右手を上げて説明する医師ののイラスト全人口の26.5%、約4人に1人が発症しているといわれるスギ花粉症の根本的な治療が期待できる舌下免疫療法。その舌下免疫療法において服用するのは、アレルゲン免疫療法薬のシダトレンです。

シダトレンは、スギ花粉を原料としたエキス。服用時期によって決められた量を舌下に滴下します。少量から徐々に増量することで、体をスギアレルゲンに慣らしアレルギー症状を緩和します。服用開始前にはスギアレルゲンの確定診断が必要です。

舌下免疫療法については、“スギ花粉症の根本的な治療が期待できる舌下免疫療法とは?”で詳しく解説しています。

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シダトレンによる舌下免疫療法をお勧めしたい患者様

シダトレンによる舌下免疫療法は、3~5年間毎日継続して服用する必要があります。城内病院では、治療を継続することが可能な患者様のご希望のもと、スギ花粉症の舌下免疫療法を行ないます。
とくに、以下の方は、舌下免疫療法で効果が上がると生活の質の向上が見込まれる方です。ぜひ城内病院を訪れて医師にご相談下さい。

  • スギ花粉症によりテストや勉強時に集中力を欠く受験生。高校入学時から始めるとベスト。
  • 妊娠を予定していてアレルギー治療薬を服用できない方。
  • 毎年、症状がひどく仕事や日常生活に支障をきたす方。

シダトレンによる舌下免疫療法が受けられない方

  • 花粉症の原因がスギ花粉でない方。
  • 以前にシダトレンでアナフィラキシー反応の経験がある方。
  • 気管支ぜんそく発作がコントロールされていない方や以前重篤な発作をおこした方。
  • ステロイドや免疫抑制剤服用中の方。
  • 12才以下の方。

また、シダトレンでの舌下免疫療法に際して注意が必要な患者様もいらっしゃいます。シダトレンでの治療が可能かどうか、医師にご相談下さい。

シダトレンの服用と開始時期について

1日1回、服用開始後2週間は、少量からはじめ徐々に増量します。その後、決まった量を数年間(3年以上をお勧めします)継続して服用します。

服用開始は、6月~11月の花粉が飛んでいない時期が安全です。その理由は、花粉飛散期(1月の後半~5月位)に始めるとアレルゲン反応が非常に強く出て、シダトレンの強い副作用が起きる可能性があるためです。強い副作用とは、とくに息苦しさや発疹、吐き気などのアナフィラキシー反応などです。
この副作用を避ける意味で、服用開始のベストな時期は、次の花粉飛散期になるべく早く備えることができる6月と7月です。

服用開始スケジュールの表

初回は病院で服用します。シダトレンの服用方法の指導と副作用、とくにアナフィラキシー反応がでないかどうか、舌下に滴下後30分間、患者様の様子を見る必要があるためです。2回目以降は自宅で服用し、指示に従って次第に薬液を増量します。

その後、正しく滴下がなされているか、副作用が起きていないか、治療の効果がでているかなどの確認のため、必ず毎月1回病院で受診する必要があります。

シダトレン服用においての注意点

  • 舌下に薬液を滴下したのち2分間は保持してください。その後に飲み込んで下さい。
  • 飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食をしないで下さい。
  • 決められた量を服用して下さい。
  • 自己判断で中断しないで下さい。
  • 他の医療機関でお薬を処方された時には、医師に報告して下さい。

また、副作用が起こるおそれがあるため、服用前後2時間程度は以下の行為はしないでください。

  • 入浴
  • 激しい運動
  • アルコール摂取

シダトレンの副作用について

副作用と思われる症状が現れたら、直ちに医療機関を受診して下さい。以下はシダトレンの副作用をとくに注意すべき時間や時期です。

  • 服用後すくなくとも30分間。
  • 服用開始初期の約1ヶ月間。
  • スギ花粉が飛散している時期。

以下は主な副作用の症状です。

  • 口の中の副作用:口内炎 舌の下の腫れ(舌下腫脹) 口の中の腫れ(口腔内腫脹)
  • のどのかゆみ(咽喉頭そう痒感)
  • 耳のかゆみ
  • 頭痛

起こる頻度は非常に少ないのですが、とくに注意すべき重大な副作用にアナフィラキシー反応があります。アナフィラキシー反応は、医薬品などに対する急性の過敏反応により、多くの場合投与後30分以内に以下のような症状が現れます。

  • 皮膚の症状:じん麻疹 皮膚のかゆみ 発赤 紅斑 
  • 消化器の症状:吐き気 胃痛 下痢 
  • 目の症状:めまい 視覚異常 視野が狭くなる。
  • 呼吸器の症状:のどがイガイガして詰まりそうになる。胸が苦しくなる。呼吸困難 くしゃみ 鼻が詰まる。
  • 循環器の症状:頻脈 不整脈 血圧が下がりショック状態になる。
  • 神経の症状:不安 恐怖感 意識の混濁

治療中の飛散期に他のアレルギー治療薬との併用はできますか?

医師と相談の上、その時の症状により他のアレルギー治療薬と併用できるか、どの薬を選択するかを決めます。たとえば、ステロイドを含む飲み薬は服用できませんが、ステロイドを含む点鼻薬は併用できます。
他の医療機関でお薬を処方された時には、医師に報告して下さい。

シダトレンの服用は正しく服用方法を守り、きちんと継続することが大切

右手でガッツポーズをする女性のイラスト舌下免疫療法は、医師の指導のもとに正しくシダトレンの服用方法を守り、自己判断で中断することなくきちんと継続することで効果を示します。そうすることで、舌下免疫療法はあなたの生活に支障をきたし、毎年悩まされるスギ花粉症は和らげます。さらには、長期に渡り症状が治まったり、完治も期待できます。

舌下免疫療法をご希望される方は、シダトレンの服用方法・服用においての注意点を守り、さらに副作用にも気をつけて、医師の指導のもとスギ花粉症の根本的な治療を目指しましょう。