膝関節に接している大腿骨と脛骨の顆部(かぶ:先端部)の組織が壊死する病気です。変形性膝関節症とともに、膝の痛みを訴える患者様に多い病気です。とくに、60代以上の高齢女性に多く見られます。

膝の骨壊死は、原因が解明されていない特発性骨壊死と病気治療のためステロイドの大量投与などによる2次性(続発性)があります。
今回は、患者数の多い特発性骨壊死についてみていきましょう。

特発性骨壊死イラスト

膝の特発性骨壊死 城内病院での問診・検査・治療について

膝の特発性骨壊死の原因とメカニズム

明確な原因がなく発症する場合を、特発性骨壊死と呼びます。現在のところ、原因について完全に解明されていませんが、最近の有力な説に次のようなものがあります。

加齢により弱くなった骨に体重などの負荷がかかることで、顆部では小さな骨折(軟骨下骨折)が、起こっては治ることを繰り返しています。その小さな骨折が治りきらずに広範囲になったものが、骨壊死になるのではないかという説です。

その理由は、膝の骨壊死とされる大半の症例で、内側半月板に損傷が見られるからです。すなわち、半月板の損傷のために、大腿骨(膝の上の骨)と脛骨(膝の下の骨)がギシギシと擦れて、骨の表面に小さな骨折(ひびのようなもの)ができることが、膝の特発性骨壊死の大きな要因と考えられます。

特発性骨壊死イラスト2

変形性膝関節症との関連性

膝の特発性骨壊死は、変形性膝関節症の進行過程で合併することがよくあります。
変形性膝関節症の進行過程での半月板損傷により、小さな骨折(軟骨下骨折)が繰り返し起きるためです。すなわち、この小さな骨折が治りきらないで、範囲が広がると骨壊死になるということです。

変形性膝関節症(1) なりやすい方、メカニズム、症状について

膝の特発性骨壊死の症状について

膝の特発性骨壊死は、変形性膝関節症と関連があり患部も同じ場所なため、患者様は同じような痛みを訴えられます。歩くと痛い、立ち上がりが痛い、階段の昇り降りがつらいなどです。

しかし、膝の特発性骨壊死には、変形性膝関節症とは異なる特徴的な症状があります。
それは、突然痛みをおぼえる患者様が多いことと夜間や安静時に強い痛みを感じることです。また、膝関節自体が悪化してないため、正座ができる人がいるのも特徴です。

膝の突然の強い痛みや夜間痛があるなら、特発性骨壊死の可能性があります

突然の強い痛みや夜間に痛むことと骨壊死という病名を告げられることで、ビックリする患者様も多いようです。
現在のところ、原因が完全には解明されていない病気ですが、最近の研究やMRIの導入により、原因が特定されつつあります。

膝の特発性骨壊死は治らない病気ではありません。膝に突然強い痛みや夜間に痛みを覚えたら、なるべく早く、整形外科で適切な検査と治療を受けましょう。