便秘が慢性化して便が腸内にとどまると腸内の悪玉菌が増え、自律神経のバランスが崩れます。その結果、QOL(生活の質)を低下させる様々な症状が現れるようになります。
とくに、多くの女性が悩まされているものに、痔、肌荒れ・吹き出物、お腹の張り・おなら、イライラ・不快感などがあります。

便秘が解消せずに症状がさらにひどくなると、「便秘の合併症」が生じるリスクが高まります。痔、脱肛、直腸粘膜脱、糞便塞栓症などの疾患です。

このようにあなたのQOLを低下させてしまう便秘を解消するための生活習慣改善とお薬による治療法をお話ししましょう。

(関連リンク)
便秘 ~症状と原因によって分類されるタイプ~

便秘を生活習慣改善で解消するには

便秘解消の基本となるのは日常の生活習慣改善です。朝の排便習慣、健康的な食事、適切な水分摂取、適度な運動、ストレス管理などの方法を組み合わせて便秘の予防と改善を目指しましょう。
ただし、長期間続く便秘や慢性的な問題がある場合は、医師の診察を受けることをお勧めします。

朝の排便を習慣としましょう

お腹をおさえてトイレを指す女性のイラスト 腸管がよく動いて便が出やすい起床時に朝食をしっかり食べれば、腸の蠕動(ぜんどう)運動がさらに活発になります。
便意の有無に関わらず、朝食後にトイレに行くようにすれば、規則的な排便習慣により便意を催すリズムができて、便秘の改善に繋がります。

適切な食事と水分の摂取を心がけましょう

食物繊維を摂取しましょう。野菜、果物、全粒穀物、豆類など食物繊維が豊富な食品を食べることで腸の動きが促進されます。
ヨーグルトや納豆・味噌などの発酵食品は、腸内環境を整えるビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌を多く含んでいます。
脂質に含まれている脂肪酸は大腸を刺激します。適度な摂取は有効です。

水分をしっかり摂ることも重要です。水分不足は便秘の原因となりますので、特に基礎疾患がなく高齢者でなければ、1日に2リットル程度の水を摂るように心がけましょう。

適度な運動は腸の動きを活発化する

運動不足で腹筋がゆるむと、排便に必要な力が十分に発揮できなくなります。適度な運動を行うことで腸の動きが活発化し、便秘を解消するのに役立ちます。
毎日継続してウォーキング、ストレッチ、ヨガ、水泳などを行えば、腸の働きが活性化され効果が期待できます。

腰に手を当て回す女性のイラスト

ストレスを軽減して便秘を解消

ストレスは便秘の原因となります。ストレスが腸の運動や消化プロセスに悪影響を及ぼすためです。
便秘解消のためにはストレスを管理する必要があります。ストレッチ・適度な運動・体操、十分な睡眠の確保、深呼吸・瞑想・ヨガ、ハーブオイルやハーブティーを使ったリラクゼーションなどでストレスを軽減・解消しましょう。
ストレスの軽減・解消によりストレスホルモンの分泌が抑制されれば、腸の運動が正常にもどり、便秘の解消に繋がります。

お薬で便秘を解消

便秘薬はいくつかの異なる種類に分類でき、それぞれ異なる対象と効果があります。以下に一般的な便秘薬の種類とそれぞれの効果、成分を説明します。
便秘薬は以下の薬剤以外にも、新しく開発された薬や座薬、浣腸などがあります。

塩類下剤(非刺激性下剤)

効果:腸内の浸透圧を上げることで腸管内の水分量が増え便を柔らかくして膨大させる。腸の蠕動運動を活性化させ排便を促す。副作用が少なく、クセになりにくい特徴がある。
成分:酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム

刺激性軟便剤

効果: 腸の運動を刺激して便を柔らかくし、排便を促進する。効果は比較的速く現れるが、長期間の使用は避けるべき。
成分:ビサコジル、センノシド、ピコスルファートナトリウム

膨脹性便秘薬(非刺激性下剤)

効果: 薬物が水を吸収し膨らみ、便のカサを増やすとともに柔らかくし、腸内の運動を促進して排便を助ける。効果は比較的穏やかで長期間の使用でも安全。
成分:カルメロース、プランタゴ、オバタ

湿潤性下剤(非刺激性下剤)

効果:界面活性作用により便の表面張力を低下させることで、便中に水分を浸透させ便を柔らかくして排便しやすくする。
成分:ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)

漢方薬

効果:患者様の便秘のタイプと体質に応じたオーダーメイドな処方が可能。便秘の症状だけでなく便秘によりイライラするなどの複合的な精神症状にも対応できて健康を促進する。
成分:大黄甘草湯、防風通聖散、麻子仁丸、大承気湯など

薬物療法の適切な使用と副作用や依存性のリスクを考慮することが重要なため、便秘薬の選択は便秘の原因、症状の程度、患者様の健康状態に基づいて医師が行います。
自己処方薬を使用する前に必ず医師に相談しましょう。