胸焼けで胸を抑えている高年者の男性のイラスト逆流性食道炎は、胃酸や食べ物などが食道へ逆流して炎症をおこす病気です。
胸焼けや呑酸(胃液がのど元までこみ上げて酸っぱく感じること)などが現れます。

逆流性食道炎とは

胃の粘膜には、食べ物を消化するために分泌される胃酸から自らを守る機能がありますが、食道の粘膜にはその機能がありません。
そのため、胃から逆流した胃酸が食道に長時間とどまると食道粘膜が損傷して炎症をおこします。

  • 食道裂孔ヘルニア:下部食道括約筋のゆるみにより胃の一部が食道に脱出している状態。胃酸が逆流しやすくなる。
  • 食事習慣:胃酸の分泌を促進する食事。脂っこいもの、甘いもの、刺激のあるものなどの食べ過ぎなど。
  • 生活習慣:食後すぐに横になる。お腹を圧迫する前かがみの姿勢や肥満。
  • ストレス:過度にストレスを貯めると、胃酸の分泌が促進されやすいため。
  • タバコ・アルコール:喫煙習慣や過度なアルコール摂取は、下部食道括約筋の閉まりを悪くすることがあるため。

逆流性食道炎の胸やけの症状は、食後2時間以内に起こりやすいのが特徴です。理由は食べた分で胃酸が逆流するためです。
また、食後すぐや就寝時に横になると胃酸が逆流しやすいため、注意が必要です。

逆流性食道炎の病態

健康な胃と、逆流性食道炎の胃のイラスト胃酸が食道に逆流して食道粘膜に炎症がおこります。
軽度の場合は食道粘膜が赤くただれるびらん(粘膜が浅い部分で欠損した状態、)、より悪化すると潰瘍(粘膜の深い部分まで欠損した状態)が見られます。

城内病院での逆流性食道炎の検査は内視鏡検査

食後や横になった時に胸やけで不快感を覚えるなら、なるべく早期に病院での検査や診断を受けることをお勧めします。

「胸がかっかする」、「のど元に何か上がってくる感じがある」などの症状をお聞きしたうえで、逆流性食道炎を疑えば、城内病院では内視鏡検査を行います。
胸痛などの症状で心臓の精査を行って異常がなかった場合も、逆流性食道炎による症状の可能性がありますので内視鏡検査をお勧めします。

医師が内視鏡を使って実際に目で患部を確認して、炎症の程度をロサンゼルス分類という6段階の分類法で判定します。
また、内視鏡検査で実際に患部を確認することで、他の病気と区別することも可能になります。

逆流性食道炎の治療はプロトンポンプ阻害薬の服用

内視鏡検査で逆流性食道炎と診断されれば、通常は薬で治療を行います。
胃酸の食道への逆流が逆流性食道炎のメカニズムであるため、治療には胃酸分泌を抑える薬を服用します。

検査結果や症状に応じて薬剤を選択しますが、主にプロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用していただくと、早い方は1~2日で、長い方でも1週間以内には胸焼けの症状が改善します。

症状が改善すれば、薬を効果が軽いものに変えたり中止しますが、逆流性食道炎は再発しやすいため長期間服用する方が多くみられます。
その理由は胃酸が食道へ逆流しやすい状況は自然に治ることが少なく、一度治っても胃酸逆流で食道炎が悪化して症状が再発することが多いからです。

逆流性食道炎を予防するには?

  • 食べてすぐ横にならない。夕食後はすぐに寝ずにしばらく起きておく。
  • 食事習慣の改善:胃酸の分泌を促進する油っこいもの、甘いもの、辛い物は控える。
  • 生活習慣の改善:ストレスをなるべく貯めないように。腹圧がかかる前かがみの姿勢を取らない。肥満を解消する。
  • タバコを止める。アルコールの過度な摂取を控える。