肉離れとは筋肉が部分断裂または完全断裂すること。
ほとんどのケースはふくらはぎや太腿の筋肉で生じ、スポーツ中の動作で急激に筋肉に負荷がかかると断裂します。
スポーツ愛好者には頻度の高い疾患です。
城内病院では、肉離れはスポーツをしている学生よりも30歳以上の中高年スポーツ愛好者に多く見られます。
中高年の方は肉離れ予防のためにスポーツを始める前、しっかりと準備運動を行うことが大切です。
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動的ストレッチと静的ストレッチ
肉離れの症状とは?
断裂部の運動時の痛みと圧痛(圧迫時に生じる痛み)がおもな症状です。
痛みは断裂部の筋肉を伸ばした時や力をかけた時に強くなります。断裂した部分がへこんだり、内出血が現れることもあります。
ふくらはぎや太腿に肉離れが生じた場合、受傷直後から1週間位までは断裂した筋肉に体重がかかると強く痛むため、歩行に支障をきたします。
肉離れ 原因となりやすい方
肉離れはすべての筋肉で生じる可能性がありますが、ほとんどはふくらはぎと太腿で生じます。
スポーツ中にダッシュやジャンプをするためには、筋肉の筋線維の束を収縮させて大きな筋力を生み出す必要があります。
筋線維の収縮と同時にふくらはぎや太腿の筋肉を伸ばすと、筋線維が強い筋力に負けて部分断裂、あるいは完全断裂してしまうことがあります。
たとえば、ダッシュしようとギュッと筋線維が収縮しようとしているとき、同時に地面を蹴ってふくらはぎが伸ばされると、伸ばす強い筋力で引っ張られた筋線維が負けて断裂します。
これが肉離れのメカニズムです。
肉離れの診断・検査
まず問診にて、「サッカーでダッシュした時にふくらはぎで筋肉が断裂するような音がした」、「ジャンプしたら太腿が肉離れしたようで歩けない」など受傷契機や症状を患者様に詳しく伺います。
肉離れならば、筋肉が断裂している部分を指で押すと戻らずへこんだままになることもあります。
問診ののち、エコー(超音波検査)で筋肉の断裂程度を確認します。必要があればMRIでも検査。
疲労骨折の可能性を排除するためにX線で検査することもあります。
肉離れの治療とは?
受傷直後は、RICE処置で対応します。RICEとは、Rest(安静):スポーツ活動の停止、Ice(アイシング):患部の冷却、Compression(圧迫):患部の圧迫、Elevation(挙上):患部の挙上。
適切なRICE処置を行えば、その後の治療も良好な経過をたどります。
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外傷時応急処置のRICE処置とは?
肉離れは保存的療法で対応します。痛みがなくなるまで患部の筋肉が伸びないように装具で固定して安静にする必要があります。
痛みが強い場合は鎮痛目的で内服薬、湿布、塗り薬を使用します。
痛みが軽減して歩けるようになれば、患部に負担がかからない軽いストレッチなどからリハビリを開始します。
筋肉を伸ばした時の痛み(ストレッチ痛)がなくなれば、歩行訓練から徐々に軽いジョギングへとリハビリを進めます。
ふくらはぎの肉離れの場合、つま先立ち(カーフレイズ)はふくらはぎに最も負荷がかかる動きです。つま先立ちでも痛みが出なければリハビリも最終段階となります。
再発を防ぐためにも、ストレッチ痛がなくなるまではジャンプやダッシュは控える必要があります。
イラスト出典:日本整形外科スポーツ医学会HP「スポーツ損傷シリーズ 5.肉離れ」