“糖尿病足病変① 原因と症状” “糖尿病足病変② 検査と治療” この2記事において、糖尿病の合併症のひとつである糖尿病足病変について解説しました。
本記事では、糖尿病足病変を予防するのに大きなウェイトを占めるフットケア。その重要性と具体的な方法についてお話します。
フットケアの重要性
足は靴や靴下などを履いていて目につきにくく、手などに比べ注意が払われることも少ないために、足にできた小さな傷などは見逃されがちです。
神経障害、血行障害や高血糖で免疫力が低下している糖尿病患者にとって、この見逃された小さな傷は化膿しやすく、治りも遅くなります。
「小さな傷だから大丈夫」と放置すれば、治癒が見込めないほど悪化して足を切断しなければならないこともある怖い疾患が糖尿病足病変です。
糖尿病患者が糖尿病足病変を予防するには、血糖値を良好にコントロールすることはもちろん、患者様自身で足を手入れすること=フットケアが重要になります。
フットケアとは、足に傷を作らないように日常生活の中で工夫し、毎日よく観察して自分の足の状態を把握したうえで、それに合わせた方法で手入れすることです。
毎日のフットケアで足に異常やトラブルを見つければ、すぐに病院で検査して適切な治療を早期に受けることが可能になり、病変の重症化を防ぐことにもなります。
フットケアの具体的方法とは?
糖尿病足病変の予防で最も大切なフットケア。フットケアの具体的な方法を紹介します。
毎日足を丁寧に観察する習慣をつけましょう
- 外出からの帰宅時や入浴時に、足指の間、足裏、かかとの後ろを中心に隅々まで観察する。
- 切り傷・擦り傷、やけど、変色・変形、靴ずれ、タコ、魚の目、水膨れなどがないかをチェックする。
- 見づらいところは鏡を使ったり、ご家族などに見てもらいましょう。
毎日きちんと足を洗って清潔に
- 毎日、石鹸をよく泡立てたぬるま湯で足を丁寧に洗いましょう。足裏や足指の間も忘れずに。
- 清潔を保つことが大事。足の汚れや不潔は細菌を繁殖させ、感染症を起こしやすくなる。
- 洗った後は水気をよく拭きとりましょう。皮膚を傷つけないよう、優しく拭き取る。
- 皮膚が乾燥しないように、保湿クリームを塗ってお手入れを。
やけどに注意しましょう
- 風呂湯でやけどをしないように。入浴時の温度は約40℃に設定。
- こたつ、電気カーペット、湯たんぽや電気あんかによる低温やけどに注意。神経障害により熱さに鈍くなっているために低温やけどしやすくなる。寝る前にはスイッチを切ることを忘れずに。設定温度を最低にする。
爪の手入れはこまめに
- 深爪に注意。爪の角は深く切り落とさないように。陥入爪が生じ炎症や赤み腫れがおきる。
- 巻き爪にならないように爪はまっすぐに切って、角を皮膚から出した状態に。
- 爪の変形に気をつける。爪の変形は爪周囲の炎症や外傷の原因になる。
自分の足に合った靴を履くことも大切なポイント
- つま先に1センチほどの余裕があり、窮屈でなく足の形にフィットする靴を選びましょう。
- 良いクッション性、靴底が安定している靴。紐やマジックテープで足首を固定できる靴。ウォーキング用シューズがおすすめ。
- 新しい靴はいきなり長時間履かずに、徐々に慣らしていく。
- 履く前に靴の中に小石などの異物が入っていないかを確認する。
裸足で歩かない、靴下を履いて足を守りましょう
- 裸足で靴を履くと外傷や靴ずれができやすいので靴下を履きましょう。
- きつすぎない、サイズに合った靴下を。
- 吸湿性・通気性の良い綿やウールの靴下を選びましょう。
- 靴下を履くことで水虫の予防になる。
- 毎日履き替えて清潔を保ちましょう。