肩が痛む男性のイラスト「昨夜突然、肩が強烈に痛くなり、一睡もできなかった」と城内病院を訪れる患者様がいらっしゃいます。こういう場合にまず疑うのは、肩の病気の石灰沈着性腱板炎です。

石灰沈着性腱板炎は、肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によっておこる急性炎症により、強烈な痛みが生じる肩の病気です。

理由がわからないのに、強烈な肩の痛みがある時は石灰沈着性腱板炎が疑われます。我慢することなく、すぐに病院で適切な検査と治療を受けて下さい。

石灰沈着性腱板炎の原因となりやすい方

石灰沈着性腱板炎の原因は、未だ正確には解明されていません。40~50代の女性に多く見られます。

現在わかっていることは、まず肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶が濃いミルク状のものとして溜まり、徐々に硬く変化し石灰化します。
この石灰が腱板内から何かしらのきっかけで肩峰下滑液包に漏れ出ると急性炎症が生じます。

石灰沈着性腱板炎のイラスト

石灰沈着性腱板炎の症状の特徴は強烈な肩の痛み

石灰沈着性腱板炎の患者様のほとんどが、理由がわからないのに突然に生じる肩の強烈な痛みを訴えます 。
「なぜか昨日の夜から肩が強烈に痛い」、「突然肩が痛くなり、昨夜一睡もできなかった」「あまりに痛くて肩を全く動かせない」など。
多くの患者様は、夜間突然に強烈な痛みを覚えることが多いようです。

城内病院での石灰沈着性腱板炎の検査

まず問診にて、どのような痛みか、いつから痛むか、痛み始める契機などを伺います。
石灰沈着性腱板炎の患者様の多くは、強烈な肩の痛みを訴えることが多く、昨夜は眠れなかったとおっしゃいます。

検査はX線(レントゲン)撮影で肩腱板部分に石灰が沈着しているかを確認します。石灰が沈着していれば、症状の似ている肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)と区別できます。
ただし、X線撮影で石灰の沈着が確認された場合でも、痛みの症状が出ないことはあります。

治療後1週間経っても症状が改善しない場合には、必要に応じてCT装置やエコー装置で再検査することもあります。

城内病院での石灰沈着性腱板炎の治療

石灰沈着性腱板炎の患者様のほとんどが、初診の時点で強烈な痛みを訴えられるので、治療は肩の強烈な痛みを緩和することを優先します。

まず、麻酔薬を注射しつつ石灰が沈着している位置を特定します。
つぎに、腱板に注射針を刺して沈着した石灰を破り、ミルク状の石灰を注射針で吸引してなるべく取り出します。
その後に、ステロイド(水溶性副腎皮質ホルモン)を関接内に注射することで、強烈な痛みの緩和を目指します。
この治療は外来で行い、入院は不要です。

そののち、肩が動かないようにアームスリングや三角巾を利用して安静にします。消炎鎮痛剤も服用します。

治療後、ほとんどの患者様の痛みが緩和します。1週間経っても痛みが続けば、再検査後にもう1度ステロイド注射を行います。

初診時に痛みが軽度の患者様の場合、消炎鎮痛剤を服用して経過を観察することもあります。