「足の親指の付け根が痛い」と来院される患者様に多い疾患は痛風ですが、強剛母趾(きょうごうぼし)という疾患の可能性もあります。

足の親指の母趾基節骨と第一中足骨の間には、母趾中足趾節関節(MTP関節)という関節があります。親指の付け根にあり、指先から数えると2番目の関節です。
この母趾中足趾節関節(MTP関節)に変形性関節症が生じる疾患を強剛母趾とよびます。

強剛母趾は歩行時や裸足での立ち座り時に痛みを覚えるために、普段の生活を障害します。歩行時に親指が痛むために無意識にかばってしまい、足の他の部分に痛みが現れることもあります。

足の骨を底側から見たイラスト

足の強剛母趾の症状とは?

足の強剛母趾の症状は、足の親指の付け根、つまり母趾中足趾節関節(MTP関節)周辺の痛みや腫れです。
親指を上に反らす状態(伸展)で強い痛みが生じます。歩行時の踏み返し・蹴り出しは、親指を上に反らす状態になるので、痛くて歩行困難になります。
歩きづらさから足の他の部分に負荷がかり続けて痛みが現れることもあります。

関節の変形が進行して関節の可動域が狭くなると動きが悪くなり、痛みがより増します。
また、関節に骨棘(こつきょく)という骨のトゲのようなものができることがあります。この骨棘が靴に当たって痛みが生じるケースもあります。

さらに重症化し軟骨がすり減り関節の隙間がなくなれば、より強く痛むようになったり親指が全く曲がらない状態になってしまうこともあります。

強剛母趾の原因

強剛母趾は、母趾中足趾節関節(MTP関節)の変形性関節症によって生じる疾患。
骨と骨を繋ぐ関節は表面を軟骨で覆われています。軟骨には関節にかかる衝撃を和らげ、関節の動きをスムースにする役割があります。
この軟骨がすり減ったり変形したりして骨と骨の隙間がなくなることで、痛みや腫れをおこす疾患が変形性関節症です。

変形性関節症がおこる原因は明らかではありませんが、繰り返しの微小なケガや骨の形態異常などが要因となっていると考えられています。外反母趾を合併している場合もあります。
また、患者様に中高年の女性が多くみられることから、加齢も関係していると推察されます。

強剛母趾の検査とは?

問診にて「親指のどの部分が痛むか」「「歩いているとき、親指がどのような状態になったら痛むか」などを患者様に伺い、強剛母趾の可能性を疑えば、以下の項目に当てはまるかを確認します。

  • 親指を上に反らした(伸展)時に痛みがあるか。
  • 母趾中足趾節関節(MTP関節)に腫れがあるか。
  • 母趾中足趾節関節(MTP関節)の背側(足の甲側)に骨棘による硬い隆起があるか。

親指の付け根の母趾中足趾節関節(MTP関節)が痛いケースでは、痛風や外反母趾の可能性もあるため、正確な診断にはレントゲン検査も必要となります。

強剛母趾の治療について

痛みが強くなく生活に支障がなければ、保存的療法で経過を観察します。保存的療法でも改善せず、痛みが強くて生活に支障があれば手術療法を検討します。

強剛母趾の保存的療法について

保存的療法の目的は、親指を反らすと痛むので反らすことの制限です。

  • 安静:患部を安静に保つため、親指が反るような動きを控える。
  • 足底挿板(インソール):足の型を取り、底の硬いインソールを作る。親指が反らないようにして歩行時の痛みを軽減。
  • 靴型装具(ロッカーボトム):つま先の上がった靴底の靴で親指への負荷を軽減。
  • 薬物療法:痛み止めの内服薬、外用薬、注射。

強剛母趾の手術療法について

保存的療法で改善しないケースや既に重症化しているケースでは、歩行機能の改善を目的に手術を行います。
手術法は、患者様の年齢や活動性、強剛母趾の重症度や症状に応じて選択されます。

  • 骨棘切除術・関節縁切除術(カイレクトミー):骨棘や変形した関節を切除して、痛みや親指の動きを改善する。
  • 関節固定術:軟骨がすり減り関節の隙間がない場合、関節を固定して動かなくすることで痛みをなくす。