巻き爪・陥入爪のイラスト毎年、多くの患者様が巻き爪・陥入爪(かんにゅうそう)で足の指が痛いと城内病院を訪れます。
巻き爪・陥入爪の患者様で圧倒的に多いのは中高年の女性です。理由は、中高年の女性は、ハイヒールなどの先の細い靴を履く機会が多いので、足先が圧迫され続けているためと考えられます。

巻き爪・陥入爪は保存的治療で一旦治っても、しばらくすると再発しやすい病気です。治っては再発を繰り返すことで、さらに重症化する悪循環に陥る患者様が多いのが現状です。

城内病院では強い痛みを訴える患者様や重症化している患者様には積極的に手術をお勧めします。その理由は、手術することで痛みが取れ再発も防ぎ、毎日の生活を快適に送ることができるようになるからです。

巻き爪・陥入爪になりやすい方と原因

巻き爪・陥入爪の患者様に圧倒的に中高年の女性が多いのは、先の細い靴を履く機会が多いためです。
足先に負担がかかり続ける立ち仕事の方も多く見られます。

巻き爪・陥入爪の原因で多いのは、先の細い靴・足に合わない靴を履くこと。次に多い原因は深爪の習慣です。
深爪になると、体重などの負荷で爪の両端の肉が盛り上がったところに、伸びた爪が肉に食い込んで巻き込みます。

  • 先の細い靴・足に合わない靴:ハイヒールなど先の細い靴は足先を圧迫するため。
  • 深爪:負荷により爪の両端の肉が盛り上がり、爪が肉の中に巻き込みやすくなる。
  • 偏平足:足・足指にかかる圧力のバランスが悪くなるため。
  • 急激な体重増加:足・足指に大きな負荷がかかるようになるため。
  • 爪の水虫(爪白癬):水虫により爪が分厚くなり変形するため。

巻き爪・陥入爪の症状

肉の部分に巻き爪・陥入爪が食い込むと激しい痛みや炎症が生じます。食い込みが深くなると傷ができて出血し、傷口から感染すると化膿して悪臭を放つこともあります。

歩行時に激しく痛み、さらに足が痛いことで歩き方が障害されて、膝や腰などの他の部分の痛みを引きおこすこともあります。

巻き爪・陥入爪の病態と外反母趾との関係

多くの場合、巻き爪・陥入爪は靴に当たっている親指の外側でおこります。
症状が進行すると、爪が徐々に丸まって足指の肉に深く食い込んで、出血や化膿を繰り返しおこす悪循環が生まれます。

また、外反母趾と合併するケースもよくあります。その理由は、外反母趾の患者様の足指は、変形により親指の靴に当たる側が靴の中で下向きになるからです。
下向きなった親指の靴に当たる側に体重がかかり、より圧迫されることで巻き爪・陥入爪を合併すると考えられます。

巻き爪・陥入爪の検査と診断

痛い、歩くとつらい、出血して靴下が汚れるようなことがあれば、病院を受診してください。
問診において患者様から症状をお聞きして、足の患部を確認したうえで、必要であれば骨の形の異常を確認するためにレントゲン(X線)検査も行います。

城内病院での巻き爪・陥入爪の治療

巻き爪・陥入爪は保存的治療をして一旦治っても再発しやすい病気です。何度も再発してそのたびに症状が重度になる悪循環に陥ることがあります。

城内病院では強い痛みを訴える患者様や重症化している患者様には積極的に手術をお勧めします。その理由は、手術することで痛みが取れ再発を防ぎ、毎日の生活を快適に送ることができるからです。

巻き爪・陥入爪の保存療法:軽度の場合や再発の可能性が低い場合

  • 足と患部を清潔に保つ:患部の化膿を防ぐことで痛みを抑える。
  • 鎮痛剤を内服して患部の痛みを抑える。
  • 生活習慣指導:先の細い靴(ハイヒールなど)を履かない。肥満の方は減量する。

城内病院での巻き爪・陥入爪の手術療法

城内病院で巻き爪・陥入爪の手術を行う場合、おもに鬼塚法で行います。弯曲爪(陥入爪より弯曲が強い爪)の場合は、宇田川法で行います。
両手術法とも入院は不要で外来で手術をします。保険適用されます。

鬼塚法:

鬼塚法の説明とイラスト局所麻酔をして、変形している部分の爪母(そうぼ:爪の根元部分。爪がおもに作られる部分)と爪床(そうしょう:爪の下面が接している皮膚の部分)をメスで切り取り、爪の幅を狭くします。
爪母を切り取った部分からは爪が生えてこないため、再発することがほとんどありませんが、爪母細胞が再生して小爪が生えることもあります。

医師が手術時に注意することは、爪を切り取った部分を縫合する時に、足指の皮膚を残った爪の下に潜り込ませるようにすることです。その理由は爪の上に皮膚が残るとまた巻き爪になるためです。

鬼塚法は、切り取った部分から爪が生えない、術後の強い痛みやしばらくお風呂に入れないなどのデメリットはありますが、爪を切り取る部分を小さくできる、短期間で治療が終わる、再発することが少ないなどの大きなメリットがあります。

宇田川法:

足指の骨(末節骨)の形が原因の場合
足指の骨(末節骨)の形が筒形で通常よりカーブしていることが原因で、爪の弯曲が重度の場合は、爪を全部剥がして足指の骨の上部を平らに削る手術法を選択します。
骨の上部が平らになることで、爪の弯曲が抑えられてより平らな爪が生えてきます。

巻き爪・陥入爪の予防 ~ならないために、重症化しないために~

正しい爪の切り方のイラスト巻き爪・陥入爪で痛い時に、患部の巻き爪部分を切り取ると一時的に痛みはなくなります。しかし、爪が伸びると爪がより肉に食い込んで、症状がさらに悪化します。
このような悪循環になる前に病院を受診して適切な治療を受けましょう。

  • 深爪をしない。爪を切る時は指より1mmほど出るように切る。
  • スクエアカット:爪の先端を四角に切る。足指のカーブに合わせない。
  • 先の細い靴(ハイヒールなど)や足に合わない靴をなるべく履かない。
  • 足・患部を清潔にする。
  • 体重増加に気を付ける。足指に負担がかかりすぎないように。
  • 外反母趾の患者様は外反母趾を治療する。