糖尿病足病変の治療は、第一に血糖をなるべく良好な状態に近づけるようにコントロールするために、適切な糖尿病治療を前提とします。

糖尿病足病変には、症状や病態に応じた様々な治療法がありますが、一番大事なことは足に異常やトラブルを見つけたら、すぐに病院で検査して適切な治療を受けることです。 足にできた小さな傷ややけどなどを放置して、治癒が見込めないほど悪化すれば、足を切断しなければならない場合もあります。

足にできた糖尿病足病変

(関連リンク)
糖尿病足病変① 原因と症状
糖尿病足病変③ フットケアについて

糖尿病足病変の検査

まず、病変の種類、症状の進行度を検査にて正確に把握する必要があります。おもな糖尿病足病変の検査は4種類あります。

  • 触診・視診:足に傷、タコ・魚の目、感染症、潰瘍、壊疽などを確認する。
  • 足の末梢動脈疾患検査:足の末梢動脈疾患は血管が細くなるため、足の潰瘍や感染にかかりやすくなる。足首と腕の血圧を比べる下肢・上腕血圧比(ABI)、下肢動脈エコー、MRI、CT、血管造影装置など。
  • 神経障害の検査:神経障害により足の感覚が鈍くなると、傷や感染を見逃しやすいため。
    アキレス腱反射、振動覚検査、触覚検査、末梢神経伝導検査など。
  • 感染症の検査:爪・足の変形・変色、赤い腫れなどを確認。爪や皮膚の一部を採取して原因菌を調べる。血液検査や画像検査など。

糖尿病足病変の治療とは?

糖尿病足病変の治療は、第一に糖尿病の血糖コントロールを徹底的に行うことです。
次に、患部への負荷を軽減するための装具療法、感染症に対する薬物療法、患部や死んだ細胞の切除、下肢の動脈が閉塞している場合の血管内治療や血管バイパス術が挙げられます。

様々な治療法を試みながら経過観察しますが、改善しないケースでは最終的に切断を選択せざるを得ないこともあります。
糖尿病患者様は、足に小さな傷ややけどなどを見つけたら、すぐに病院で検査して適切な治療を受けることが大切です。

装具療法
トータルコンタクト型ギプス(下腿から足部にかけてフィットさせたギプス)、足に負担の少ない靴型装具や治療用中敷きで、患部への体重負荷を軽減する。
感染症に対する薬物療法
足病変から水虫(真菌)や細菌が見つかった場合は、抗真菌薬や抗生物質などを投与する。
感染部位の切除・排膿
タコや魚の目があれば切除し、感染で溜まった膿は切除して出す。
デブリードマン
傷や潰瘍の治癒を促すために、足潰瘍や足壊疽で死んだ細胞の部分を削る処置。
血管内治療
血管造影を行いながら、狭窄している血管をPOBA(バルーンカテーテルを動脈の狭くなった部分で膨らませて血管を拡げる)、あるいはステント術(体に入れても害のない網目状の筒のような金属で血管を拡げる)を用いて拡張する方法。
血管バイパス術
血管内治療で治せないほどの血管の閉塞に対して、閉塞部位を他の血管でバイパスする手術。

シャルコー足・シャルコー変形とは?

シャルコー足とは、神経障害により生じる足部の骨・関節における破壊性の関節症のことです。糖尿病足病変でよく見られ、自律神経障害による骨代謝異常で骨折しやすい状態になっています。

シャルコー変形の急性期では、足部が赤く腫れて熱をもつなどの症状が現れます。
神経障害により痛みを感じにくいため、骨折していても気づかずに歩いたり荷重をかけ続けていると、中足部が骨破壊し足部の扁平化や著しい内外反変形が生じます。

症状早期では免荷して足部をギプスや装具などで固定します。
変形が進行したケースでは、骨の突出に潰瘍が繰り返し生じて感染を併発することがあるため、突出した骨の切除や関節固定術などの手術を選択します。