便秘に悩まされている女性のイラスト 便秘に悩まされている方、とくに女性は多いのではないでしょうか。
皆が悩まされている便秘に医学的な定義はありませんが、日本消化器病学会では「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。日本内科学会では、便秘とは「3日以上排便がない状態」と定義されています。

人によって便通がない日数や生じる症状は様々ですが、便秘が慢性化するとお腹が張って苦しい膨満感、便が出ないことでのイライラや不安、肌荒れなどの症状に悩まされて、QOL(生活の質)が低下します。

QOLを低下させず、気持ちの良い一日を過ごすためには便秘を解消する必要があります。本記事では、読者の皆様に便秘について理解を深めて頂くために、便秘の症状、便秘がおきるメカニズム・原因、便秘の種類を解説します。

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便秘を解消するための生活習慣改善とお薬による治療法

便秘の主な症状とは?

便秘の症状は人によって様々ですが、以下に主なものを挙げます。

  • お腹が張って苦しい。腹部膨満感。
  • ガスが溜まっておならがよく出る。
  • 排便をしても、スッキリせずまだ残っているような不快感、残便感がある。
  • 水分不足で便が硬くなり出しにくい。強くいきむ必要がある。
  • 排便困難。便意はあるのに、なかなか出ない。
  • 硬い便をいきんで出そうとして肛門の粘膜が裂けて痛みがある。
  • 便が出ないことでイライラしたり不安になったりする。

便秘の原因によって分類されるタイプとは?

便秘になる原因は、人それぞれ違って様々です。
腸の運動の低下、水分不足、不健康な生活習慣、食物繊維不足、薬物やサプリメントの影響、ストレスや不安などの精神的要因、特定の病気によるものなど。

便秘は原因によってタイプが分類されて、そのタイプに応じて対処法が選択されます。ここでは、患者様の多い機能性便秘と器質性便秘について解説します。

機能性便秘について

最も多いタイプで、大腸や直腸の働きの異常による便秘です。機能性便秘は、排便困難や便通の不規則な性質を特徴とします。機能性便秘はその原因によってさらに3つのタイプに分類されます。

弛緩性便秘:大腸運動の低下が原因

腸管の緊張が緩み、ぜん動運動が十分に行われずに大腸内に長くとどまった便は、過剰に水分が吸収されカチカチに硬くなる。
女性や高齢者に多く見られる。
運動不足、水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下、極端なダイエットなどが因子となる。

痙攣性便秘:副交感神経が過度な興奮による大腸の過緊張

副交感神経の過度な興奮によって腸管が過緊張し、便がうまく運ばれず通過に時間がかかり過ぎて、うさぎのフンのようなコロコロとした便になるタイプ。
精神的ストレス、環境の変化、過敏性腸症候群などが因子となる。

直腸性便秘:直腸に便が停滞

便が直腸に到達しても排便反射がおきずに便意を催さない、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなってしまうタイプ。
高齢者や寝たきりの方に多く、排便を我慢する習慣がある人にも多い。

器質性便秘について

手術後の癒着、大腸がん、大腸の炎症などが原因となって、大腸の中が狭くなり便がスムーズに通過できずに起こる便秘です。
血便、激しい腹痛、嘔吐などがあれば器質性便秘が疑われます。すぐに病院で診察・検査を受けてください。
器質性便秘を治療するには、元の病気を治す必要があります。