城内病院で、患者様の自主訓練として指導している五十肩(肩関節周囲炎)の痛みに効く体操の中から、代表的な3つの体操を紹介させていただきます。
治癒過程には、個人差があるので、無理しない範囲で、あせらず根気よく行いましょう。

(関連リンク)
「いわゆる五十肩」は肩関節周囲炎のこと ~保存的療法で治しましょう~
五十肩(肩関節周囲炎)のリハビリ

キャットアンドドッグ体操

対象
五十肩(関節周囲炎)を含む肩痛、腰痛。
目的・効果
肩甲骨周囲筋を柔らかくし、可動域を広げることで、崩れた左右のバランスを修正します。肩甲骨周囲筋とつながっている硬くなった肩関節周囲筋も柔らかくなります。腰痛にも効果があります。
注意点
呼吸を止めないように。胸を動かすのではなく、腰から骨盤を動かすようなイメージで。
回数
二つの運動を合わせて10回から始め、状態に応じて回数を増やしてください。(目安10~30回)

キャットアンドドッグ体操のながれ

  1. キャットアンドドッグ体操の様子1開始姿勢
    四つ這いになり、手は肩幅より開きます。
    お腹を膨らますように!
  2. キャットアンドドッグ体操の様子2両手を床に押しつけながら、骨盤だけを後ろに動かします。上半身も一緒に動かして、背中を丸めるように意識しましょう。(ネコの伸び上がりの姿勢)
    お腹を凹ますように息を吐きます。
  3. キャットアンドドッグ体操の様子3肩甲骨を背骨に寄せるようにイメージして背中の中央に寄せます。(ドックの姿勢)
    お腹を膨らますように!

うちわ扇ぎ運動

対象
五十肩(関節周囲炎)を含む肩痛
目的・効果
空気抵抗を利用して、肩関節のねじれの動きを訓練します。キャットアンドドッグ体操と同じく、肩甲骨の動きを意識して体操することで、肩甲骨周囲筋を柔らかくし、肩関節周囲筋の改善につなげます。
注意点
手首を固定し、うちわを外側へ開くときは、肩甲骨を背骨に向かうように、内側に力を入れます。うちわを内側へ動かすときは、肩甲骨を背骨から離すように力を入れる。
回数
目安は30回。

うちわ扇ぎ運動のながれ

  1. うちわ扇ぎ運動の様子1椅子に座り、脇をしめて肘を90°に曲げ、肘関節屈曲位の状態を作ります。
  2. うちわ扇ぎ運動の様子2腕が身体から離れないようにうちわを左右に扇ぎます。
    このとき手首だけで動かさないように注意します。
    肩甲骨を意識して!

コッドマン体操(アイロン体操・振り子体操)

対象
五十肩(関節周囲炎)を含む肩痛。
目的・効果
肩甲骨と上腕骨の関節運動が円滑でなくなることで、関節や筋にストレスがかかり、炎症が起こり、痛みが生じます。コッドマン体操は、固くなった軟部組織(関節包や肩関節腱板)をストレッチして、肩甲骨と上腕骨の関節運動を円滑にします。肩甲骨と上腕骨の間に、関節の遊びを作ることで、痛みや障害を引き起こすことを防ぎます。
注意点
痛みがある程度おさまった時期に行ないます。痛みが強い時期や炎症がある場合は行わないようにしましょう。
回数
状態に応じて回数を増やしてください。(目安10~30回)
コッドマン体操のながれ
  1. コッドマン体操の様子1体を前に倒し、痛くないほうの手をテーブルに置く。
    痛いほうの腕は重力に逆らわないようにダラーっと垂らします。
    脱力するように!
  2. コッドマン体操の様子2身体を揺すり痛いほうの腕に力を入れないで揺らします。
    痛みがない程度に行います。
    遠心力を利用して!

あなたにあったペースで、あせらず根気よく体操しましょう

五十肩(肩関節周囲炎)のリハビリとしての自主訓練は、痛みがあるかどうかを判断しながら行いましょう。強い痛みがある場合、無理して体操をすると、かえって、患部が悪化してしまうこともあります。医師やリハビリスッタフに相談しながら、無理をしない範囲で行うことが重要です。

今回紹介した3つの体操は、自主訓練として自宅でもできる体操です。五十肩(肩関節周囲炎)の予防効果もあります。あなたにあったペースで、あせらず根気よく、体操しましょう。