不整脈とは ~症状・種類(徐脈 頻脈 期外収縮)、原因について〜”では、不整脈についての概説とさまざまな症状や原因があることをお話ししました。
本記事では、不整脈をどのように検査・診断し治療するかを見ていきましょう。

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不整脈の検査・診断とは?

心電図検査を受ける男性のイラスト不整脈の検査・診断では、問診にて患者様にどのような自覚症状があるかを詳しく伺います。「どきどきするのか、脈が飛ぶ感じがあるのか・速いのか・遅いのか、胸が痛むのか・詰まるのか、めまいがするのか」など。

不整脈を疑えば、最も有効な心電図検査を中心に、患者様の状態に必要な検査を複合して行います。以下におもな検査を挙げます。

  • 安静時12誘導心電図検査:
    心臓の電気活動を記録する標準的な検査。不整脈の種類や発生頻度や重症度の確認のほか、異常な波形から不整脈の原因を推定するために使用する。所要時間は1分間程度。
  • ホルター心電図検査:
    24時間以上の期間にわたって、日常生活中の心臓の活動を記録する。日常生活での心臓の状態を記録することで、病院での短時間の検査では確認できなかった不整脈や症状が発生したときの心電図を捉えることができ、不整脈の数、心拍数、波形、連続性から、さらに詳しい不整脈の重症度が評価できる。
  • 心エコー検査:
    超音波を使用して心臓の構造と機能を評価する。不整脈の原因となっている心臓弁膜疾患や心筋症などの基礎疾患を特定するためにも使用される。
  • 胸部X線検査:
    心臓の動きや大きさ、心房や心室の拡張の有無、心不全の有無、肺病変の有無などを調べる。
  • 血液検査:
    不整脈の原因となる病気や心不全の程度や有無を確認するため。

不整脈の治療について

危険性のない不整脈は治療が不要で、経過観察で対応します。
しかし、症状が強い不整脈、心不全や脳梗塞などの高いリスクがある病気を原因とする不整脈は適切な治療が必要です。
不整脈の治療は、患者様の症状の重症度や不整脈の原因に応じて様々な治療法が選択されますが、一般的な治療法には以下のようなものがあります。

不整脈の薬物療法

抗不整脈薬で不整脈の発作を抑制したり、抗凝固剤で血液の凝固リスクを減少させます。
抗不整脈薬には、おもに異常な電気信号を抑制する作用があります。脈を遅くする薬剤や不整脈を正しいリズムに戻す薬剤など様々な種類があり、強い症状や重篤な不整脈に使用されます。

抗凝固薬は、血栓予防のために血液をさらさらにして、心房細動や心房粗動によって心臓内に発生した血栓が飛んで最終的に脳の血管がつまり手足が麻痺する脳塞栓の発症を予防します。

カテーテルアブレーション

頻脈性不整脈の直接要因の異常部位に、高周波電流を流すことで不整脈の根治を目指す治療法です。カテーテルアブレーションは手術時の傷口が小さいため、身体の負担が少ないことも利点です。

カテーテルと呼ばれる細い管を足の付け根にある太い血管から入れ、電極がついているカテーテルの先をレントゲンの透視で確認しながら心臓まで到達させます。心臓の中の異常な電気信号が発生している部位を見つけ、通電用のカテーテルを用いて高周波電流で焼灼を行います。

ペースメーカー植え込み

ペースメーカーのイラストペースメーカーは、おもに脈が遅くなる徐脈性不整脈の治療に使われます。心臓の筋肉に電気信号を与え、人工的に心臓を動かすことで拍動のリズムを補助する電気的な医療機器です。

ペースメーカー電池本体を胸部または腹部に埋め込み、本体から出ているリード(導線)の先端が心臓の筋肉に接して電気信号を伝えます。ペースメーカー電池本体とリードは、手術により体内に完全に埋め込まれます。機器の小型化・長寿命化が進み、日常生活でほとんど支障なく使用できるようになっています。

心臓植え込み型の植込み型除細動器(ICD)

心臓植え込み型の植込み型除細動器(ICD)は、心室頻拍や心室細動などの生命に関わる重篤な不整脈による突然死予防手段の体内植込み型の医療機器です。

本体と電極リードから構成され、本体は胸部の皮下に埋め込まれ、電極リードは静脈を通して心臓に挿入されます。
心臓の電気的活動を常に監視し、致死性の不整脈が発生した際に即座に除細動=電気ショックを与えて、正しい拍動リズムに戻すことで突然死を予防します。