運動前後のストレッチの方法を間違えると、正しい効果を得られず、パフォーマンスの低下を招き、さらにはケガの防止にも役立ちません。逆に、ストレッチを正しい方法で行うことで、理想に近いパフォーマンスを得ることができ、ケガの防止にもなります。
ストレッチには、動的と静的があり、それぞれの方法で効果も違います。今回は、代表的な動的ストレッチと静的ストレッチを紹介します。
動的ストレッチ
動的ストレッチは、運動前に行ないます。ウォーミングアップが目的です。なるべく反動を使わず肩を回したり足首を回すダイナミックストレッチとラジオ体操のように反動をつけて行うバリスティックストレッチがあります。
ダイナミックストレッチ
ダイナミックストレッチは、関節をいろいろな方向に動かすことで、筋肉の伸張性が増すため、関節の可動域を広げる効果があります。
以下はダイナミックストレッチの注意点です。
- からだが温まった状態で行いましょう。
- 過度に反動をつけない。
- 無理をして痛いところまで伸ばさない。
代表的なダイナミックストレッチを紹介します
- 足上げ・スキップ足上げ・素早く足上げ それぞれの速さで、左右交互に10回ずつ。
- かかと尻付け・素早くかかと尻付け それぞれの速さで、左右交互に10回ずつ。
- カリオカ 左右別々に10回ずつ。体は正面に向けたまま、足をクロスさせて横に進む。
- かかと歩き 左右交互に10回ずつ。
- つま先歩き 左右交互に10回ずつ。
- トゥー・タッチ 左右交互に10回ずつ。歩きながら足を伸ばし、つま先を手でタッチする。足があまりあがらない場合は、タッチせずに上がるところまででOKです。
- 腕回し 前回し10回、後回し10回。
バリスティックストレッチ
バリスティックストレッチは、ラジオ体操のように反動をつけて行います。反動をつけて筋肉を大きく動かし伸ばすことで、関節の可動域を広げる効果があります。可動域を目一杯に広げた状態や筋肉が硬い状態で極端な反動を使うことは、筋肉を傷める可能性があります。注意しましょう。
静的ストレッチ
静的ストレッチは、運動後に行ないます。クールダウン、つまり、身体の疲労回復と筋肉の緊張を和らげることが目的です。スタティックストレッチとは、静的ストレッチのことです。
スタティックストレッチ
スタティックストレッチは、反動を使わず、脱力して行います。目的の筋肉を15~30秒ほど伸ばします。スタティックストレッチを行うと、筋肉が緩むことによって関節の可動域が広がります。
以下はスタティックストレッチの注意点です。
- 反動を使わない。
- 脱力する。
- 呼吸を止めない。
- 無理をして痛いところまで伸ばさない。
代表的なスタティックストレッチを紹介します
- 手首のストレッチ 肘を身体の前方へまっすぐに伸ばし、手のひらを上に向けたまま、もう片方の手を添えて、手首を曲げます。
- 肩のストレッチ1頭の後ろで片手を背中に付け、もう片方の手で肘を持ち、頭の方へ引き寄せます。
- 肩のストレッチ2胸の前で片方の肘を押さえながら、胸に押し付けます。
- 脇のストレッチ両手を頭上で組んで、上体を片方ずつ傾けます。
- 背中のストレッチ四つんばいになって、そのまま腰を沈めて、背中を伸ばします。
- 腰のストレッチ足を組んで座り、片手で上体を支えながら、上体をひねります。
- 股関節のストレッチあぐらをかくようにして座り、両方の足の裏を合わせます。そのまま股関節を開いていきます。
- 大腿のストレッチ1立ったまま片手で片方の足を持ち、かかとをおしりに近づけます。この時、股関節をしっかり伸展させるようにすることによって、効果的なストレッチとなります。
- 大腿のストレッチ2床に座って片方の足だけ曲げて、お尻の下にはさみます。片足だけの正座スタイルです。
- ハムストリングスのストレッチまっすぐ立ったまま、腰を曲げていき両手を床に付くようにします。この時、膝を曲げないように注意すると効果的なストレッチとなります。
- アキレス腱のストレッチ体重を前足にかけたまま、後ろ足を伸ばします。