骨粗しょう症は、骨がスカスカになってもろくなり、転倒や軽い衝撃で骨折につながる病気です。高齢者にとって、大変危険な病気です。なぜなら、高齢者の骨折は、寝たきりになり、要介護状態になることがあるために、あなたの「健康寿命」を縮めるからです。

骨粗しょう症が、危険な病気といわれる理由がもう一つあります。それは、「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」と呼ばれ、痛みつまり自覚症状が現れにくい病気だからです。 自覚症状が現れにくいために、病院で検査を受けない方や自己判断で治療を中断する患者様が多くいらっしゃいます。

(関連リンク)
骨粗しょう症 (1) 高齢者にとって危険な病気の理由
骨粗しょう症 (3) あなたの「健康寿命」のために、転倒しないことが大切
高齢者の骨脆弱性骨折骨折について

定期的に検査を受けること、継続して治療を受けることが大切

骨粗しょう症により骨折につながる患者様の多くには、以下の4つの特徴があります。
骨折して、寝たきりになる前に、整形外科で検査・診断を受けましょう。
特に、50才以上の女性は、1年に1回程度、骨粗しょう症と診断された患者様は、半年に1回程度、整形外科で定期的に検査・診断を受けることが大切です。

  • 痛みを感じないために、自覚症状がなく検査を受けない。
  • 自覚症状があっても、単なる老化現象と考え、放置する。
  • 検査を受けて異常なし、と診断されたことを根拠に安心して、検査から数年経って骨粗しょう症が進行しているのに気づかない。
  • 検査にて骨粗しょう症と診断され、整形外科にて薬物治療などを受けていたが、薬の服用や通院が面倒になり、自己判断で治療を中断した場合。

多くの自治体で40~70才の女性を対象に、5年毎に節目検診を行っています。詳しくは、お住まいの市区町村窓口や保健センターにお問い合わせ下さい。 唐津市は、20~70才の女性を対象に、5年毎に節目検診を行っています。

城内病院での検査・診断・治療について

では、骨粗しょう症を疑って来院された患者様に、どのような検査・診断・治療を行うか見ていきましょう。

城内病院では、どのような検査を行ないますか。

城内病院での骨粗しょう症の検査は、以下の3つを行ないます。

  • X線検査:主に背骨のX線撮影によって、骨の状態や骨折の有無などを確認します。
  • 骨塩定量測定(DXA法):骨中のカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量を測定する検査。2種類のX線をあて全身の骨量を正確に測ります。 
  • 骨代謝マーカー:骨代謝のバランスを、血液検査や尿検査で調べます。骨代謝マーカーの高い方は、骨量の低下が速いと判断されます。骨折の危険性が高くなっています。
骨粗しょう症の診断・検査にはどのようなものがあるでしょうか
骨粗しょう症の診断・検査のイラスト

診断基準は何ですか。

骨塩定量測定(DXA法)で測定された骨量を、主に判断基準とします。骨量は、20~44才の若年成人の平均値をYAM値として、YAM値80%以上は正常。70~80%はグレーゾーンである骨減少、70%以下は骨粗しょう症と判断します。ただし、X線検査と骨代謝マーカーの結果も考慮に入れて、総合的に判断します。

治療について

骨粗しょう症の治療は、薬物治療中心となります。発病には、加齢や閉経以外にも食事や運動の日常生活習慣も深く関わっています。「骨の生活習慣病」とも呼ばれる骨粗しょう症の予防には、食事療法や運動療法も欠かせません。食事療法や運動療法は、医師やリハビリスタッフにより、指導させていただきます。

薬物治療

骨粗しょう症と判断されたら、薬物治療を行ないます。城内病院では、骨粗しょう症の進行状態や患者様の生活スタイルにあわせて、以下の飲み薬・注射薬を処方します。

  • ビスホスホネート:骨の吸収を抑える。飲み薬もありますが、服用規則が複雑なため、城内病院では通院時に注射(月に1回程度)します。
  • 活性型ビタミンD3:骨の吸収を抑える。腸から骨にカルシウムを運び、骨を固くします。
  • SERM:女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする薬。骨吸収を抑え、骨密度を上げます。初期段階で使う薬。
  • PTH(副甲状腺ホルモン)薬:骨形成を強める薬。重症患者などに使います。注射薬。
  • 抗ランクル抗体薬:骨芽細胞から分泌されるランクルに作用して、骨を壊す働きを抑えます。
  • カルシウム薬とビタミンK2薬:骨密度を上げる効果がある薬。
症状や原因、治療方針によって使う薬がちがいます
薬の種類と薬の働きの図

食事療法について

骨の健康を支える栄養素は多いため、バランスの良い食事を心がけることが、骨粗しょう症予防になります。特に、骨の材料となるカルシウムの摂取は重要です。

骨を健康に保つためカルシウムをとりましょう
食品に含まれるカルシウムのイラスト

運動療法について

運動は、骨に適度な圧力をかけるため、骨を作る細胞が活性化して、カルシウムが骨に沈着しやすくなります。逆に、運動不足は、骨からカルシウムが血液中に溶け出しやすくなり、もろくなります。
普段、運動していない方や高齢者が、急に激しい運動をすると、怪我や転倒する恐れがあります。骨粗しょう症予防の運動は、適度な運動を継続的に行うことが大切です。まず、ウォーキングやストレッチ(体をゆっくり伸ばす体操)からはじめましょう。

軽い運動でも毎日続けることが大切
軽い運動のイラスト

寝たきりにならないために、定期的に検査を受け、継続的に通院しましょう

自覚症状が現れにくいため、病院で検査を受けない方や自己判断で治療を中断する患者様が多い骨粗しょう症。検査・治療を受診・継続せず、放置するために、自分の骨の状態に気づかず、転倒や軽い衝撃で骨折して、寝たきりになり、要介護状態に至る患者様がたくさんいらっしゃいます。
寝たきりになることで、あなたの「健康寿命」は縮み、あなたがあなたらしく、日々をいきいきと暮らすことができなくなります。

骨折して寝たきりになることを防ぐために、定期的に検査を受けること、また、治療中の患者様は、自己判断で、治療を中断しないことが大切です。
特に、50才以上の女性は、1年に1回程度、骨粗しょう症と診断された患者様は、半年に1回程度、整形外科で定期的に検査・診断を受けましょう。