慢性期とは、日常生活において、立ち上がりや歩行時の歩き始めに痛みが出現する時期。慢性期のリハビリでは、積極的に関節可動域訓練や筋力訓練などを行い、痛みの軽減だけではなく全身の姿勢調整も行います。さらに、退院後の日常生活において、障害になりそうな動作(立ち上がりや浴槽に入る動作、玄関などの段差の昇り降りなど)を想定した訓練(ADL訓練)も行います。

関節可動域訓練は、最終的に曲がる角度まで積極的に膝関節の可動域を広げる訓練です。筋力訓練・自主訓練については以下で詳しく解説します。 今回紹介する筋力訓練と自主訓練を自宅でのリハビリで行うことで、より一層、機能改善の効果を期待できます。ぜひお試しください。

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慢性期の筋力訓練・自主訓練

痛みなどの症状、変形の程度や筋力などには個人差があります。できる運動から少しずつ行うようにしましょう。筋力はすぐにつくものではないので、根気よくリハビリを継続することが大切です。

ハーフスクワット

効果:股・膝関節周囲の筋力(大腿四頭筋、殿筋群)の強化。腰痛予防のための体幹(背筋、腹筋など)の筋力強化と腹圧の向上。
回数:1セット10~15回、1日3セットを目標に。
注意点:まっすぐな姿勢を意識して背中を丸めない。反り腰は腰痛の原因。
膝はつま先より前に出さないように。前に出てしまうと腰痛の原因。
膝とつま先の方向は同じ方向に。内側や外側に倒れてしまうと、膝の疼痛の原因。

慢性期のリハビリ ハーフスクワットの方法1
1.スタートポジション
慢性期のリハビリ ハーフスクワットの方法2
2.スクワットした状態

ダメなハーフスクワットの状態

慢性期のリハビリ ダメなハーフスクワットの方法1
腰が反りすぎている
慢性期のリハビリ ダメなハーフスクワットの方法2
つま先が膝より前に出ている
慢性期のリハビリ ダメなハーフスクワットの方法3
膝が内側に入りすぎている

カーフレイズ

効果:下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力向上。足の疲れやすさの軽減や膝などの安定性に効果。
回数:1セット15~20回、1日3セットを目標に。
注意点:つま先に体重をかける際、真上に身体をもっていくように。斜め前方に身体を倒すとバランスが保てない場合や骨盤が後方に倒れてしまい筋力効果が軽減してしまうため。

慢性期のリハビリ カーフレイズの方法1
1.スタートポジション
慢性期のリハビリ カーフレイズの方法2
2.つま先立ちした状態

フロントランジ

効果:股関節・膝関節周囲の筋力を鍛えることが出来る。
回数:1セット15~20回、1日3セットを目標に。
注意点:足幅は肩幅と同じぐらいに開く。筋力をアップさせたい足を前に踏み出し、グッと体重を乗せる。その時に背筋はできるだけ伸ばし、体をゆっくりと沈める。体重をかける時は、膝が内側や外側に倒れないようにしましょう。

慢性期のリハビリ フロントランジの方法1
1.スタートポジション
慢性期のリハビリ フロントランジの方法2
2.一歩踏み出した状態

ダメなフロントランジ

慢性期のリハビリ ダメなフロントランジの状態1
膝が内側に倒れてすぎている
慢性期のリハビリ ダメなフロントランジの状態2
膝が外側に倒れすぎている

エルゴメーター:固定式自転車を利用した訓練

効果:身体機能の向上(体力や持久力など)や全身機能調整。
回数:1日1~2回、15~20分。
注意点:呼吸や脈拍が早くなりすぎないように注意しましょう。

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