城内病院は整形外科の患者様が多いのですが、他の病院から脳梗塞などの脳血管障害を患っている患者様も入院されています。
今回は、脳梗塞の患者様が城内病院で行うリハビリテーションを紹介します。
脳梗塞のリハビリ内容は以下の4つです。
- 関節可動域訓練
- 基本動作訓練:ベッド上から車いすに移るまでの過程の練習
- バランス訓練
- 起立訓練と歩行訓練
”脳梗塞のリハビリテーションの基本動作訓練と歩行訓練”では、脳梗塞の基本動作訓練と歩行訓練について詳しく解説しています。
以下は、脳梗塞のリハビリを行うときに、私たちリハビリスタッフが、患者様に対して注意・配慮する項目です。
- リハビリ前の患者様の体調を確認。
- 血圧管理。
- 深部静脈血栓症の症状の有無。
- 感覚低下による褥瘡(じょくそう:床ずれ)の有無の確認。
- 三角巾の着用による肩関節の脱臼防止。
(関連リンク)
脳梗塞リハビリでの作業療法 ~入院から退院まで~
脳梗塞のリハビリにおいての関節可動域訓練
関節可動域訓練は、患者様ご自身で上肢・下肢を動かせない場合に関節の硬化や筋肉の伸張性の低下により、日常生活動作である起立や歩行などに障害をきたす可能性があるために行います。
脳梗塞のリハビリにおいての基本動作訓練
基本動作訓練は、まずベッドから車椅子などに移乗できるようになることを目標とします。
その理由は、受傷前の生活で家事や趣味などでからだをよく動かしていた患者様が、発症して寝ている時間が多くなると、身体的・精神的に意欲の低下につながることがあるためです。
また、尿や便など排泄に関しても、多くの患者様が、「自分でトイレに行けるようになりたい」と希望されます。なるべく患者様の希望に応えるためにも、移乗動作の訓練が必要となります。
脳梗塞のリハビリにおいてのバランス訓練
バランス訓練は、障害による重心の偏りを正常な姿勢へと戻すために行います。
脳梗塞を発症した患者様は、障害されていない半身に重心が偏ってしまう傾向がみられます。その理由は、運動や感覚などに障害が現れるため、両手・両足の左右どちらかの存在感を忘れてしまうからです。
バランス訓練の具体的な内容
具体的には、ベッドなどに不安定板(柔らかいクッションなど)を置き、その上に患者様に腰かけるように座ってもらいます。
姿勢鏡という大きな鏡を利用して、どのような姿勢になっているのかを視覚的にも把握してもらいます。
患者様が姿勢を保持できるようになると、スタッフが前方・後方・側方から患者様のからだを押して、バランスが保てているかを確認します。
不安定板(クッション)に座るバランス訓練の注意点
- 両肩の高さをなるべく平行に保つ。
- 背骨が丸くならないようにする。前方に倒れてしまうため。
- 胸を前に突き出しすぎないようにする。後方に倒れてしまうため。
脳梗塞のリハビリにおいての起立訓練と歩行訓練
脳梗塞を発症した場合、左右どちらかの上下肢の感覚麻痺、バランス障害、歩行障害などの症状が出現することが多々あります。
そのため、起立訓練や歩行訓練において、体重の負荷をかけることで以下の4点の効果が期待できます。
- 足裏からの感覚刺激促進による感覚向上。
- 姿勢保持能力 (起立・歩行時などに側方や後方に倒れないようバランスをとるための身体の制御反応)の向上
- 姿勢を保持するための筋出力向上(筋肉がいつ働けばいいのかを学習すること)。
- 血圧などの安定性向上。
脳梗塞のリハビリ:退院に向けたリハビリテーション
脳梗塞の患者様は、歩行時にすり足や膝折れなどが出現することが多々あります。
その理由は、歩行時において、膝、足関節や足指による前方への推進力にブレーキをかける機能や踏み返しをスムーズにする機能が障害されているためです。
その障害をリハビリするGSD(短下肢装具)は高価なため、患者様が購入して退院後の生活で使用することは困難と思われます。
そのため、病院でのリハビリでGSD(短下肢装具)を用いて、バランス能力、運動能力や感覚入力の獲得・再学習を図ります。
以下の場合には、GSD(短下肢装具)を使用して歩行訓練ができないことがあります。
- 麻痺の程度が重度の場合。
- 足部の変形が強い場合。
- 歩行時に著しい膝折れや反張膝が出現しない。
退院に向けてのサービス利用や住宅復帰に向けて必要なこと
- 介護保険(要介護、要支援)により利用できるサービスをしっかりと把握する。
- 地域デイサービスやデイケア、ショートステイの手配。
- 自宅退院では日常生活で不自由な場所はないか、家屋調査に行く(当病院の近隣周辺の
み)。 - 外来受診の必要の有無の確認。
- 福祉用具の有無を確認する。