疲労骨折とは、個別の外傷(転倒や打撃など)による大きな力で骨が折れる通常の骨折とは異なり、同じ部位に繰り返し負荷・ストレスが加わることで発生する骨折です。

骨の同じ部位に繰り返し掛かる体重の負荷が、筋肉や腱がその負荷を吸収して骨への衝撃を緩和する能力の限界を超えると、骨に微細なひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至る疲労骨折がおこります。

疲労骨折は、ランニングやジャンプなど同じ動作を繰り返すスポーツ選手に多くみられます。
とくに無理なトレーニングスケジュールやトレーニング強度を急激に増加させたケースで生じることが多いのが特徴です。

長距離の行軍を始めたばかりの新兵が、中足骨を疲労骨折することが多くみられるために、行軍骨折と呼ばれることもあります。
他には、中高年でも高強度のスポーツや運動をする人、重労働を繰り返している人、高齢や栄養状態不良が原因で骨密度が低下している人は、疲労骨折のリスクが増加しています。

疲労骨折の症状とは?

疲労骨折は第2中足骨で発生することが多く、この部位の骨折は行軍骨折と呼ばれることがあります。その理由はかつて軍隊に入隊したばかりの新兵が、行軍中に第2中足骨を骨折することが多くみられたためです。
足の脛骨や腓骨、足関節内果、腕の尺骨、肋骨などにもおこることがあります。

疲労骨折のイラスト

主な症状は、運動をした時や圧迫した時に患部に圧力がかかると痛みを感じる疼痛です。疲労骨折箇所周辺に軽度の腫れが現れることもあります。

疲労骨折は痛みが強く現れないことや運動をやめると痛みが治まってしまうことがあり、治療を行わず部活動などでスポーツを継続してしまうことがあります。
最初のうちは骨にわずかな亀裂が入った程度でも、無理してプレーを続けていると運動できなくなるほど強く痛むようになって、やがて体重がかかっていなくても痛みが続くようになります。完全な骨折に至ることもあります。

疲労骨折の原因

疲労骨折の原因は、骨の同じ部位に繰り返し掛かる体重の負荷が、筋肉や腱がその負荷を吸収して骨への衝撃を緩和する能力の限界を超えてしまうことです。
リスク要因として選手側の要因と環境側の要因が考えられます。

選手側の要因:選手自身の技術や体力の問題

  • 選手自身の筋力不足、アンバランスな筋力
  • 運動に対する技術の不足・未熟
  • 栄養不良、ホルモンの異常などによる骨密度の低下
  • からだの柔軟性の不足

環境側の要因:トレーニングや練習環境の問題

  • オーバートレーニング:選手の技術や体力に合わない過度なトレーニングは、特定の骨に繰り返し負担をかけ疲労骨折のリスクを高める。
  • 無理なトレーニングスケジュール:短期間かつ集中的に行うトレーニングでの運動強度の急激な増加は、骨に対する負担を増加させ疲労骨折の危険性を高める。
  • 不適切な運動装具:適切でないスポーツ用具やシューズの使用は、骨に余分なストレスをかけ骨折のリスクを増加させる。
  • 整備不足の練習場:固すぎる、もしくは柔らかすぎる、整地されずならされていない練習場など。

疲労骨折の検査と診断

まず、問診において痛みや腫れがある部位やどんな時に痛むかなどを患者様に伺います。また、歩行パターンや姿勢なども観察します。
次に触診にて外傷がないのに骨の直上に限って圧痛があれば、疲労骨折を疑います。

疲労骨折を疑えば、X線検査を行います。骨折の有無は骨折初期にはわからない場合も多く、その時は約2~3週間が経過しX線画像で骨折から回復中の骨が示されるようになる時期に、再度X線検査を行うか、MRI検査やCT、骨シンチグラフィーなどで検査します。

疲労骨折の治療は運動中止が原則

疲労骨折の治療は、運動を中止して安静を保ち患部に負担をかけないようにすることが原則です。必要に応じて松葉杖、サポートシューズやギプスを使用し患部への負担を軽減します。
患部を安静に保つことができれば、ほとんどの場合手術をしなくても快方に向かいます。

安静にしていてもなかなか治らない場合や再び同一部位に繰り返し負担をかけて再発した場合は、手術を選択することもあります。
疲労骨折は治療せずに放置すると重症化する可能性があります。症状が続く場合や再発を防ぐためには、なるべく早く病院で検査して適切な治療や指導を受けることをお勧めします。

疲労骨折を予防するためには

疲労骨折の原因は、骨の同じ部位に体重の負荷・ストレスが繰り返しかかり続けることです。普段から「オーバートレーニングにならない」、「単調で画一的なトレーニングを避ける」を心がけ、コンディションを整えておくことが大切です。

  • 適度な休息:疲労を蓄積させないために、休息とリカバリータイムを確保する。
  • 適切なトレーニング:過度で単一的なトレーニングを避け、適切なスケジュールやトレーニング量が大切。
  • 柔軟性を高める:運動前に入念にストレッチを行って柔軟性を高める。
  • 栄養摂取:カルシウム、ビタミンD、タンパク質など骨の健康に必要な栄養素を摂取する。
  • 症状に注意:痛みや不調が現れた場合、早めに医師の診察を受けることが重要。