「オスグッド病」というワードを最近ネットなどで目にしませんか?
正式名称はオスグッド・シュラッター病。
1903年にボストンの整形外科医ロバート・ベイリー・オスグッドとチューリッヒの外科医カール・シュラッターが別々に症例を確認し発表したため、このような正式名称となっています。

オスグッド病は、バスケットボールやサッカーなどの頻度高くジャンプする競技やボールを蹴る競技、つまり膝への負担が大きいスポーツ競技に励む10〜16歳の成長期男子に多く発症します。男女比では男子に多いのも特徴です。

活発にスポーツする成長期の子供には「よくある膝の痛みだ」と治療せずに放置しがちです。しかし、その痛みの原因がオスグッド病の場合、痛みを我慢して運動を続けていると成人してからも後遺症に悩むことになるケースがあります。

本記事では、オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)の原因、症状、検査、治療について詳しく解説していきます。

痛い膝を抱える少年のイラスト

オスグッド病の症状とは?

オスグッド病は、膝への負担が大きいバスケットボールやサッカーなどを活発にする10〜16歳の成長期男子が発症しやすいスポーツ障害です。
オスグッド病のおもな症状は、膝前部と下部に生じる痛み、発赤(ほっせき:皮膚が赤くなること)や患部に生じる熱感です。
バスケットボールやサッカーなどのスポーツにおいて、頻度多く膝関節を屈伸する動作を行なったときに、膝蓋靭帯(しつがいじんたい)が付着する脛骨粗面(けいこつそめん:脛骨の前面の上端にある結節状に隆起し膝蓋靭帯が付着する部分。)に負荷がかかることで痛みや腫れが生じます。

症状は片脚にのみ発症することが多く、休んでいると痛みは緩和されますが、スポーツを始めて膝を動かす動作を繰り返すと痛みが再発します。

オスグッド病の原因についてについて

オスグッド病の原因は、膝を伸ばす力の繰り返しによって、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節部分を牽引するために成長期に認められる膝軟骨部が剥離することです。

子供の成長期には、骨成長スピード(柔らかい骨から硬い骨へと成長する過程)に周囲の筋肉の成長が追いつかず、バランスがうまく取れていない状態になることがあります。
その状態でバスケットボールやサッカーのような膝に負担のかかるスポーツを過度に行うと、大腿四頭筋からつながっている脛骨粗面部に負荷がかかりやすくなります。

過剰な負荷がかかることで、膝軟骨部が一部剥離するなどの物理的な刺激が生じます。
かつ成長期の脛骨結節部は柔らかいために刺激がより加わり、患部の熱感や腫脹などを引き起こしやすいと考えられます。

運動を休止すれば症状は緩和されますが、休止せずに運動し続けるとさらに悪化し脛骨粗面部が隆起してきます。成長期を過ぎれば自然と症状は治まります。

オスグッド病の原因についての解剖図のイラスト

オスグッド病の検査・診断

オスグッド病特有の膝前部と下部に生じる痛み、発赤や患部に生じる熱感の有無を確認します。また患部に圧痛や隆起が認められれば、ある程度診断は可能です。

より確実な診断が必要であれば、X線(レントゲン)撮影を行って脛骨結節の剥離の有無を確認します。CTやMRIでの画像的評価を追加することもあります。

オスグッド病の治療、予防、スポーツ復帰

オスグッド病は成長期の一過性の病気で、通常では成長期を過ぎると多くは自然に治癒します。

痛みや腫れなどの症状があるときは、現在行なっているスポーツを休止することを治療の第一とします。
子供は痛みがあってもスポーツを続けたがります。周りの大人は子供の状態に気を配り、もし異常に気付いたならば、すぐに受診して医師の指導を受けて下さい。
スポーツを休止して安静を保つ保存的療法で多くの場合は症状が軽減します。

症状を悪化させないためには、大腿四頭筋のストレッチや患部のアイスマッサージなどを行います。痛みが強い時には鎮痛剤の服用や湿布を貼付します。

症状が改善すれば、スポーツを再開することも可能です。発症後3〜6ヵ月はスポーツをすると症状が再発することがあります。
スポーツする前後に大腿四頭筋のストレッチやアイスマッサージを励行しましょう。また、膝にベルト、サポーターやテーピングなど固定具を装着してスポーツをすることも再発予防に有効です。