急性期とは、膝関節周囲に熱感、皮膚が赤くなる発赤や患部の腫れなどが出現し、安静時、体動時、歩行時などすべての動作において痛みが出現する時期。
リハビリでは、膝関節周囲を積極的にアプローチするのではなく、股関節(骨盤帯)・足関節など膝関節以外からアプローチします。
具体的には、以下の4つが急性期のリハビリ項目です。筋力訓練と自主訓練については詳しく解説します。より一層、機能改善の効果をあげるため、自宅でのリハビリで今回紹介する筋力訓練と自主訓練をぜひお試しください。
- 股関節・膝関節・足関節の筋肉のリラクゼーション。マッサージ。
- 膝蓋骨(お皿)と膝関節・股関節・足関節の可動域を広げるための訓練。
- 筋力訓練
- 自主訓練
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急性期の筋力訓練
まず、足指や足底などから筋力強化しバランス能力の向上を図り、次の段階の膝関節周囲筋の強化につなげます。
タオルギャザー:前方もしくは側方からタオルを引く訓練
効果:足指の筋肉を鍛えることができ、立位時、歩行時などのバランス能力向上。
回数:前方・側方、それぞれ10回引き寄せる。
注意点:膝関節の運動になってしまわないように、しっかり踵(かかと)を床につけておくこと。
タオルギャザー:前方の運動
タオルギャザー:側方の運動
不安定板を利用した平衡感覚訓練
効果:足底感覚の向上。バランス能力の向上。
回数:5分間
膝裏にタオルを置き、膝関節を伸ばす訓練
効果:膝関節周囲の筋力向上。
回数:10回ほど。伸ばした状態で3秒キープ。痛みが強ければ回数は調整。
注意点:踵を浮かせないようにすること。踵をつけておくことで膝関節への負担を減少。 体への負担を軽減するため呼吸を止めない。痛みが強い場合はしなくてもよい。
急性期の自主訓練
痛みなどの症状、変形の程度や筋力などには個人差があります。できる運動から少しずつ行うようにしましょう。
運動後には、アイスパックで患部を冷やす物理療法を行ないます。
足関節の上下運動
効果:深部静脈血栓症予防のため。足の腫れ防止。
回数:1日に2~3セット、1セット30回。痛みが強ければ回数は調整。
注意点:つま先を反らせるときは指も反らせるように、つま先を伸ばすときは指も曲げるようにする。
じゃんけん運動:グー・チョキ・パーと足指を動かす訓練
効果:足の指の筋力維持。立った状態や歩く際のバランス能力低下予防のため。
回数:1日に2~3セット、1セット30回。痛みが強ければ回数は調整。
注意点:呼吸を止めないように。
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