当院ホームページの”足の親指の付け根が痛い強剛母趾”において、足の親指の母趾中足趾節関節(MTP関節)が変形して、歩行時や裸足での立ち座り時に痛みが生じる疾患、強剛母趾を紹介しました。
強剛母趾は足の親指の付け根が痛む疾患ですが、今回本記事で紹介するのは、手の親指の第1関節が曲がったままで伸びない状態の疾患、強剛母指です。名前は似ていますが別の疾患です。
強剛母指の症状
強剛母指とは、乳幼児の親指(母指)の第1関節(IP関節)が曲がったままで、伸ばすことができない状態のことです。
親御さんは子ども(乳幼児)の親指がいつも曲がっていることに気づき、伸ばそうと試みても伸ばせないことで病院を受診されます。
親指の付け根部分にしこりがあることもありますが、子どもはしこり部分を押されてもあまり痛みを感じることはないようです。
強剛母指の原因とは?
強剛母指の原因は明確に解明されていません。
通常、親指を曲げる時に働く腱は、硬い靱帯性腱鞘というトンネルをスムースに通ります。
しかし、何らかの原因で腱がこのトンネルの出口で膨らんで太くなり、中を通ることができなくなることで親指の第1関節が伸ばせなくなります。
強剛母指の検査と診断
親御さんが、生後3ヵ月以降になっても子どもが親指を伸ばさないことで気が付き、受診するケースが多いようです。
問診では、伸ばせない親指の状態と手のひらの親指の付け根にしこり(膨隆結節)の有無を確認します。
手のひらの親指の付け根に医師が手をそえて親指を動かせば、腱とともに移動するしこり(膨隆結節)の有無を確認できます。
乳幼児の強剛母指では、しこりを押さえても痛がることはほとんどありません。
強剛母指の治療
強剛母指は自然治癒することがあります。1歳未満の発症では自然治癒することが多いようです。
副木などの装具を用いる保存的療法で、多くは3〜6カ月の装着で治癒します。半年以上治療しても改善が見られない場合や5~6歳までに治ってなければ、手術療法を選択することもあります。
手術療法は、トンネルのような靭帯性腱鞘を切開して腱を自由に通れるようにする手術を行います。手術によって靭帯性腱鞘を切開しても障害はほとんどありません。