海藻類に多く含まれる。キノコや海藻は低カロリーなのでたくさん食べても肥満の原因になりにくい。
ポイント4:塩分は1日に6g未満にしましょう
- うどんやみそ汁などの汁物は残す。
- サラダのドレッシングをかけすぎない。
- ウィンナー、蒲鉾、竹輪などの加工品にも塩分が含まれているので食べ過ぎに注意。
ポイント5:アルコール摂取量を1日に25g以下に抑えましょう
アルコール摂取量を1日25g以下に抑えるための目安:ビール中瓶1本(500ml)、日本酒1合(180ml)、焼酎0.5合(90ml)
ポイント6:コレステロールを減らす効果のある食品を積極的に!
- 良質のたんぱく質を含む大豆や大豆製品:豆たんぱくにはLDLコレステロール、大豆イソフラボンにはLDLコレステロールや中性脂肪を減らす働きがある。
- アジ、サバ、サンマなどの青魚、カツオやマグロなどの赤身魚:LDLコレステロールや中性脂肪を減らす良質な脂質であるオメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペタエン酸)を含む。
- 野菜や糖質含有量が少ない果物:食物繊維が多く、コレステロールの吸収を抑える。LDLコレステロールの酸化を抑える成分、β-カロテンやビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを含む。