下垂手のイラストグロムス腫瘍とは、血流調節の組織であるグロムス器官と呼ばれる血管の一種から発生する良性の腫瘍です。
グロムス腫瘍は爪の下にできることが多く、爪下グロムス腫瘍と呼びます。

外傷はないのに「爪を押すと強烈に痛い」と城内病院整形外科を患者様が訪れたなら、まず爪下グロムス腫瘍を疑います。
20~40歳くらいの若い女性に多くみられます。

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強烈な痛みを伴う爪下グロムス腫瘍

爪下グロムス腫瘍の症状の特徴は、強烈な痛みです。
爪の下に腫瘍がある場合は、青みがかったグロムス腫瘍が透けて見えることがありますが、腫瘍が小さい場合や指腹にある場合は確認できないこともあります。

  • 爪を押すと強烈に痛む。
  • 指を冷たい水につけると痛い。
  • 寒い冬になると痛みが出る。寒暖差が激しいと痛む。
  • 腫瘍があるため爪が変形することがある。

爪下グロムス腫瘍の病態

グロムス腫瘍ができるグロムス器官は手足の指に多くあり、動脈と静脈がつながる部分で血流の調節を行うことによって皮膚温度を調節しています。
このグロムス器官が異常化したものが良性腫瘍のグロムス腫瘍です。

手指のグロムス腫瘍は爪の下にある爪床と骨の間にできるため、爪が変形することがあります。
指の腹側にできることもあります。

爪下グロムス腫瘍の診断と検査

下垂手のイラスト問診にて、圧迫による強い痛み、爪の下に青みがかった腫瘍や爪の変形があるかを確認します。

腫瘍が小さい場合や指腹の深い所にある場合は肉眼で確認ができないため、MRIで撮影して診断します。
レントゲン撮影で腫瘍に圧迫されて指の骨が陥没していないかを確認することもあります。

爪下グロムス腫瘍の治療とは?

グロムス腫瘍の治療は手術での腫瘍摘出です。良性腫瘍のため摘出すれば再発することはないとされています。

局所麻酔で腫瘍のある指だけを無痛にします。手術には腫瘍の取り残しのなくすために顕微鏡を使用します。

爪全部を剥がすようなことはなく、爪下に腫瘍があるケースでは、爪の一部を一旦切開してめくります。腫瘍を摘出したのちまた爪で蓋をするように縫合します。

腫瘍が指の腹にあるケースや美容的観点で爪の変形を防ぐためには、爪をはがさずに横から切除できる手術もあります。

手術は日帰り外来手術で可能です。
手術後は腫瘍による痛みは改善しますが、爪を切開した痛みが1ヶ月ほど続くことがあります。
爪を切開したことによる爪の変形は、半年程度で爪が伸びて再生します。