痛風で足が痛む男性のイラスト 痛風は、血液中の尿酸値が上昇し飽和溶解度を超えると、関節内に尿酸塩結晶が生じて炎症をおこす疾患。激しい痛みや腫れを伴う病気です。
足の親指の付け根など患部に風が吹いたくらいでも激しく痛むということで、「痛風」と呼ばれています。

近年、痛風に効果のある薬が開発されています。医師の指導のもとで早期に適切な治療を受ければ、ほとんどの患者様がこれまで通りの健康な生活を送ることができます。
しかし治療せずに放置して症状が進行すると、激しい関節痛の繰り返し、体の至る所にできる結節、尿路結石などの症状があらわれることがあります。
また、肥満や高血圧などの生活習慣病と合併することもあります。

痛風の症状とは?

足の親指の付け根に激しい痛みが生じるのが痛風の症状の特徴です。文字通り、風が吹いても痛いというほどの耐え難い激痛発作です。
ほかに、足関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節、手関節、肩関節にも激痛発作がおこることがあります。

この激痛は発作的な症状なのでしばらくすると治まりますが、多くの場合1年以内にまた同じような発作がおこります。
痛風発作と鎮静を何度も繰り返すうちに、症状は重症化するとともに持続的なものとなります。

関節のひどい腫れや変形、関節周囲や至る所に結節ができたりします。さらには腰や背中に激しい痛みを生じる腎臓結石・尿路結石や痛風腎(腎臓にたまった尿酸結晶により腎機能が低下し、排泄に障害がでる病気)などを合併することもあります。

痛風の原因はプリン体の過剰摂取、過剰生成や排泄不全

痛風は、血液中の尿酸値が高い状態である高尿酸血症が原因となります。高尿酸血症とは血液中の尿酸の濃度が高くなり、7.0mg/dlを超えた状態です。
この高尿酸血症が長く続くと関節中の尿酸が結晶化し、この結晶を白血球が処理する際に痛風発作を発症します。

高尿酸血症の原因は、プリン体の過剰摂取、過剰生成や排泄不全。
プリン体とは運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギー物質で、常に体内で作られています。尿酸は、このプリン体が肝臓で分解されて生じる老廃物です。

通常、不要なプリン体は分解されて尿酸となり尿とともに排泄されます。しかし、プリン体が過剰に作られたり、分解されて生成された尿酸の排泄不全になると、体内の尿酸量は増えて飽和溶解度を超えます。 尿酸の飽和溶解度を超えた状態が続けば、関節内に尿酸塩結晶が生じて痛風発作を発症します。

プリン体を多く含む食品やアルコールを摂りすぎると、尿酸の血中濃度が上昇することがあります。暴飲・暴食、肥満などが原因になるとも考えられていて、男性の生活習慣がこれらの要因に当てはまることが多いため、女性より痛風患者が多い理由と推察されます。

ほかには腎臓から尿酸を排出する機能の低下、激しい運動、過剰なストレス、降圧利尿剤などの薬物も原因になることがあります。

テニス肘用のバンドのイラスト

痛風の検査と診断

問診にて、痛む部位や程度、痛風に関わる生活習慣などがあるかを伺ったのちに、足の親指の付け根などに痛みや腫れの痛風特有の症状が現れているかを確認します。

痛風の前段階である高尿酸血症を診断するために、特殊な偏光顕微鏡を使用します。
痛風結節のサンプルや針で採取した関節液のサンプル中に針状の尿酸塩結晶が確認されれば、痛風と確定できます。
X線検査で、関節の損傷や痛風結節の有無、MRI検査で尿酸の沈着の有無を確認することもあります。

痛風の治療と予防とは?

痛風発作時の痛みや炎症が強いときの治療は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)で痛みと炎症を抑えます。NSAIDが使用できない患者様には局所麻酔剤入ステロイドを関節内注入することもあります。
発作の予兆があるときや発作の鎮静化には、コルヒチンという薬で発作を予防することもあります。

発作が治まれば、尿酸値をコントロールする薬を長期間服用する薬物療法と同時に、プリン体を多く含む食品やアルコールの摂取を制限、激しい運動の制限、減量などの生活習慣改善を始めます。
尿酸値や腎機能測定のために定期的な血液検査も必要です。

プリン体の多い食品・アルコール
肉や魚の内臓や干物(鶏レバーやアジの干物など)、大正エビ、ビール、リキュール、ノンアルコールビール
プリン体の少ない食品・アルコール
チーズ、野菜サラダ、鶏卵、玄米、白米、パン、そば、豆腐、焼酎、ウィスキー