城内病院での動脈硬化に対する治療方法は、主に食事療法、運動療法、薬物療法です。ほかには、禁煙、ストレスの解消、良質な睡眠をとるための指導、気持ちを前向きに持つための指導などがあります。

食事療法について

医師が、患者様それぞれの動脈硬化の進行度に応じて指導します。管理栄養士を含めて栄養指導や生活改善指導を行います。

  • 食事方法:ゆっくりよく噛む、毎日決まった時間に食事する、腹八分目までなど。
  • 肥満を解消や予防するために、一日の総摂取カロリーの制限。適正体重の維持と適正な食事の摂取エネルギー量と栄養素をバランスよくとる。(全体のカロリーのうち脂肪エネルギーは20~25%、炭水化物エネルギーは50~60%)
  • 減塩に留意した伝統的日本食を多めにとる。塩分の摂り過ぎは、血圧が上昇して、血管に負担がかかる。味付けを薄味して、塩分の摂取量を減らしましょう。
  • 大豆、大豆食品、野菜、果物の摂取を多くする。食物繊維や血液中のコレステロール値を抑える「植物ステロール」を多く含む、野菜や海藻、きのこ類を積極的に摂る。
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  • 飽和脂肪酸(動物性脂肪など)の摂取を減らし、不飽和脂肪酸(植物性脂肪など)を含む食品の摂取を増やす。n-3系多価不飽和脂肪酸の中でも、特にDPA・EPAを含むイワシやサバ、サンマなどの青魚を積極的に摂りましょう。
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  • マーガリンやショートニングに含まれるトランス不飽和脂肪酸を摂取しないようにする。抗酸化作用を持つ食品、緑黄色野菜、果物、大豆類、コーヒー、ココアなどを摂る。
  • 糖質やアルコールを控える。飲み過ぎると、血圧や血糖値、中性脂肪値が上昇する。

運動療法について

ジョギングする男女のイラスト 適度な運動量の速歩やスロージョギングなどの有酸素運動を継続的に行ないましょう。運動強度は、ややきついと思われる程度を断続的でもよいので(できたら毎日)、一日20~30分、週3回以上で。軽度のレジスタンス(筋力)運動を加えたほうが効果的でしょう。
継続的な有酸素運動は、中性脂肪(トリグリセライド)を減らし、HDLコレステロールを増やすので、動脈硬化に効果があります。また、運動は肥満の予防や解消にも効果があります。

城内病院の循環器専門医は、心臓リハビリ指導士でもあります。たとえば、心臓疾患の患者様には、運動によって心臓に負担をかけないような運動方法を指導します。このように、患者様の体質や体力、病歴を考慮して、患者様それぞれにあった運動方法を指導します。医師の指導にしたがって、効果的に継続的に運動を行いましょう。

薬物療法について

検査を終えた時点で、リスクが高く最終段階の動脈硬化と判断し、すでに脳梗塞や心筋梗塞を起こされている、もしくは、動脈硬化が強く脳梗塞や心筋梗塞が差し迫っていると判断した場合は、血管がつまらないように、予防として血液をサラサラにする抗血小板剤を投与します。

さらに、食事療法や運動療法を行っても効果が見られなければ、薬物療法を検討します。血液をサラサラにするためのサプリメントに含まれている「イコサペント酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)」が濃縮された薬もあります。中性脂肪を下げる「不飽和脂肪酸」の薬です。ロトリガはEPAとDHAを主成分とします。エパデールは純粋なEPA単独の薬です。どちらも、サプリメントと比べれば効果がありますし、保険も効きますので、患者様にとって有益です。
また、スタチンという製剤は、LDLコレステロール値を強力に下げ、全世界の大規模試験において、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管イベントを強力に抑える効果が証明されています。

禁煙について

喫煙は、HDLコレステロール値を下げ、LDLコレステロールを酸化させます。さらには、血管を収縮させて血流を悪化させ、動脈硬化を進めます。動脈硬化の方、または、その疑いがある方は禁煙しましょう。自分で禁煙する自信がない方は、一度、禁煙専門医が禁煙指導する城内病院の禁煙外来を訪れて下さい。

体の酸化を防ぐ

体内に活性酸素が増えすぎると細胞は酸化されます。細胞の酸化とは、金属が錆びることと同じようなものです。血管も酸化して傷つきやすくなります。血管内のLDLコレステロールも酸化LDLに変化しやすくなり、動脈硬化を進行させます。

体内の活性酸素を増やす原因は、喫煙、過度な飲酒、食品添加物、ストレス、紫外線、大気汚染などです。これらの活性酸素を増やす原因を、なるべく避け排除しましょう。加えて、生活習慣を見直して、バランスの良い食事(抗酸化力のある食品やサプリメントを摂る)や規則正しい生活をこころがけ、酸化しにくい体作りに努めましょう。

医師の指導のもと、効果的に生活習慣改善と治療を、継続的に行ないましょう

説明する医師イラスト 漢方医学に、未病と養生という言葉があります。未病とは病気と言うほどではないけれど、健康でもない状態のこと。一方、養生とは、未病の初期段階で食習慣や運動習慣を見直し、漢方医学的な考えをもとに、日々を健康的に暮らすことです。動脈硬化の治療は、まさしく、漢方医学の未病と養生にあたります。

未病と養生 ~日々を健康的に暮らす合言葉~

動脈硬化の治療は、硬化が軽度であれば、食事療法と運動療法で対応します。重度の場合や食事療法・運動療法で改善が見られない場合は、薬物療法での対応も検討し、心筋梗塞や脳梗塞などの危険な合併症も警戒しなくてはなりません。

動脈硬化の治療において、体の酸化を防ぐこと(抗酸化)も、重要なテーマとなります。体内に活性酸素が増える原因を避けて、抗酸化力のあるバランスの良い食事や規則正しい生活を送りましょう。

動脈硬化の治療において大切なことは、病院での検査や診断で、自分の血管の状態を正確に把握し、動脈硬化についての理解を深めること。医師の指導や治療に従って、効果的に生活習慣を改善することです。 医師、病院スタッフと共に、継続的に、動脈硬化に効果のある食事や運動を行なうことで、心筋梗塞や脳梗塞などの危険な病気を起こさないように、動脈硬化の進行を防ぎましょう。

(関連リンク)
動脈硬化(1)なぜ起きるのか? どのような病気を引き起こすのか?
動脈硬化(2)アテローム硬化のメカニズム
動脈硬化(3)城内病院での検査と診断