西洋医学では病気として捉えない冷え症を、東洋医学=漢方療法では病気の入り口である「未病」と捉え、治療できるものとしています。

城内病院には漢方専門医の資格を合わせ持つ医師がいます。ですから、西洋医学視点に加えて東洋医学(漢方療法)視点で冷え症を多角的・総合的に診断・治療することが可能です。

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漢方視点からの冷え症の原因

医師のイラスト 冷え症の原因を漢方視点では、熱源不足と循環不足の2タイプに分類します。
熱源不足は、からだに熱が不足しているために末端まで温められないタイプ。循環不足は、熱を末端まで行き届かせることができないタイプ。

熱源不足タイプ

熱源不足タイプには、体力が弱く熱を作り出すことができない「気虚」体質の方と熱を作るための栄養が不足している「血虚」体質の方がいます。

「気虚」とは、「気」が不足してその働きが低下した状態。「気」は目には見えないが働きはあるもの、生命エネルギーのこと。
「気虚」体質の方は、体力が弱いために全身の末端まで温める充分な熱を体内で作り出すことができません。
高齢で体力が低下している方、胃腸の機能が低下している方、慢性的に疲れを訴える方、無理なダイエットで体力が落ちている方などです。

「血虚」とは、栄養素である「血」が不足している状態。「血」は、体の中を潤し栄養を与えてくれる脈管を流れる赤い血液のこと。
「血虚」体質の方は、体内で熱を作り出す栄養が不足しています。
高齢で食事量が減っている方や無理なダイエットをしている方などは、熱を作り出す原料である栄養が不足していて、全身を温める熱を作り出せずに冷え症になることがあります。

「気」「血」については、「証」を特定する3つ要素 ~「気・血・水」「六病位」「五臓」について~で解説しています。ぜひご覧ください。

循環不足タイプ

熱の巡りが悪いために、全身の末端まで熱を行き届かせることができない循環不足タイプ。
循環不足タイプにも、気が滞る「気滞」体質、血が滞る「瘀血(おけつ)」体質、水が滞る「水滞」体質の3つのタイプがあります。

「気滞」とは、「気」の巡りが悪く停滞している状態。「気」は目には見えないが働きはあるもの、生命エネルギーのこと。
「気滞」体質の方は、ストレスなどにより「気」の巡りが悪くなり自律神経のバランスが乱れると、熱循環不足をおこして冷え症に繋がります

「瘀血」とは、「血」の巡りが悪くなっている状態。「血」は、体の中を潤し栄養を与えてくれる脈管を流れる赤い血液のこと。
「瘀血」体質の方は、「血」の滞りにより熱が末端・局所に行き届かず、下半身や手足などに皮膚の乾燥や冷えの症状が現れます。
下半身は冷えているのに上半身はのぼせやすいことも特徴です。

「水滞」とは、「水」が偏在した状態。「水」は、脈管を流れるリンパ液や細胞外の間質液など「血」以外の身体を潤す透明の体液。
「水滞」体質の方は、滞った「水」で冷やされて冷え症に繋がります。「水」は下に溜まりやすいため、手足や下半身に溜まってむくんだり冷えたりします。

「気」「血」「水」については、「証」を特定する3つ要素 ~「気・血・水」「六病位」「五臓」について~で解説しています。ぜひご覧ください。

漢方療法で診断する冷え症

問診において、体調、体質(暑がり・寒がりなど)、日常生活習慣、声(張り具合)など、患者様に色々なことをお聞きします。
脈診、舌診、腹診も行い、診断で得られた多数の要素から、患者様の冷え症の原因は「熱源不足」「循環不足」「熱源不足・循環不足の両方」と漢方視点で特定します。

同時に、漢方視点から得られた複数の要素から患者様独自の「証」も特定します。特定した患者様の「証」に応じて、冷え症に有効な漢方薬を処方します。

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冷え症に処方される漢方薬

漢方薬のイラスト漢方視点による診断で特定された冷え症の原因と患者様の「証」に応じて、冷え症を改善する漢方薬や体質を強化・改善する漢方薬を処方します。

熱源不足タイプに処方される漢方薬

「気虚」体質の方:「気」を高め、熱を作り出すための力を回復する漢方薬。

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  • 人参養栄湯(にんじんようえいとう)

「血虚」体質の方:熱を作り出す栄養を補う漢方薬。

  • 十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 人参養栄湯(にんじんえいようとう)

循環不足タイプに処方される漢方薬

「気滞」体質の方:「気」の巡りを良くして自律神経を整える漢方薬 。

  • 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  • 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

「瘀血」:「血」の巡りを良くして熱を末端まで行き届かせる漢方薬。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

「水滞」:「水」の巡りを良くして溜まった余分な「水」を取り除く漢方薬。

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
  • 桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)